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「広島オフィス市場」の現況と見通し(2024年)

金融研究部 上席研究員 吉田 資
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1.はじめに
2.広島オフィス市場の現況
1 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
3.広島オフィス市場の見通し
(1)オフィスワーカーの見通し
総務省「労働力調査」によれば、2023年の広島県の就業者数は144.9万人(前年比+0.2万人)となり、3年ぶりに増加した(図表-6)。
また、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査」によれば、広島市の生産年齢人口は減少傾向で推移しており、2023年は72.2万人(前年比▲0.3%)となった(図表-7)。国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」によれば、広島市の生産年齢人口の減少は今後も継続し、2025年は71.8 万人(2020年対比▲2.0%)、2030年は70.2万人(同▲4.2%)となる見通しである(図表-8)。
内閣府・財務省「法人企業景気予測調査」によれば、「企業の景況判断BSI2」(中国財務局)は、コロナ禍を受けて2020年第2四半期に「▲53.7」と一気に悪化した。その後は、回復と悪化を繰り返しながら推移しており、2024年第2四半期は「▲4.7」と弱含みの動きとなっている(図表-9)。
また、「従業員数判断BSI3」(中国財務局)は、新型コロナウィルス感染拡大後、「+13.1」(2020年第1四半期)から「▲3.9」(第2四半期)へ大幅に低下した。その後は順調に回復し、足もとでは「+20.0」となり、人手不足感が強まっている(図表-10)。
また、帝国データバンク「広島県2024 年度の業績見通しに関する企業の意識調査」によれば、業績見通し(前年度との比較)について、「増収増益」との回答が26%を占めて最多であったものの、次いで、「減収減益」との回答が24%を占めた。
広島県の就業者数は3年ぶりに増加したものの、生産年齢人口の減少は今後も続く見通しである。また、人手不足感が強い一方、コロナ禍からの企業活動の回復は鈍い傾向にある。以上のことを勘案すると、広島市の「オフィスワーカー数」の増加はやや力強さに欠ける懸念がある。
2 企業の景況感が前期と比較して「上昇」と回答した割合から「下降」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど景況感
が悪いことを示す。
3 従業員数が「不足気味」と回答した割合から「過剰気味」と回答した割合を引いた値。マイナス幅が大きいほど雇用環境の悪化を示す。
(2024年07月09日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
2025年7月より現職
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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