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サステナビリティに関する意識と消費者行動2024(3)-消費者のサステナ意識・行動ギャップを解く4つのアプローチ

生活研究部 准主任研究員 小口 裕
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ニッセイ基礎研究所では、2022年から「サステナビリティに関わる意識と消費者行動」に関する調査・研究を進めている。消費者のサステナビリティに対する意識や消費行動を多角的に分析し、サステナビリティ行動の促進要因を3回のレポートに分けて明らかにしていく予定であり、今回はその第3回となる。
この3月に、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)が、企業のサステナビリティ情報開示促進に向けた初の開示基準を公表した。この新基準は、国内企業のESG取り組みの透明性を確保するだけでなく、企業が自主的に「消費者(顧客)のサステナビリティ意識や行動」のデータを開示することで、KPI達成の傍証とし、投資家の意思決定をサポートするとともに、消費者自身の行動変容を後押しする枠組みとしての役割も期待される。
ニッセイ基礎研究所では、このような背景を踏まえ、本稿では、前稿の解析で得られた「持続可能性(サステナビリティ)に関する考え方」の7つの因子と、消費者の消費行動性向データを基に独自の解析を行った。その結果、「自分ごとと捉える意識(自分ごと意識)」が高まる反面、「時間があれば(したい)」「お金があれば(したい)」という前提条件付きの「障壁意識」も合わせて増加しており、それら「ギャップの緩和」があらためて浮き彫りとなった。
さらに、「購入・消費の重視点」と「購入態度」の2軸で分類される4つの消費行動パターンが明らかになり、そこから消費者のサステナビリティ行動を促進・抑制する構造的要因も見えてきた。これらの要因を踏まえ、社会への浸透がまだまだ十分ではない「エシカル消費」を題材として、その行動促進のアプローチとして、ターゲット行動別に「実はエシカル」「これがエシカル」「だからエシカル」「ついでにエシカル」という4つの仮説を提示した。
今後、企業がマテリアリティを実現し、KPIを達成するためには、単に「環境に優しい製品やサービスを提供する」だけではなく、消費者とのエンゲージメントを深めることが求められている。今後は、消費者を単なる「購買者」ではなく、「サステナビリティ推進の共創者」として捉える視点も重要と言えるのではないだろうか。
■目次
1――はじめに
~サステナビリティを「自分ごと」と捉える意識の増加と「意識・行動ギャップ」の広がり
1|消費者のサステナビリティ意識・行動の理解
~「インパクトマテリアリティ」の足掛かりに
2――消費者の「持続可能性(サステナビリティ)に関する考え方」の動向
1|消費者のサステナビリティ意識と考え方
~「7つの因子」を起点に消費者の意識を読み解く
2|消費者のサステナビリティ行動に対するインパクト
~「自分ごと意識」が核の1つに
3|消費行動性向のパターンを示す「4つの象限」
~「購入・消費の重視点」と「購入態度」で切り分ける
3――消費者のサステナビリティ行動を抑制する構造的要因
1|何が「サステナビリティ意識はあるが、行動に移しづらく」させているのか
2|サステナブル行動を抑制する構造的要因とは~それぞれの要因を押さえた対処の必要性
4――消費者のサステナビリティ行動促進に向けた「4つのアプローチ」
1|第一象限(右上)の消費行動パターンへの対処~「実はエシカル」アプローチ
2|第二象限(左上)の消費行動パターンへの対処~「これがエシカル」アプローチ
3|第三象限(左下)の消費行動パターンへの対処~「だからエシカル」アプローチ
4|第四象限(右下)の消費行動パターンへの対処~「ついでにエシカル」アプローチ
5|サステナビリティ行動促進に向けた課題 「ファッション」としてのエシカル消
5――考察と提言~消費者を「サステナビリティ推進の共創者」として捉える視点
参考――分析結果
(2025年03月28日「基礎研レポート」)
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03-3512-1813
- 【経歴】
1997年~ 商社・電機・コンサルティング会社において電力・エネルギー事業、地方自治体の中心市街地活性化・商業まちづくり・観光振興事業に従事
2008年 株式会社日本リサーチセンター
2019年 株式会社プラグ
2024年7月~現在 ニッセイ基礎研究所
2022年~現在 多摩美術大学 非常勤講師(消費者行動論)
2021年~2024年 日経クロストレンド/日経デザイン アドバイザリーボード
2007年~2008年(一社)中小企業診断協会 東京支部三多摩支会理事
2007年~2008年 経済産業省 中心市街地活性化委員会 専門委員
【加入団体等】
・日本行動計量学会 会員
・日本マーケティング学会 会員
・生活経済学会 准会員
【学術研究実績】
「新しい社会サービスシステムの社会受容性評価手法の提案」(2024年 日本行動計量学会*)
「何がAIの社会受容性を決めるのか」(2023年 人工知能学会*)
「日本・米・欧州・中国のデータ市場ビジネスの動向」(2018年 電子情報通信学会*)
「企業間でのマーケティングデータによる共創的価値創出に向けた課題分析」(2018年 人工知能学会*)
「Webコミュニケーションによる消費者⾏動の理解」(2017年 日本マーケティング・サイエンス学会*)
「企業の社会貢献に対する消費者の認知構造に関する研究 」(2006年 日本消費者行動研究学会*)
*共同研究者・共同研究機関との共著
小口 裕のレポート
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2025/04/11 | 若手人材の心を動かす、企業の「社会貢献活動」とは(1)-「行動科学」で考える、パーパスと従業員の自発行動のつなぎ方 | 小口 裕 | 基礎研レター |
2025/03/28 | サステナビリティに関する意識と消費者行動2024(3)-消費者のサステナ意識・行動ギャップを解く4つのアプローチ | 小口 裕 | 基礎研レポート |
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