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- 米個人所得・消費支出(22年6月)-PCE価格指数(前年同月比)は総合指数、コア指数ともに前月から上昇
2022年08月01日
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1.結果の概要:個人所得、個人消費ともに市場予想を上回る
7月29日、米商務省の経済分析局(BEA)は6月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は前月比+0.6%(前月改定値:+0.6%)と+0.5%から小幅上方修正された前月に一致、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)の+0.5%は上回った(図表1)。個人消費支出は前月比+1.1%(前月改定値:+0.3%)とこちらは+0.2%から小幅上方修正された前月、市場予想の+1.0%も上回った。また、価格変動の影響を除いた実質個人消費支出(前月比)は+0.1%(前月改定値:▲0.3%)と▲0.4%から小幅上方修正された前月からプラスに転じたほか、市場の横這い予想を上回った(図表5)。貯蓄率1は5.1%(前月:5.5%)と前月から▲0.4%ポイント低下し、09年8月(4.9%)以来の水準となった。
価格指数は、総合指数が前月比+1.0%(前月:+0.6%)と前月から上昇し、市場予想(+0.9%)も上回った。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.6%(前月:+0.3%)とこちらも前月から上昇し、市場予想(+0.5%)も上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+6.8%(前月:+6.3%)と前月から上昇した一方、市場予想(+6.8%)に一致した。コア指数は+4.8%(前月:+4.7%)と前月から上昇したほか、市場予想(+4.7%)も上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+1.0%(前月:+0.6%)と前月から上昇し、市場予想(+0.9%)も上回った。変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は前月比+0.6%(前月:+0.3%)とこちらも前月から上昇し、市場予想(+0.5%)も上回った(図表6)。前年同月比は総合指数が+6.8%(前月:+6.3%)と前月から上昇した一方、市場予想(+6.8%)に一致した。コア指数は+4.8%(前月:+4.7%)と前月から上昇したほか、市場予想(+4.7%)も上回った(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:家計は貯蓄を取り崩して消費を継続

一方、個人所得(前月比)は実質可処分所得がマイナスに転じるなど、個人所得の伸びがインフレを下回った結果、6月の貯蓄率は09年8月以来の水準に低下するなど、家計はインフレ上昇に伴う実質購買力の低下を補うために貯蓄を取り崩して消費している姿が鮮明となった。
一方、FRBが物価指標としているPCE価格指数(前年同月比)は、総合指数が82年1月(6.9%)以来の水準に上昇したほか、物価の基調を示すコア指数も4ヵ月ぶりに上昇に転じており、足元で物価上昇圧力が緩和していないことを示した。
3.所得動向:賃金・給与の堅調な伸びが持続
6月の個人所得(前月比)は、堅調な労働市場を背景に賃金・給与が+0.5%(前月:+0.6%)と前月から小幅に鈍化したものの、堅調な伸びを維持したほか、自営業者所得が+1.4%(前月:+1.2%)と前月から伸びが加速した(図表2)。また、利息配当収入も+0.6%(前月:+0.8%)と前月から鈍化したものの、堅調な伸びを維持した。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、6月の名目が+0.7%(前月:+0.6%)と前月から小幅ながら伸びが加速した(図表3)。もっとも、価格変動の影響を除いた実質ベースは▲0.3%(前月:横這い)とこちらは前月からマイナスに転じており、可処分所得の伸びが物価上昇に追いついていない状況を示した(図表3)。
個人所得から税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、6月の名目が+0.7%(前月:+0.6%)と前月から小幅ながら伸びが加速した(図表3)。もっとも、価格変動の影響を除いた実質ベースは▲0.3%(前月:横這い)とこちらは前月からマイナスに転じており、可処分所得の伸びが物価上昇に追いついていない状況を示した(図表3)。
4.消費動向:財消費が大幅に増加
6月の名目個人消費(前月比)は、財消費が+1.6%(前月:▲0.8%)と前月から大幅なプラスに転じたほか、サービス消費は+0.8%(前月:+0.8%)と前月並みの堅調な伸びを維持した(図表4)。
財消費は、耐久財が+1.5%(前月:▲2.9%)と前月からプラスに転じたほか、非耐久財は+1.7%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速した。
耐久財では、自動車・自動車部品が+2.5%(前月:▲5.2%)、家具・家電が+1.0%(前月:▲0.6%)、娯楽財・スポーツカーが+1.2%(前月:▲2.0%)といずれもプラスに転じた。
非耐久財では、食料・飲料が+0.3%(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化したものの、衣料・靴が横這い(前月:▲0.3%)とプラスに転じたほか、ガソリン・エネルギーが+9.7%(前月:+3.5%)と伸びが加速した。もっとも、ガソリン・エネルギーは大幅なプラスとなったものの、実質ベースでは4ヵ月連続でマイナスとなっており、名目消費の高い伸びは価格上昇によるものである。
サービス消費は、金融サービスが▲0.7%(前月:▲0.7%)と前期並みのマイナスとなったほか、娯楽が+0.2%(前月:+0.4%)と前月から伸びが鈍化した。一方、輸送サービスが+1.4%(前月:+1.4%)と前月並みの堅調な伸びを維持したほか、住宅・公共料金が+0.8%(前月+0.7%)、外食・宿泊が+1.0%(前月:+0.5%)、医療サービスも+1.2%(前月:+0.7%)と前月から伸びが加速するなどマチマチとなった。
財消費は、耐久財が+1.5%(前月:▲2.9%)と前月からプラスに転じたほか、非耐久財は+1.7%(前月:+0.5%)と前月から伸びが加速した。
耐久財では、自動車・自動車部品が+2.5%(前月:▲5.2%)、家具・家電が+1.0%(前月:▲0.6%)、娯楽財・スポーツカーが+1.2%(前月:▲2.0%)といずれもプラスに転じた。
非耐久財では、食料・飲料が+0.3%(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化したものの、衣料・靴が横這い(前月:▲0.3%)とプラスに転じたほか、ガソリン・エネルギーが+9.7%(前月:+3.5%)と伸びが加速した。もっとも、ガソリン・エネルギーは大幅なプラスとなったものの、実質ベースでは4ヵ月連続でマイナスとなっており、名目消費の高い伸びは価格上昇によるものである。
サービス消費は、金融サービスが▲0.7%(前月:▲0.7%)と前期並みのマイナスとなったほか、娯楽が+0.2%(前月:+0.4%)と前月から伸びが鈍化した。一方、輸送サービスが+1.4%(前月:+1.4%)と前月並みの堅調な伸びを維持したほか、住宅・公共料金が+0.8%(前月+0.7%)、外食・宿泊が+1.0%(前月:+0.5%)、医療サービスも+1.2%(前月:+0.7%)と前月から伸びが加速するなどマチマチとなった。
5.価格指数:エネルギー、食料品価格ともに前年同月比で伸びが加速
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(2022年08月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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