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中国経済:景気指標の総点検(2022年冬季号)-しばらくは感染拡大・死亡増で混乱も、この難局を乗り越えれば、ウィズコロナで経済活動は勢いを取り戻す
三尾 幸吉郎
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1. 中国経済の概況
2. 供給面の3指標
非製造業PMI(非製造業商務活動指数)を見ても(図表-7)、11月は46.7%と2ヵ月連続の50%割れとなった。インフラ投資で支えられた建築業は55.4%と50%超を維持したものの、サービス業が45.1%に落ち込んだ。先行指標となる新規受注も42.3%と、5ヵ月連続の50%割れとなっており、厳しい状況にある。予測指数は54.1%と楽観ムードが残るものの、上海市が事実上のロックダウン下にあった4月(53.6%)以来の低水準まで低下した。
3. 需要面の3指標
輸出(ドルベース)の状況を見ると(図表-11)、11月は前年同月比8.9%減と2ヵ月連続の前年割れとなった。数量ベースでは8月から3ヵ月連続の前年割れであり、先行きは楽観できない。
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
4. その他の4指標と景気の総括
需要面の指標を見ると、11月は2つが“✖”、1つが“○”だった。外需の代表指標である輸出は4ヵ月連続で“✖”となり、投資の代表指標である固定資産投資も“○”から“✖”に転じた。一方、消費の代表指標である小売売上高は4ヵ月ぶりに“○”となった。
供給面の指標を見ると、11月は3つとも“✖”となった。鉱工業生産は4ヵ月連続の“✖”で、特に11月は前月比0.31%減とマイナスに落ち込んだ。10月に“○”に転じた製造業PMIも11月は再び“✖”に転じた。そして非製造業PMIは9月以降3ヵ月連続の“✖”である。
その他の指標を見ると、電力消費量は9月以降3ヵ月連続の“✖”と低迷している(図表-13)。道路貨物輸送量は前述の通り11月は未公表だが、10月は4ヵ月ぶりに“✖”に転じていた。但し、モノの動きを表わす他の指標を見ると入港船舶が回復しているので、“○”に転じたかもしれない(図表-14)。工業生産者出荷価格(PPI)は9月まで5ヵ月連続の“✖”と下落基調だったが、10月・11月は2ヵ月連続の“〇”と底打ちの兆しがある。通貨供給量(M2)は10月に一旦“✖”に転じたものの11月は“〇”に戻った。昨年10月以降、中国政府(含む中国人民銀行)は金融緩和を進めてきたが、現在もそれを維持していることが分かる。但し、社会融資総量の伸びは依然として鈍い(図表-15)。金融緩和を進めたにもかかわらず、投資意欲は盛り上がりに欠けている。
11月に景気が落ち込んだ背景には防疫管理緩和を巡る混乱があった。中国政府は11月11日、「20条措置」を発表し防疫管理を緩和し始めた。ところが、その方針が地方に徹底されず、11月下旬には行動制限に飽き飽きした国民が抗議活動を起こすなど混乱を招いた。さらに防疫管理緩和に伴って北京では感染が急増し、死亡者も増え始めており、年明け1月21日~27日の春節連休では人流が増えるため感染爆発は中国全土に広がる可能性が高い。それにもかかわらず中国政府は断固として防疫管理緩和を進めている。12月7日には改めて「10条措置」を発表し、孫春欄副首相が前面に出て地方に防疫管理緩和を徹底した。したがって、ここしばらくは中国全土での感染爆発とそれに伴う死亡者急増という修羅場となりそうだ。但し、日本を含むほとんどの先進国はこうした修羅場を乗り越えた上で現在のウィズコロナに至っている。中国もこの難局を乗り切れば、経済活動は徐々に勢いを取り戻すだろう。現在は夜明け前の最も暗い時間帯と言えるだろう。
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(2022年12月23日「Weekly エコノミスト・レター」)
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