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- 「広島オフィス市場」の現況と見通し(2025年)
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2025年06月18日
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1.はじめに
広島のオフィス市場では、2025年第1四半期に3年ぶりに大規模ビルが竣工した一方で、立地改善や設備のグレードアップを図るオフィス需要も旺盛であり、空室率は前年同月比で低下した。こうしたなか、成約賃料はコロナ禍以降、一進一退で推移している。本稿では、広島のオフィス市況を概観した上で、2029年までの賃料予測を行う。
2.広島オフィス市場の現況
1 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→④空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
3.広島オフィス市場の見通し
3-1.新規需要の見通し
(1)オフィスワーカーの見通し
総務省「労働力調査」によれば、2024年の広島県における就業者数は145.2万人(前年比+0.4万人)となり、2年連続で増加した(図表-6)。
一方、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば、広島市の生産年齢人口は減少傾向が続いており、2024年は71.9万人(前年比▲0.5%)となった(図表-7)。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によれば、広島市の生産年齢人口は今後も減少が継続し、2030年は70.2万人(2024年対比▲2.3%)、2035年は67.0万人(同▲6.8%)となる見通しである。
(1)オフィスワーカーの見通し
総務省「労働力調査」によれば、2024年の広島県における就業者数は145.2万人(前年比+0.4万人)となり、2年連続で増加した(図表-6)。
一方、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば、広島市の生産年齢人口は減少傾向が続いており、2024年は71.9万人(前年比▲0.5%)となった(図表-7)。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によれば、広島市の生産年齢人口は今後も減少が継続し、2030年は70.2万人(2024年対比▲2.3%)、2035年は67.0万人(同▲6.8%)となる見通しである。
続いて、広島のオフィスワーカー数を見通すうえで重要となる「中国財務局」の管轄下5県(広島県・岡山県・山口県・鳥取県・島根県)における「企業の経営環境」と「雇用環境」について確認する。
まず、「企業の経営環境」に関して、内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によれば、「企業の景況判断BSI2」(中国財務局)は、コロナ禍を受けて2020年第2四半期に「▲53.7」と一気に悪化した。その後は、回復と悪化を繰り返しながら推移しており、2025年第1四半期は「+2.3」となった(図表-8)。
次に、「雇用環境」に関して、「従業員数判断BSI3」(中国財務局)は、2020年第1四半期の「+13.1」から第2四半期には「▲3.9」(第2四半期)と大幅に低下した。その後は順調に回復し、足もとでは「+24.8」となり、人手不足感が一段と強まっている(図表-9)。
広島県商工会議所連合会の調査4によれば、約5割の企業が「人手が不足している」と回答しており、人手不足への対策として「採用活動の強化」との回答が約8割を占めた。
まず、「企業の経営環境」に関して、内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によれば、「企業の景況判断BSI2」(中国財務局)は、コロナ禍を受けて2020年第2四半期に「▲53.7」と一気に悪化した。その後は、回復と悪化を繰り返しながら推移しており、2025年第1四半期は「+2.3」となった(図表-8)。
次に、「雇用環境」に関して、「従業員数判断BSI3」(中国財務局)は、2020年第1四半期の「+13.1」から第2四半期には「▲3.9」(第2四半期)と大幅に低下した。その後は順調に回復し、足もとでは「+24.8」となり、人手不足感が一段と強まっている(図表-9)。
広島県商工会議所連合会の調査4によれば、約5割の企業が「人手が不足している」と回答しており、人手不足への対策として「採用活動の強化」との回答が約8割を占めた。
広島県の就業者数は2年連続で増加している。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については人手不足感が強く、企業の採用意欲が高まっている。以上のことを勘案すると、広島市の「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。ただし、広島市の生産年齢人口は今後も減少が続く見通しであり、引き続き動向を注視する必要がある。
2 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど景況感が悪いことを示す。
3 従業員数が「不足気味」と回答した割合から「過剰気味」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
4 広島県商工会議所連合会「中小企業等の人手不足、賃金値上げに関する調査結果(2025年4月)
2 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど景況感が悪いことを示す。
3 従業員数が「不足気味」と回答した割合から「過剰気味」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
4 広島県商工会議所連合会「中小企業等の人手不足、賃金値上げに関する調査結果(2025年4月)
(2025年06月18日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/06/18 | 「広島オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
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