2024年02月26日

米国財政と24年度予算審議-3月1日の暫定予算の期限が迫る中、連邦政府機関の一部閉鎖リスクが高まる

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
 
  1. 米国の財政状況はコロナ禍に伴う累次に亘る経済対策もあって20年度以降大幅に悪化した。現行政策の継続を前提にしたベースライン予想では34年度にかけても引き続き財政状況の大幅な悪化が見込まれている。
     
  2. 23年10月から会計年度の24年度がスタートしたものの、議会は本予算を成立できておらず、暫定予算で凌ぐ状況が続いている。
     
  3. 民主・共和両党の上下院指導部は1月7日に24年度の裁量的経費の合計額を23年6月に成立した「財政責任法」と整合的な1兆5,900億ドルとすることで合意したものの、歳出法案はまとまっておらず、暫定予算の期限となる3月1日に向けて審議日数が限られる中、期限切れに伴う連邦政府機関の一部閉鎖リスクが高まっている。
     
  4. また、「財政責任法」では4月30日までに本予算が成立しない場合には裁量的経費を23年度から▲1%削減する強制歳出削減が規定されており、一部下院共和党議員が歳出削減のために本予算成立を意図的に遅らせているとの見方もでるなど状況を複雑にしている。
     
  5. 一方、追加予算で喫緊の課題となっているウクライナ支援などでは上院がウクライナなどへの軍事支援を盛り込んだ950億ドル規模の「安全保障法」を2月13日に成立させたものの、下院では審議の目途は立っていない。
     
  6. 今後の予算編成作業における注目材料は暫定予算や歳出法案審議など24年度予算編成作業に加え、3月11日に発表が予定されている25年度の予算教書の内容が注目される。

 
(図表1)財政収支および債務残高(名目GDP比)
■目次

1.はじめに
2.米国の財政状況
  (07年度~23年度実績)
   コロナ禍に伴う経済対策などから20年度以降に財政状況は大幅に悪化
  (24年度~34年度見通し)
   34年度にかけて財政状況は一段と悪化の見込み
3.24年度予算編成の動向
  (暫定予算の概要)
   農業など4分野の期限が3月1日に到来
  (強制歳出削減の概要)
   4月30日までに本予算が成立しない場合に歳出額の▲1%削減が発動
  (追加予算)
   ウクライナ支援を盛り込んだ国家安全保障法の下院審議は不透明
  (歳出法案審議の行方と今後の注目点)
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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