- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 貿易統計20年6月-4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.4%(年率▲12.9%)の大幅マイナスに
2020年07月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.輸出の大幅減少が継続
財務省が7月20日に公表した貿易統計によると、20年6月の貿易収支は▲2,688億円の赤字となり、事前の市場予想(QUICK集計:▲256億円、当社予想は1,863億円)を下回る結果となった。輸出が前年比▲26.2%(5月:同▲28.3%)と3ヵ月連続で前年比▲20%台の大幅減少となる一方、輸入の減少幅が5月の前年比▲26.2%から同▲14.4%へと縮小したため、貿易収支は前年に比べ▲8,569億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲27.1%(5月:同▲27.3%)、輸出価格が前年比1.2%(5月:同▲1.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲0.8%(5月:同▲14.5%)、輸入価格が前年比▲13.8%(5月:同▲13.6%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲27.1%(5月:同▲27.3%)、輸出価格が前年比1.2%(5月:同▲1.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比▲0.8%(5月:同▲14.5%)、輸入価格が前年比▲13.8%(5月:同▲13.6%)であった。
季節調整済の貿易収支は▲4,239億円と4ヵ月連続の赤字となったが、5月の▲5,857億円から赤字幅が縮小した。輸出が前月比1.4%と4ヵ月ぶりに増加する一方、輸入が前月比▲1.8%の減少となった。
2.欧米向け輸出は4-6月期に急速に落ちこんだが、6月には下げ止まり
20年6月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲47.0%(5月:同▲49.4%)、EU向けが前年比▲33.0%(5月:同▲34.8%)、アジア向けが前年比▲17.8%(5月:同▲11.4%)、うち中国向けが前年比▲2.0%(5月:同▲0.4%)となった。
20年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲37.5%(1-3月期:同▲0.1%)、EU向けが前期比▲26.3%(1-3月期:同▲3.1%)、アジア向けが前期比▲9.1%(1-3月期:同▲4.2%)、中国向けが前期比6.4%(1-3月期:同▲7.5%)、全体では前期比▲20.7%(1-3月期:同▲4.0%)となった。
20年4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲37.5%(1-3月期:同▲0.1%)、EU向けが前期比▲26.3%(1-3月期:同▲3.1%)、アジア向けが前期比▲9.1%(1-3月期:同▲4.2%)、中国向けが前期比6.4%(1-3月期:同▲7.5%)、全体では前期比▲20.7%(1-3月期:同▲4.0%)となった。
多くの国で都市封鎖が行われていた欧米向けが急激に落ち込む一方、経済活動の再開、工場の再稼働が早かった中国向けがすでに持ち直していることから、アジア向けは落ち込み幅が相対的に小さい。また、欧米向けの輸出数量(季節調整値)を前月比でみると、4、5月に急速に落ち込んだ後、段階的な経済活動の再開を反映し、6月には小幅ながら上昇に転じている。7-9月期は前期比でプラスに転じる可能性が高いだろう。ただし、経済活動の水準が元に戻るまでには時間を要するため、輸出の回復ペースは急激な落ち込みの後としては緩やかなものにとどまることが予想される。一方、20年4-6月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、前期比4.8%(1-3月期:同▲7.0%)と2四半期ぶりに上昇した。国内需要は全体としては大きく落ち込んだが、中国の生産活動が再開する中で、パソコン等の消費財が増加した。
3.4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.4%の大幅マイナスに
6月までの貿易統計と5月までの国際収支統計の結果を踏まえて、20年4-6月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲22%の減少、輸入が前期比▲1%程度の減少となった。海外主要国の都市封鎖の影響で輸出が急速に落ち込む一方、対中国を中心に輸入が底堅い動きとなったため、4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.4%(前期比年率▲12.9%)の大幅マイナスとなることが予想される。なお、財の輸入は前期比で増加したが、海外旅行の消滅などによりサービスの輸入が急減したことから、財貨・サービスの輸入は小幅な減少になったとみられる。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、8/3のweeklyエコノミストレターで20年4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し下げることに加え、緊急事態宣言の発令を受けて民間消費をはじめとした国内需要が大きく落ち込むことから、前期比年率▲20%台後半のマイナス成長を予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、8/3のweeklyエコノミストレターで20年4-6月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を大きく押し下げることに加え、緊急事態宣言の発令を受けて民間消費をはじめとした国内需要が大きく落ち込むことから、前期比年率▲20%台後半のマイナス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年07月20日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/31 | 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター |
| 2025/10/31 | 鉱工業生産25年9月-7-9月期の生産は2四半期ぶりの減少も、均してみれば横ばいで推移 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/31 | 雇用関連統計25年9月-女性の正規雇用比率が50%に近づく | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ |
| 2025/10/30 | 潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性 | 斎藤 太郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【貿易統計20年6月-4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.4%(年率▲12.9%)の大幅マイナスに】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
貿易統計20年6月-4-6月期の外需寄与度は前期比▲3.4%(年率▲12.9%)の大幅マイナスにのレポート Topへ













