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- 「仙台オフィス市場」の現況と見通し(2025年)
2025年08月07日
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3-2.オフィスビルの新規供給見通し
(1)仙台中心部で進む再開発
仙台市は、老朽化したビル等の建て替えによる高機能オフィスの整備と、企業誘致の促進を目指す「せんだい都心再構築プロジェクト18」を2019年7月から開始しており、同プロジェクトを活用した大型オフィスの竣工や開発が進んでいる。
東京建物は仙台駅前の南町通に「T-PLUS仙台」(延床面積1.4 万m2・地上12階建て)を開発し、2024年1月に竣工した19(図表-19 ①)。また、鹿島建設は中央三丁目で「NANT仙台南町」(延床面積1.2万m2・地上11階建て)を開発し、2025年6月に竣工した20(図表-19 ②)。
今後も、同プロジェクトを活用した大規模オフィス開発が予定されている。サンケイビルは、青葉区一番町2丁目で、地上12階建てのオフィスビル(延床面積約1.1万m2)を開発中で、2027年3月の竣工を予定している21(図表-19 ③)。
また、第一生命保険は、青葉区国分町3丁目の「仙台第一生命ビル」を建替えて、地上13階建てのオフィスビル(延床面積約1.6万m2)を開発中で、2028年の竣工を予定している22(図表-19 ④)。青葉区中央 2 丁目では、読売新聞と東急不動産が、「読売仙台ビル」と隣接する「新伝馬町中央通りビル」を建替えて、オフィスやホテルを含む複合ビル(延床面積約4.2万m2)を開発中で、2029年度に竣工予定である23。
東日本興業(東北電力系の不動産管理会社)、戸田建設、明治安田生命保険、三菱地所等は、「電力ビル」中心とした一体開発を計画しており24、2023年5月に「せんだい都心再構築プロジェクト」の「グリーンビルディング」第1号案件に認定された。同計画は、開発面積が約1.8haと過去最大規模で、オフィスや音楽ホールが入居する高層複合ビル2棟(南棟:地上24階・北棟:地上35階)等を開発し、2035年頃の完成を目指している25(図表-19 ⑤)。
(1)仙台中心部で進む再開発
仙台市は、老朽化したビル等の建て替えによる高機能オフィスの整備と、企業誘致の促進を目指す「せんだい都心再構築プロジェクト18」を2019年7月から開始しており、同プロジェクトを活用した大型オフィスの竣工や開発が進んでいる。
東京建物は仙台駅前の南町通に「T-PLUS仙台」(延床面積1.4 万m2・地上12階建て)を開発し、2024年1月に竣工した19(図表-19 ①)。また、鹿島建設は中央三丁目で「NANT仙台南町」(延床面積1.2万m2・地上11階建て)を開発し、2025年6月に竣工した20(図表-19 ②)。
今後も、同プロジェクトを活用した大規模オフィス開発が予定されている。サンケイビルは、青葉区一番町2丁目で、地上12階建てのオフィスビル(延床面積約1.1万m2)を開発中で、2027年3月の竣工を予定している21(図表-19 ③)。
また、第一生命保険は、青葉区国分町3丁目の「仙台第一生命ビル」を建替えて、地上13階建てのオフィスビル(延床面積約1.6万m2)を開発中で、2028年の竣工を予定している22(図表-19 ④)。青葉区中央 2 丁目では、読売新聞と東急不動産が、「読売仙台ビル」と隣接する「新伝馬町中央通りビル」を建替えて、オフィスやホテルを含む複合ビル(延床面積約4.2万m2)を開発中で、2029年度に竣工予定である23。
東日本興業(東北電力系の不動産管理会社)、戸田建設、明治安田生命保険、三菱地所等は、「電力ビル」中心とした一体開発を計画しており24、2023年5月に「せんだい都心再構築プロジェクト」の「グリーンビルディング」第1号案件に認定された。同計画は、開発面積が約1.8haと過去最大規模で、オフィスや音楽ホールが入居する高層複合ビル2棟(南棟:地上24階・北棟:地上35階)等を開発し、2035年頃の完成を目指している25(図表-19 ⑤)。
仙台市では、上記の再開発プロジェクト以外にも複数計画されている。
大和ハウス工業は、青葉区本町1丁目の「第一日本オフィスビル」を建替えて、地上19階建てのオフィスビル(延床面積約2万m2)を開発する計画で、2028年の竣工を予定している26(図表-20 ①)。
さらに、仙台市はJR仙台駅西口の青葉通の一部区間を、屋外広場に整備することを検討している。この屋外広場の整備は、当初、青葉通沿道の「EDEN(エデン)」(2024年1月営業終了)や「さくら野百貨店仙台店」(2017年2月閉店)等の再開発と連動して行う計画であった27。
「EDEN」跡地では、土地所有者のオリックスグループが温泉掘削を予定しており、隣接するGSビル跡地と合わせてホテルを含む複合施設の開発を検討しているが、現時点で計画は未定とのことである28(図表-20 ①)。
「さくら野百貨店仙台店」跡地では、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、オフィスビルとホテルの計2棟(総延床面積約11万m2)を建設し、それぞれの低層階を商業施設でつなげる開発計画を示し、2024年度に着工する予定であった29。しかし、現時点では工事の進捗は見られない模様である。仙台市は、これらのJR仙台駅西口周辺の再開発が滞っている状況を踏まえて、「せんだい都心再構築プロジェクト」の補助金増額や要件緩和を検討している30。(図表-20 ③)。
また、青葉区一番町の百貨店「藤崎本館」を含めた20棟程度の商業ビル(面積:約1.7ヘクタール)を建替えて、百貨店や商業施設のほか、オフィスビルやホテルなどを建設する計画31が検討されており、2023年8月に地権者による推進協議会が発足した32(図表-20 ④)。
大和ハウス工業は、青葉区本町1丁目の「第一日本オフィスビル」を建替えて、地上19階建てのオフィスビル(延床面積約2万m2)を開発する計画で、2028年の竣工を予定している26(図表-20 ①)。
さらに、仙台市はJR仙台駅西口の青葉通の一部区間を、屋外広場に整備することを検討している。この屋外広場の整備は、当初、青葉通沿道の「EDEN(エデン)」(2024年1月営業終了)や「さくら野百貨店仙台店」(2017年2月閉店)等の再開発と連動して行う計画であった27。
「EDEN」跡地では、土地所有者のオリックスグループが温泉掘削を予定しており、隣接するGSビル跡地と合わせてホテルを含む複合施設の開発を検討しているが、現時点で計画は未定とのことである28(図表-20 ①)。
「さくら野百貨店仙台店」跡地では、「ドン・キホーテ」などを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、オフィスビルとホテルの計2棟(総延床面積約11万m2)を建設し、それぞれの低層階を商業施設でつなげる開発計画を示し、2024年度に着工する予定であった29。しかし、現時点では工事の進捗は見られない模様である。仙台市は、これらのJR仙台駅西口周辺の再開発が滞っている状況を踏まえて、「せんだい都心再構築プロジェクト」の補助金増額や要件緩和を検討している30。(図表-20 ③)。
また、青葉区一番町の百貨店「藤崎本館」を含めた20棟程度の商業ビル(面積:約1.7ヘクタール)を建替えて、百貨店や商業施設のほか、オフィスビルやホテルなどを建設する計画31が検討されており、2023年8月に地権者による推進協議会が発足した32(図表-20 ④)。
18「仙台市都心部建替え促進助成金制度の創設」や「高機能オフィスの整備に着目した容積率の緩和」、 「仙台市市街地再開発事業補助金制度の拡充」等の施策が講じられている。プロジェクト期間は2030年度まで。
19 東京建物株式会社 「せんだい都心再構築プロジェクト活用物件「T-PLUS仙台」竣工 高水準の安全性能と環境性能を有した高機能オフィスビル」(2024年2月1日)
20 鹿島建設株式会社HP「NANT仙台南町」
21 株式会社サンケイビル「「(仮称)仙台市青葉区一番町オフィス開発計画」 着工 S-GATEシリーズ 東北エリア第I弾」(2025年1月21日)
22 第一生命保険株式会社「仙台第一生命ビルディング建替計画 都市計画決定(都市再生特別地区の変更)及び「せんだい都心再構築プロジェクト」の適用」(2024年9月27日)
23 株式会社読売新聞東京本社・東急不動産株式会社「読売仙台ビル建替プロジェクトに関する基本協定締結に係るお知らせ」(2025年4月23日)
24 日本経済新聞「「電力ビル」軸に一体開発へ 東北電力系など、仙台中心部で過去最大 音楽ホール・オフィス入居 高層複合ビルに」(2023年4月1日)
25 日本経済新聞「仙台再開発 足踏みの1年 電力ビル計画遅れる見通し 商業施設は閉店・休業 中心部に空白エリア」(2024年12月26日)
26 日本経済新聞「大和ハウス、仙台駅西口で一体再開発を検討 28年完成へ」(2024年1月30日)
27 河北新報「「青葉通広場化」検討着手/仙台・あす協議会発足」(2021年5月31日)
28 東京読売新聞「「仙台駅西口 エデン跡 温泉掘削へ オリックスが検討 複合施設開発か=宮城」(2025年2月14日)
29 日本経済新聞 「東北経済特集―東北、力強く前へ、仙台駅前、再開発進む。」(2021年12月24日)
30 日本経済新聞「仙台市、駅前の再開発促進 補助金増・要件緩和を検討 来年2月にも議案提出 ホテル誘致狙う」(2025年6月28日)
31 日本経済新聞「百貨店の藤崎など建て替え、仙台市中心部で再開発」(2020年7月8日)
32 日本経済新聞「仙台の藤崎周辺再開発 地権者の推進協発足」(2023年8月4日)
3-3.賃料見通し
前述の新規供給見通しや経済予測、オフィスワーカー数の見通し等を前提に、2029年までの仙台のオフィス賃料を予測した(図表-22)。
宮城県全体の就業者数は2年連続で増加している。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については人手不足感が強く、企業の採用意欲が高まっている。以上のことを鑑みると、仙台市のビジネスエリアの「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。ただし、仙台市の生産年齢人口は今後も減少が続く見通しであり、その動向については引き続き注視が必要である。
また、テレワークのさらなる普及に伴い、多様な働き方に即したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。行政の支援策の後押しもあり、スタートアップ企業が増加し、オフィス需要の新たな担い手となることも期待される。
一方、供給面では、今後3年間は低水準の新規供給が続く見通しで、2025年は約2千坪、2026年は1千坪弱、2027年は約2千坪にとどまる見込みである。
以上を踏まえると、空室率は安定的に推移すると予想する。仙台のオフィス成約賃料は、現状の高水準を維持し、2024 年の賃料を100 とした場合、2025年は「100」、2026年は「101」、2029年は「102」となる見通しである。
前述の新規供給見通しや経済予測、オフィスワーカー数の見通し等を前提に、2029年までの仙台のオフィス賃料を予測した(図表-22)。
宮城県全体の就業者数は2年連続で増加している。また、「企業の経営環境」は一進一退の動きをみせているものの、「雇用環境」については人手不足感が強く、企業の採用意欲が高まっている。以上のことを鑑みると、仙台市のビジネスエリアの「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。ただし、仙台市の生産年齢人口は今後も減少が続く見通しであり、その動向については引き続き注視が必要である。
また、テレワークのさらなる普及に伴い、多様な働き方に即したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。行政の支援策の後押しもあり、スタートアップ企業が増加し、オフィス需要の新たな担い手となることも期待される。
一方、供給面では、今後3年間は低水準の新規供給が続く見通しで、2025年は約2千坪、2026年は1千坪弱、2027年は約2千坪にとどまる見込みである。
以上を踏まえると、空室率は安定的に推移すると予想する。仙台のオフィス成約賃料は、現状の高水準を維持し、2024 年の賃料を100 とした場合、2025年は「100」、2026年は「101」、2029年は「102」となる見通しである。
(2025年08月07日「不動産投資レポート」)
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経歴
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/07 | 「仙台オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/07/25 | 「札幌オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
2025/07/08 | わが国のホテル投資市場規模(2024年) | 吉田 資 | 基礎研マンスリー |
2025/07/02 | 「福岡オフィス市場」の現況と見通し(2025年) | 吉田 資 | 不動産投資レポート |
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