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- インド消費者物価(24年12月)~12月のCPI上昇率が2カ月連続で低下、食品インフレ和らぐ
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地域別のCPI上昇率をみると、都市部が前年同月比4.6%(前月:同4.9%)、農村部が同5.8%(前月:同6.0%)となり、それぞれ2カ月連続で低下した。
12月のCPIの内訳をみると、主に食品価格の緩和により低下したことが分かる。
まず食品は前年同月比8.4%となり、前月の同9.0%から低下した(図表2)。食品のうち、まず野菜が同26.6%(前月:同29.4%)と生鮮食品の入荷が進んで価格高騰が緩和された。特にインドで日常的に必須な野菜とされるトマトは前月比▲16.1%、タマネギは同▲11.8%、ジャガイモは同▲4.9%と揃って下落した。また食用油(前年同月比14.6%)は昨年9月の輸入税率の引上げで価格上昇が続いており、果物(同8.5%)や穀物製品(同6.5%)も高めの伸びが続いている。他方、牛乳・乳製品(同2.8%)や豆類(同3.8%)、加工食品(同4.0%)、肉・魚(同5.3%)は落ち着いた伸びとなり、香辛料(前年同月比▲7.4%)は引き続き減少した。
燃料・電力は前年同月比▲1.4%となり、16ヵ月連続でマイナス圏での推移となった。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は前年同月比3.6%となり前月から横ばいだった。カテゴリー別にみると、教育(同3.9%)や住宅(同2.7%)、輸送・通信(同2.6%)、衣服・靴(同2.7%)、家庭用品・サービス(同2.8%)、娯楽(同2.7%)は落ち着いた伸びが続いたものの、パーソナルケア(同9.7%)の上昇が顕著だった。
インフレ率(CPI上昇率)は昨年12月が前年同月比5.2%となり、2ヵ月連続でインド準備銀行(RBI)の物価目標圏内(+2%~6%)に収まった(図表3)。昨年高騰した食品価格は雨季作の豊作と乾季作の作付面積の拡大により軟化し始めており、先行きの食品インフレのリスクは後退している。また7-9 月期の実質GDP 成長率は前年同期比5.4%(4-6 月期:同6.7%)と大きく鈍化するなど景気下支え策が求められており、2月の金融政策委員会(MPC)でRBIは利下げに踏み切る展開が予想される。もっともRBIが金融緩和に踏み切ると、通貨ルピーの減価が加速して輸入インフレのリスクが高まる恐れがある。昨年10月以降の海外への資金流出や足元の原油価格の上昇により通貨ルピーは減価傾向にある。昨年12 月にRBI総裁がダス氏からマルホトラ氏に交代して以降、ルピーの過大評価を是正すべく、為替市場に介入する姿勢が弱まったことも影響しているようだ。RBIが景気減速懸念よりも通貨安に伴うインフレ懸念を警戒する場合、利下げ開始は通貨動向が安定化するまで見送られることとなりそうだ。
1 Bloomberg集計の中央値。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2025年01月15日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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