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コラム
2017年05月10日
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小幅な資金流入
新設のAIファンドに資金流入
個別ファンドへの資金流入を見ると、毎月分配型のファンドと合わせて4月に新設されたAI(人工知能)関連ファンドに資金流入した【図表2】。為替ヘッジなしが2位、為替ヘッジありが10位となった「ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド -AI新時代-」はテクノロジー系の企業に投資するテーマ型のファンドである。その一方で、9位の「GSビッグデータ・ストラテジー(米国小型株)」は米国の小型株の優良銘柄を選別する際に、AIを活用するファンドである。
3月までに新設されたAI関連ファンドと比べると、4月に新設された2ファンドの設定金額は小さかった。やはり4月中旬まで地政学リスクが意識され、世界的に株価が下落していたことが響いたと思われる。ただ、AI関連ファンドに限らず人気ファンドへの流入も、3月と比べて4月は小額であったことを考慮すると、投資家のAI熱はまださめていないと言えるだろう。
5位にインド株式ファンド、7位にインド・ルピーの通貨選択型ファンドが入り、インド関連ファンドの人気が高かった。インドでは3月の地方選挙以降、モディ政権への政策実行期待が高まっており、インド株高やインド・ルピー高の傾向が続いていた。今後も株高や通貨高が続くことを見込んだ投資家が、インド関連ファンドに資金を振り向けていたようだ。
3月までに新設されたAI関連ファンドと比べると、4月に新設された2ファンドの設定金額は小さかった。やはり4月中旬まで地政学リスクが意識され、世界的に株価が下落していたことが響いたと思われる。ただ、AI関連ファンドに限らず人気ファンドへの流入も、3月と比べて4月は小額であったことを考慮すると、投資家のAI熱はまださめていないと言えるだろう。
5位にインド株式ファンド、7位にインド・ルピーの通貨選択型ファンドが入り、インド関連ファンドの人気が高かった。インドでは3月の地方選挙以降、モディ政権への政策実行期待が高まっており、インド株高やインド・ルピー高の傾向が続いていた。今後も株高や通貨高が続くことを見込んだ投資家が、インド関連ファンドに資金を振り向けていたようだ。
ハイリスク・ハイリターンな単一地域の新興国株式
4月はトルコやインド、年初から振り返ると1月はブラジルといった単一新興国へ集中投資している株式ファンドが、短期的に顕著なパフォーマンスを上げることが多い。その一方で、長期のパフォーマンスはどうだったのだろうか。人気が高いBRICs4カ国(ブラジル、ロシア、インド、中国)と4月好調だったトルコの株式ファンドについて、リーマン・ショックの影響が軽微になった2010年以降の年ごとのファンドの実際のパフォーマンスを見てみよう【図表4】。なお、参考に日経平均の年間騰落率も表示した。
まず、インドとトルコが2017年の年初来で見ても好調といえるが、前年までの2015年と2016年は両国とも下落していた。特に、トルコは2年累計で40%も下落していた。それ以前を見ても、2012年と2014年はともに40%以上上昇していたが、2011年はそろって40%程度下落していた。好不調の波が激しく、高パフォーマンスが2年以上続いたことは両国とも無かった。
またインドとトルコ以外の3カ国についても、ほぼ同様の傾向が見られた。パフォーマンスが良い年は30%以上上昇していたが、その一方で大きく下落している年もあった。特に、2011年は5カ国全てで下落し、下落率は25%以上であった。同年、日経平均も下落していたが下落率が17%であったことを踏まえると、各新興国の株価は国内株式以上に下落していたことが分かる。また、高パフォーマンスが年をまたいで継続したのは中国(2012~2014年)のみで、この8年間右肩上がりに株価が円建てで上昇した国はなかった。
つまり、人気新興国への株式投資は、国による違いは多少あったものの、一様にハイリスク・ハイリターンであったといえるだろう。
まず、インドとトルコが2017年の年初来で見ても好調といえるが、前年までの2015年と2016年は両国とも下落していた。特に、トルコは2年累計で40%も下落していた。それ以前を見ても、2012年と2014年はともに40%以上上昇していたが、2011年はそろって40%程度下落していた。好不調の波が激しく、高パフォーマンスが2年以上続いたことは両国とも無かった。
またインドとトルコ以外の3カ国についても、ほぼ同様の傾向が見られた。パフォーマンスが良い年は30%以上上昇していたが、その一方で大きく下落している年もあった。特に、2011年は5カ国全てで下落し、下落率は25%以上であった。同年、日経平均も下落していたが下落率が17%であったことを踏まえると、各新興国の株価は国内株式以上に下落していたことが分かる。また、高パフォーマンスが年をまたいで継続したのは中国(2012~2014年)のみで、この8年間右肩上がりに株価が円建てで上昇した国はなかった。
つまり、人気新興国への株式投資は、国による違いは多少あったものの、一様にハイリスク・ハイリターンであったといえるだろう。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2017年05月10日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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