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- インド消費者物価(24年6月)~6月のCPI上昇率は食品価格が高騰して4ヵ月ぶりの5%台に上昇
2024年07月16日
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インド統計・計画実施省が7月12日に公表した消費者物価指数(以下、CPI)によると、24年6月のCPI上昇率は前年同月比5.1%と、前月の同4.8%から小幅に上昇(図表1)、事前の市場予想1(同4.9%)を上回る結果だった。
地域別の上昇率をみると、都市部が前年同月比4.4%(前月:同4.2%)、農村部が同5.7%(前月:同5.3%)となり、それぞれ上昇した。
地域別の上昇率をみると、都市部が前年同月比4.4%(前月:同4.2%)、農村部が同5.7%(前月:同5.3%)となり、それぞれ上昇した。
6月のCPIの内訳をみると、主に食品価格の上昇が影響して全体を押し上げた。
まず食品は前年同月比9.4%となり、前月の同8.7%から上昇した(図表2)。食品のうち、価格変動の大きい野菜(同29.3%)は大幅な増加が続いた。野菜価格は昨年7-8月に一時急騰し、その後も高い伸びが続いている。インドで日常的に必須な野菜とされるジャガイモ(前月比12.2%)とタマネギ(同24.2%)、トマト(同48.7%)の価格はそれぞれ大きく上昇した。野菜のほか、豆類(前年同月比16.1%)や穀物製品(同8.8%)が高止まり、果物(同7.2%)も上昇した。一方、食用油(同▲2.7%)が下落したほか、香辛料(同2.1%)と牛乳・乳製品(同3.0%)、加工食品(同3.5%)は落ち着いた値動きとなった。
燃料・電力は前年同月比▲3.7%となり、マイナス圏での横ばいが続いた。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は前年同月比3.1%(前月:同3.1%)の横ばいとなり、過去最低水準で推移している。パーソナルケア(同8.2%)と住宅(同2.7%)が前月から上昇した一方、教育(同3.6%)や衣服・靴(同2.7%)、家庭用品・サービス(同2.4%)、娯楽(同2.4%)、輸送・通信(同1.0%)が前月の水準を下回った。
まず食品は前年同月比9.4%となり、前月の同8.7%から上昇した(図表2)。食品のうち、価格変動の大きい野菜(同29.3%)は大幅な増加が続いた。野菜価格は昨年7-8月に一時急騰し、その後も高い伸びが続いている。インドで日常的に必須な野菜とされるジャガイモ(前月比12.2%)とタマネギ(同24.2%)、トマト(同48.7%)の価格はそれぞれ大きく上昇した。野菜のほか、豆類(前年同月比16.1%)や穀物製品(同8.8%)が高止まり、果物(同7.2%)も上昇した。一方、食用油(同▲2.7%)が下落したほか、香辛料(同2.1%)と牛乳・乳製品(同3.0%)、加工食品(同3.5%)は落ち着いた値動きとなった。
燃料・電力は前年同月比▲3.7%となり、マイナス圏での横ばいが続いた。
コアCPI(食品、燃料を除く総合)は前年同月比3.1%(前月:同3.1%)の横ばいとなり、過去最低水準で推移している。パーソナルケア(同8.2%)と住宅(同2.7%)が前月から上昇した一方、教育(同3.6%)や衣服・靴(同2.7%)、家庭用品・サービス(同2.4%)、娯楽(同2.4%)、輸送・通信(同1.0%)が前月の水準を下回った。
6月のCPI上昇率は食品価格が高騰して4ヵ月ぶりに5%台に上昇し、インド準備銀行(RBI)の物価目標の中央値である4%を上回って推移している(図表3)。長引く熱波や南西モンスーンの降雨が弱かったことが食品価格の上昇に繋がったとみられる。もっとも食品価格の上昇は燃料価格やコアCPIのディスインフレ圧力により相殺されて、CPIの上昇は小幅にとどまっている。またRBIは天候不順による食品インフレについては以前から注意を払っており、今回のCPIの結果がRBIの金融政策を大きく左右することはないとみられる。先行きのインフレ率はベース効果の影響により7-9月に一時低下するだろうが、その後は反転すると予想されている。RBIは一時的なインフレの鈍化を受けて直ぐに金融緩和を実施することはなく、その後も目標水準の4%でとどまると確信できたタイミングで、金融政策を転換するとの見方を示している。南西モンスーンの降雨量が予測通り平年を上回れば食品インフレが緩和される可能性もあるなど、上下双方向にインフレリスクがある。引き続き食品価格がインフレの動向を左右する展開となりそうだ。
1 Bloomberg集計の中央値。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年07月16日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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