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- 中国:24年10~12月期の成長率予測-前期から加速。「+5%前後」目標達成の見込みも、内需の弱さは継続
2024年12月25日
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1.足もとの概況と24年10~12月期の成長率の見通し
2024年に入ってからの中国経済は、長らく力強さを欠く状況を続けている。7~9月期の実質GDP成長率は、前年同期比+4.6%と、前期(24年4~6月期)の+4.7%から伸びが小幅に減速した(図表1)。他方、季節調整後の前期比(年率)は+3.6%と、前期(同+2.0%)から加速している。その後、10月から11月にかけて、経済はやや持ち直しの動きをみせている。
主な需要の動向をみると、年初来、外需は堅調に推移している。他方、投資や消費など内需は、一進一退の状況にあるものの、政策による下支えの効果がみられる(図表2)。企業の景況感や消費者のマインドのほか、不動産市場に関しては、ここのところ改善の傾向がみられ、物価についても、食品・エネルギーを除くコアCPIが低調ながら改善を続けている(図表3)。
GDP成長率(前年同期比)を月次で推計した「景気インデックス」は、24年10~11月期、前年同期比+4.2%となった(図表4)。4月から8月までの低下傾向には歯止めがかかり、持ち直していることから、12月の景気次第で振れるとはいえ、25年1月中旬に発表予定の10~12月期の実質GDP成長率は、前期から加速となる可能性が高い。通年で「+5%前後」の成長率目標は達成されるだろう。
もっとも、こうした傾向が持続するかは不透明だ。24年の経済政策については、23年と異なり期中に追加の対策が講じられなかったため、年末から25年初にかけて、早晩効果がはく落することが予想される。当面、25年の経済政策が本格始動する3月までの間は、現在の政策効果がどの程度続くか、不動産市場の持ち直しが持続するかが注目点となるだろう。また、25年1月には、米国で第2次トランプ政権が発足する。追加関税をはじめとする対中政策がどのような進展をみせるかにも注視が必要だ。
主な需要の動向をみると、年初来、外需は堅調に推移している。他方、投資や消費など内需は、一進一退の状況にあるものの、政策による下支えの効果がみられる(図表2)。企業の景況感や消費者のマインドのほか、不動産市場に関しては、ここのところ改善の傾向がみられ、物価についても、食品・エネルギーを除くコアCPIが低調ながら改善を続けている(図表3)。
GDP成長率(前年同期比)を月次で推計した「景気インデックス」は、24年10~11月期、前年同期比+4.2%となった(図表4)。4月から8月までの低下傾向には歯止めがかかり、持ち直していることから、12月の景気次第で振れるとはいえ、25年1月中旬に発表予定の10~12月期の実質GDP成長率は、前期から加速となる可能性が高い。通年で「+5%前後」の成長率目標は達成されるだろう。
もっとも、こうした傾向が持続するかは不透明だ。24年の経済政策については、23年と異なり期中に追加の対策が講じられなかったため、年末から25年初にかけて、早晩効果がはく落することが予想される。当面、25年の経済政策が本格始動する3月までの間は、現在の政策効果がどの程度続くか、不動産市場の持ち直しが持続するかが注目点となるだろう。また、25年1月には、米国で第2次トランプ政権が発足する。追加関税をはじめとする対中政策がどのような進展をみせるかにも注視が必要だ。
2.実体経済の動向
(生産・投資・外需)
生産の動向について、前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、11月に伸びがわずかに高まった(図表5)。他方、政策支援や堅調な輸出を背景に年初来高い伸びを続けてきたハイテク製造業では2カ月連続で伸びが低下した。サービス業部門の伸びは、11月に伸びが小幅に低下した。交通・運輸・倉庫業や不動産業が改善した一方で、金融業や情報通信・IT業では伸びが低下した。
PMI調査の結果をみると、製造業では、前月から改善が続き、2カ月連続で景気の好不況の境目である50を上回る水準となっている(図表6)。サービス業では、10月から11月にかけて、50をわずかに上回る水準で横ばい推移となっている。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、7月以降具体的には発表されていないが、製造業、非製造業とも、依然として60%超であるとされた。
生産の動向について、前年同月比の伸び率(実質)をみると、鉱工業部門では、11月に伸びがわずかに高まった(図表5)。他方、政策支援や堅調な輸出を背景に年初来高い伸びを続けてきたハイテク製造業では2カ月連続で伸びが低下した。サービス業部門の伸びは、11月に伸びが小幅に低下した。交通・運輸・倉庫業や不動産業が改善した一方で、金融業や情報通信・IT業では伸びが低下した。
PMI調査の結果をみると、製造業では、前月から改善が続き、2カ月連続で景気の好不況の境目である50を上回る水準となっている(図表6)。サービス業では、10月から11月にかけて、50をわずかに上回る水準で横ばい推移となっている。同調査で需要不足と回答する企業の比率は、7月以降具体的には発表されていないが、製造業、非製造業とも、依然として60%超であるとされた。
投資の動向について、固定資産投資の前年同月比伸び率(名目、以下同)は、11月に低下した(図表7)。業種別にみると、製造業の投資は、依然高水準ながらも伸びが小幅に低下した。設備投資は、5月をピークに減速傾向にあり、11月にかけても基調に変化はみられない。不動産開発投資は、マイナス幅が小幅に縮小した。インフラ投資は、10月から11月にかけて伸びが低下したが11月の低下は小幅にとどまっており、高水準の伸びを続けている。
外需の動向について、輸出(ドル建て)の伸びは、11月に減速した(図表8)。国・地域別では、ASEAN、日本、EU向けが減速した一方、米国向けのみ前月から加速しており、駆け込み輸出が顕在化しつつあるようだ。財別では、アルミやコンピュータ・同部品、液晶パネルの伸びが高まった一方、鉄鋼や半導体の伸びは減速し、自動車も前年減となった。輸入(ドル建て)の伸びは、10月から11月にかけてマイナス幅が拡大した。輸入価格の下落や内需の弱含み、在庫調整圧力の強まりの影響が続いているものとみられる。
外需の動向について、輸出(ドル建て)の伸びは、11月に減速した(図表8)。国・地域別では、ASEAN、日本、EU向けが減速した一方、米国向けのみ前月から加速しており、駆け込み輸出が顕在化しつつあるようだ。財別では、アルミやコンピュータ・同部品、液晶パネルの伸びが高まった一方、鉄鋼や半導体の伸びは減速し、自動車も前年減となった。輸入(ドル建て)の伸びは、10月から11月にかけてマイナス幅が拡大した。輸入価格の下落や内需の弱含み、在庫調整圧力の強まりの影響が続いているものとみられる。
(消費・家計)
消費の動向について、小売売上高の伸びをみると、春先以降勢いを欠いており、10月に一時加速した後、11月は減速した(図表9)。一定規模以上企業を対象にした統計で品目別の動向をみると、不動産関連の財である建築・内装材が、前月の前年減から11月に前年増に転じた(図表10)。不動産市場の持ち直しに伴った変化とみられる。宝飾品については、マイナス幅が拡大した。化粧品については、11月11日「独身の日」のセール期間の開始日前倒しにより10月は伸びが高まったが、その反動で11月には減少に転じた。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている家電・AV機器については、11月に伸びが低下した。他方、同じく対象となっている自動車については、伸びが高まった。
消費の動向について、小売売上高の伸びをみると、春先以降勢いを欠いており、10月に一時加速した後、11月は減速した(図表9)。一定規模以上企業を対象にした統計で品目別の動向をみると、不動産関連の財である建築・内装材が、前月の前年減から11月に前年増に転じた(図表10)。不動産市場の持ち直しに伴った変化とみられる。宝飾品については、マイナス幅が拡大した。化粧品については、11月11日「独身の日」のセール期間の開始日前倒しにより10月は伸びが高まったが、その反動で11月には減少に転じた。耐久消費財の買い替え支援策の対象となっている家電・AV機器については、11月に伸びが低下した。他方、同じく対象となっている自動車については、伸びが高まった。
(2024年12月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
三浦 祐介のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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