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1――認知症治療・予防に光明が
では、どのような光明の兆しがあるのか、ここでは「測定技術の進歩」と「効果的な薬の登場」について紹介したい。まずアルツハイマー型認知症とは何かを説明しておくが、これは脳内の血管に「アミロイドβたんぱく」と「タウたんぱく」というたんぱく質の「かす」が蓄積されていくことが原因の発端にある。これらが長年にわたって脳内に蓄積されていくと、アミロイドβの中の毒性やタウたんぱくが変化した物質によって脳内の神経細胞が破壊され、やがて記憶障害や認知機能障害が引き起こされていくというプロセスを辿る(発症するかどうかは個人差がある)。アミロイドβとタウという2つのたんぱく質の存在が、予防にしろ、治療にしろ重要な鍵を握るのである。
2――期待される「測定技術」と「薬」
脳の状態をより早期にわかれば、あとは原因となる「かす」を溜めない、排出することが必要になる。そこで現在注目されているのが「動脈硬化の再発を防ぐ薬」である。瀧氏の著書から引用すれば、「この薬は血液をサラサラにして、血液の塊が血管の中に詰まらないようにするものだが、アミロイドβを減少させる働きがあることもわかった」ということである。確かに血管に溜まった「かす」が原因であることを考えれば、血液をサラサラにしていくことが効果的であることは納得的である。まだ実際の臨床場面では使用できないようであるが、既存の薬を利用できる分、新薬を開発するよりは近い将来、この薬を利用できることが期待できる。
3――「アクティブな生活の継続」が最大の予防策
生活研究部 上席研究員・ジェロントロジー推進室兼任
前田 展弘 (まえだ のぶひろ)
研究・専門分野
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)、超高齢社会・市場、QOL(Quality of Life)、ライフデザイン
03-3512-1878
- 2004年 :ニッセイ基礎研究所入社
2006~2008年度 :東京大学ジェロントロジー寄付研究部門 協力研究員
2009年度~ :東京大学高齢社会総合研究機構 客員研究員
(2022年度~ :東京大学未来ビジョン研究センター・客員研究員)
2021年度~ :慶応義塾大学ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター・訪問研究員
内閣官房「一億総活躍社会(意見交換会)」招聘(2015年度)
財務省財務総合政策研究所「高齢社会における選択と集中に関する研究会」委員(2013年度)、「企業の投資戦略に関する研究会」招聘(2016年度)
東京都「東京のグランドデザイン検討委員会」招聘(2015年度)
神奈川県「かながわ人生100歳時代ネットワーク/生涯現役マルチライフ推進プロジェクト」代表(2017年度~)
生協総研「2050研究会(2050年未来社会構想)」委員(2013-14、16-18年度)
全労済協会「2025年の生活保障と日本社会の構想研究会」委員(2014-15年度)
一般社団法人未来社会共創センター 理事(全体事業統括担当、2020年度~)
一般社団法人定年後研究所 理事(2018-19年度)
【資格】 高齢社会エキスパート(総合)※特別認定者、MBA 他
(2015年12月07日「基礎研マンスリー」)
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