2024年08月13日

企業物価指数2024年7月~電気・都市ガス価格激変緩和策の終了と輸入物価の上昇で国内企業物価は上昇率拡大~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.国内企業物価(前年比)は3%台へ

企業物価指数の推移 日本銀行が8月13日に発表した企業物価指数によると、2024年7月の国内企業物価は、前年比3.0%と前月(同2.9%)から6ヵ月連続で伸びを高めた。

内訳をみると23類別中、21類別が上昇、1類別が横ばい、1類別が低下となった。電力・都市ガス・水道は、政府の電気・都市ガス価格激変緩和策が終了したことで、前年比6.7%(6月:同0.0%)と13ヵ月ぶりにプラスに転じた。

7月の国内企業物価の前月比は0.3%(6月:同0.2%)と6ヵ月連続のプラスとなり、夏季電力料金引き上げの影響を除くと同0.2%(6月:同0.2%)となった。内訳をみると23類別中、14類別が上昇、1類別が横ばい、8類別が低下となった。寄与度をみると、夏季電力割増料金の影響に加え、政府の電気・都市ガス価格激変緩和策が終了したことにより事業用電力、都市ガスが上昇し、電力・都市ガス・水道が0.28%で全体を大きく押し上げた。
国内企業物価指数の推移/国内企業物価指数の前月比寄与度分解

2.契約通貨ベースの輸入物価(前年比)は2ヵ月連続で上昇

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 7月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比0.4%(6月:同▲0.2%)と2ヵ月ぶりのプラスとなった。内訳をみると、10類別中、7類別で上昇、3類別で低下となった。寄与度をみると、石油・石炭・天然ガスが一般炭、原油、液化天然ガスなどの上昇で0.35%と全体を押し上げた。

契約通貨ベースの前年比では、1.6%(6月:同0.5%)と2ヵ月連続のプラスとなった。内訳をみると、金属・同製品が前年比7.0%(6月:同7.3%)と4ヵ月連続のプラスとなったほか、石油・石炭・天然ガスが同1.6%(6月:同▲0.6%)と16ヵ月ぶりにプラスとなった。

円相場(対ドル)は前月比0.2%と7ヵ月連続のプラスとなったことで、輸入物価は円ベースで前月比0.5%(6月:同0.6%)と4ヵ月連続のプラスとなった。円ベースの前年比は10.8%(6月:同9.5%)と二桁の高い伸びとなった。

3.先行きは円高の急進で上昇率が鈍化する見込み

国内企業物価指数の前年比寄与度分解 7月の国内企業物価はエネルギー価格の上昇と、円安を背景とした輸入物価の上昇に加え、政府の電気・都市ガス価格激変緩和策の終了もあり上昇が加速した。ただし契約通貨ベースの輸入物価は上昇している一方で、足もとでは円高が急進していることから、輸入物価の下落が予想されるため、8月の国内企業物価の前年比上昇率は2%台後半へ鈍化する可能性が高い。

また、電気・都市ガス価格の割引策が8月から3ヵ月間実施されるため、それが反映される9月の国内企業物価は一時的に伸びが鈍化するだろう。10月には同政策の割引額が減少し、11月以降は支援が終了するため、国内企業物価は再び伸びを高めることが予想される。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年08月13日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

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