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- DCでも、国内株式の利確膨らむ~2025年5月の投信動向~
コラム
2025年06月11日
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外国株式ファンドへの資金流入が鈍化
5月は、月を通じて米関税政策に対する警戒感がさらに後退したことが追い風となり、世界的に株価が上昇した。外国為替市場でも、値動きの激しい展開となったが月間でみるとやや円安に振れた。それに伴って、多くの外国株式ファンドの基準価額が大きく上昇した。実際、5月に資金流入が大きかった外国株式ファンドの5月の収益率は、インデックス型(赤太字)、アクティブ型(青太字)問わず7%を超える高パフォーマンスとなった【図表2】。
こうした中、5月の外国株式ファンドの資金流出入を見る限りでは、インデックス型もアクティブ型も基準価額の上昇に伴う戻り売りは限定的で、外国株式の投資意欲は引き続き高かったことがうかがえる。ただし、米関税政策の先行き不透明感が残る中、様子見姿勢やポジション調整の売却が見られ、外国株式ファンドへの資金流入はやや鈍化したと考えられる。
こうした中、5月の外国株式ファンドの資金流出入を見る限りでは、インデックス型もアクティブ型も基準価額の上昇に伴う戻り売りは限定的で、外国株式の投資意欲は引き続き高かったことがうかがえる。ただし、米関税政策の先行き不透明感が残る中、様子見姿勢やポジション調整の売却が見られ、外国株式ファンドへの資金流入はやや鈍化したと考えられる。
バランス型とラップ口座の販売回復
国内株式は利益確定の売却の動き
その一方で国内株式ファンドは、5月に1,700億円の資金流出があった【図表4】。国内株式も外国株式と同様に、日経平均株価が月初から一時2,000円以上上昇するなど大きく上昇したが、それに伴いインデックス型を中心に利益確定売りが出たと見られる。
特に日経平均株価が3万8,000円を超えた翌営業日にあたる14日と30日には、それぞれ600億円、500億円に迫る資金流出があり、売却が顕著だった。米関税政策に対して本格的に警戒される前、2月以前の日経平均株価の水準が3万8,000円台だったこともあり、この水準を意識して売却する個人投資家が多かったと推察される。
このように国内株式ファンドの資金流出が影響し、5月はファンド全体でみると9,000億円の資金流入となり、4月の1兆2,600億円から3,600億円減少し、2025年に入って初めて1兆円を下回った。
特に日経平均株価が3万8,000円を超えた翌営業日にあたる14日と30日には、それぞれ600億円、500億円に迫る資金流出があり、売却が顕著だった。米関税政策に対して本格的に警戒される前、2月以前の日経平均株価の水準が3万8,000円台だったこともあり、この水準を意識して売却する個人投資家が多かったと推察される。
このように国内株式ファンドの資金流出が影響し、5月はファンド全体でみると9,000億円の資金流入となり、4月の1兆2,600億円から3,600億円減少し、2025年に入って初めて1兆円を下回った。
DCでも利益確定売りが顕在化
なお、国内株式ファンドについてはDC専用(緑棒)に限っても、5月に100億円の資金流出があった【図表4】。過去にも、国内株式が上昇した2024年10月、12月なども流出超過に転じており、確定拠出年金口座もその他の一般口座と同様に利益確定売りが出ている傾向が見受けられる。
投信市場全体で見ると、インデックス型の外国株式ファンドの残高が積み上がっているなど、長期投資が根付きつつある。しかし、国内株式ファンドに限ると確定拠出年金口座であっても株価の変動に応じた売買が目立ち、長期投資がまだ十分に根付いていないようだ。
投信市場全体で見ると、インデックス型の外国株式ファンドの残高が積み上がっているなど、長期投資が根付きつつある。しかし、国内株式ファンドに限ると確定拠出年金口座であっても株価の変動に応じた売買が目立ち、長期投資がまだ十分に根付いていないようだ。
(2025年06月11日「研究員の眼」)
03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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