- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 不動産市場・不動産市況 >
- コロナ禍で変わる新しいワークプレイスのあり方
2020年09月03日
    文字サイズ
- 小
- 中
- 大
                                                                        新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、大手企業を中心に急速にテレワーク等による「在宅勤務」が普及するなか、テナント企業のワークプレイスに対する考え方に変化が生じている。
内閣府「新型コロナウィルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、テレワーク実施率は、全国で35%、東京都区部では56%となり、過半数を超えた。通勤時間の削減によって家族との時間が増えた等のメリットから、テレワーク利用者の半数近くが今後もテレワークを中心として働くことを希望している(図表1)。
また、ザイマックス不動産総合研究所のアンケート調査によれば、「アフターコロナのワークプレイスの方向性」に関して、「メインオフィスとテレワークの両方を使い分ける」(47%)との回答が最も多く、「テレワークを拡充し、メインオフィスを縮小する」との回答は14%に留まる(図表2)。今後は「在宅勤務」と「オフィス勤務」を組み合わせたワークスタイルが定着していくことになりそうだ。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けた事業継続活動(BCP)を考えた場合、今後、事業拠点のエリア分散を検討する企業が増える可能性がある。これまで、企業のBCP対応は、地震などの自然災害企業への対応が中心で感染症拡大への対策は相対的に遅れていた。今後、拠点分散に取り組むにあたり、郊外の「シェアオフィス」や「レンタルオフィス」等を利用する企業も増えると思われる。
            内閣府「新型コロナウィルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、テレワーク実施率は、全国で35%、東京都区部では56%となり、過半数を超えた。通勤時間の削減によって家族との時間が増えた等のメリットから、テレワーク利用者の半数近くが今後もテレワークを中心として働くことを希望している(図表1)。
また、ザイマックス不動産総合研究所のアンケート調査によれば、「アフターコロナのワークプレイスの方向性」に関して、「メインオフィスとテレワークの両方を使い分ける」(47%)との回答が最も多く、「テレワークを拡充し、メインオフィスを縮小する」との回答は14%に留まる(図表2)。今後は「在宅勤務」と「オフィス勤務」を組み合わせたワークスタイルが定着していくことになりそうだ。
新型コロナウィルスの感染拡大を受けた事業継続活動(BCP)を考えた場合、今後、事業拠点のエリア分散を検討する企業が増える可能性がある。これまで、企業のBCP対応は、地震などの自然災害企業への対応が中心で感染症拡大への対策は相対的に遅れていた。今後、拠点分散に取り組むにあたり、郊外の「シェアオフィス」や「レンタルオフィス」等を利用する企業も増えると思われる。
                                                                        ところで、「在宅勤務」では「コミュニケーションの量」が生産性をはかる重要な指標となる。特に、管理職や営業職等、対面でのコミュニケーションが求められる職種では、在宅勤務は非効率で生産性が低下するとの指摘がある。パーソルファシリティマネジメント「在宅ワーク経験者対象 今後のワークスタイルに関する意識調査」によれば、在宅勤務の経験者が「これからのオフィスに求めるもの」として、「気軽に質問・相談できる場」との回答が半数を、「新しい知恵・知見を得る場」との回答が約4割を占めた(図表3)。実際に在宅勤務を経験し、オフィスはコミュニケーションを図る場として重要だと再認識されたと言える。
一方、人との交流機会の場であるオフィスは、不特定多数の利用者が出入りすることから、感染症拡大防止や利用者の健康に配慮した対応が求められている。前述のザイマックス不動産総合研究所の調査では、アフターコロナのワークプレイスの方向性として「健康や感染症対策に配慮したオフィス運用(衛生管理、人口密度等)」との回答が23%、「健康や感染症対策に配慮したオフィス設計(換気、面積、動線等)」との回答が14%を占めている(図表2)。
ザイマックス不動産総合研究所「ビルオーナーの実態調査2019」によれば、これまでビルオーナーが価値向上のための実施した施策は、「設備の省エネ化(照明のLED 化等)」や「エントランス等の共用部分の内装リニューアル」が中心で、「利用者の健康につながる設備やサービスの導入」を行った事例は少なかったようだ(図表4)。
「在宅勤務」と「オフィス勤務」を組み合わせたワークスタイルの定着や、「シェアオフィス」の利用拡大等、オフィスビルの事業環境は大きく変化している。このような状況下で、ビルオーナーは、いわゆる「3密」を回避しつつ、生産性を高めるコミュニケーションの場を提供することが求められている。企業業績の悪化に伴い、テナントのスペース需要が縮小することが懸念されるなか、テナントのニーズ変化に対応した不動産マネジメント力がこれまで以上に求められることになりそうだ。
            一方、人との交流機会の場であるオフィスは、不特定多数の利用者が出入りすることから、感染症拡大防止や利用者の健康に配慮した対応が求められている。前述のザイマックス不動産総合研究所の調査では、アフターコロナのワークプレイスの方向性として「健康や感染症対策に配慮したオフィス運用(衛生管理、人口密度等)」との回答が23%、「健康や感染症対策に配慮したオフィス設計(換気、面積、動線等)」との回答が14%を占めている(図表2)。
ザイマックス不動産総合研究所「ビルオーナーの実態調査2019」によれば、これまでビルオーナーが価値向上のための実施した施策は、「設備の省エネ化(照明のLED 化等)」や「エントランス等の共用部分の内装リニューアル」が中心で、「利用者の健康につながる設備やサービスの導入」を行った事例は少なかったようだ(図表4)。
「在宅勤務」と「オフィス勤務」を組み合わせたワークスタイルの定着や、「シェアオフィス」の利用拡大等、オフィスビルの事業環境は大きく変化している。このような状況下で、ビルオーナーは、いわゆる「3密」を回避しつつ、生産性を高めるコミュニケーションの場を提供することが求められている。企業業績の悪化に伴い、テナントのスペース需要が縮小することが懸念されるなか、テナントのニーズ変化に対応した不動産マネジメント力がこれまで以上に求められることになりそうだ。
(2020年09月03日「ニッセイ年金ストラテジー」)
このレポートの関連カテゴリ
 
                                        03-3512-1861
経歴
                            - 【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所
 2025年7月より現職
 【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/10/15 | 「生活の質」と住宅価格の関係~教育サービス・治安・医療サービスが新築マンション価格に及ぼす影響~ | 吉田 資 | 不動産投資レポート | 
| 2025/09/29 | 「東京都心部Aクラスビル市場」の現況と見通し(2025年9月時点) | 吉田 資 | 不動産投資レポート | 
| 2025/09/24 | 地方に芽吹く起業の「ホットスポット」~東京圏一極集中は是正されるか | 吉田 資 | 研究員の眼 | 
| 2025/09/03 | 外国人が支える人口動態~多言語対応等の居住支援が喫緊の課題 | 吉田 資 | ニッセイ年金ストラテジー | 
新着記事
- 
                2025年11月04日 
 今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】
- 
                2025年10月31日 
 交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋
- 
                2025年10月31日 
 ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定
- 
                2025年10月31日 
 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~
- 
                2025年10月31日 
 保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
- 
                        2025年07月01日 News Release 
- 
                        2025年06月06日 News Release 
- 
                        2025年04月02日 News Release 
【コロナ禍で変わる新しいワークプレイスのあり方】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
コロナ禍で変わる新しいワークプレイスのあり方のレポート Topへ 
            




 
                     
                    
 経済 のレポート
経済 のレポート 
                                     
                                     
                                     
                                    
 
                                             
                         
                         
                        


 
            
 
                     
					


