コラム
2020年04月27日

ニッポンの離婚はいつ起こっているのか?(1)-離婚統計2018年齢ゾーン考察

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー   天野 馨南子

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結婚の4組に1組が再婚者を含む「リスタート婚」時代

婚姻届の分析結果から、50歳以降において初婚の男女が結婚することは発生確率的にみればほぼゼロに近いが、その50歳時点で結婚歴がない男女に、人口割合ならびに人口数の格差があることをこれまでも伝えてきた。
 
50歳時点で結婚歴がない人は、男性では4人に1人、女性では7人に1人という男女格差が生じている。このことについては、「再婚者の数が長期にわたり男性>女性」であるという状況から説明ができる(2018年5月:「初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(上)(下)」参照)。
 
人口動態的には、高齢者になるまでは1ほぼ男女人口が同数であることと、日本は1夫1妻制であることから、高齢者を除く男女の「独身者数」はほぼ同数となる。しかし、未婚者数はそのうちの「婚歴のない独身者」を指すため、再婚男性と初婚女性という組み合わせの婚姻が、その逆(女性のみ再婚の婚姻)を上回る状況が続くと、男性未婚者数>女性未婚者数となるのである。

視点を変えれば、同じ独身者ステータスであっても、日本においては常に女性のほうが男性よりも婚歴のある人が多く含まれる、ということになる。
 
そして、この「再婚者を含む婚姻」(再婚者同士+どちらかが再婚)の全婚姻に占める割合が、大きく増加してきていることがデータからはみてとれる(図表1、図表2)。

再婚者を含む婚姻は、1970年にはわずか11%(10組に1組)に過ぎなかったが、最新の2018年統計では27%2(4組に1組超)にまで増加してきている。
【図表1】婚姻件数の推移/総数、初婚同士、再婚者含み別(件数)
【図表2】全婚姻に占める「再婚者含み婚」の割合(%)
一方、マスメディアなどでは、こういった再婚増加の事実よりも「離婚の急増」ばかりが取り上げられ易く、その結果「結婚はリスク。だって離婚が増加しているから」といった、結婚に対するリスク意識を助長しやすい傾向がある。しかし、じつは離婚のその先に、「婚姻の4組に1組を形成するリスタート婚」があることにも注目したい。
 
古くからある「(まれにしか起こらないので)離婚は世間体が悪い」といった価値観に疑問を投げかけるデータということもでき、時代的には「離婚が増えているというけれども、それがあってこその幸せをつかむ『リスタート婚』も増加している」という、前向きな離婚への解釈を促すものであるともいえるだろう。
 
1 男性のほうが女性よりも寿命が短いことから、70代以降は男女人口の大きな格差が生じ、男性<女性となる。
2 内訳としては再婚者同士10%、男性のみ再婚者10%、女性のみ再婚者7%となっている。

3組に1組が離婚、の計算根拠とは

ニッポンの離婚はいつ起こっているのか?(1)の最後に、メディアなどでよく取り上げられ、一般イメージとしても認識の強い「今や3組に1組が離婚」の計算根拠について解説しておきたい。
 
本来は一定期間の全婚姻を個人ベースで追跡し、その離婚率を計算することが最も正確な測定法ではあるが、離婚までの期間にはある程度の散らばりがある3。そこで、大まかな把握方法として採用されているのが、<その年の離婚届数>/<その年の婚姻届数> である(図表3)。
【図表3】1970年~2018年 離婚届/婚姻届の推移(%)
もちろん、ある年度に離婚する人は、その年度以前に婚姻した人がほとんどであり、人口減少や未婚化の影響で毎年の婚姻数が減少傾向にある中では、分母分子の婚姻時期がことなるため、離婚の数字が大きくなりやすい。とはいえ、ある年度に発生している婚姻数のボリュームと離婚数のボリュームを比較して把握することはできる。1970年には9.3%(10組に対して1組未満)であったが、1995年には21.8%(5組に対して1組)を超え、2000年以降は33%以上の3組に対して1組以上の割合で推移している。

件数推移からは、長期で見ても短期で見ても、現在の日本の離婚は、婚姻の大体3組に対して1組のボリュームの発生状況にある、ということが可能である。
 
しかしながら、話は最初に戻るが、このような高い発生状況にある離婚を背景として、4組に1組を超えるリスタートカップルが生まれて、新たな家族を形成している。そのため、1970年代の状況のままの価値観で、「離婚=結婚生活の終わり」ましてや「家族形成の終焉」と断じることは決してならない、と言えるだろう。
 
3 結婚から離婚に至るまでの期間の分析結果は次の(2)で紹介する。
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生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

(2020年04月27日「研究員の眼」)

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