2024年03月21日

貿易統計24年2月-貿易収支(季節調整値)が再び赤字に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.貿易収支(季節調整値)が再び赤字に

財務省が3月21日に公表した貿易統計によると、24年2月の貿易収支は▲3,794億円の赤字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:▲8,182億円、当社予想は▲6,344億円)を上回る結果となった。輸出が前年比7.8%(1月:同11.9%)と伸びが鈍化する一方、輸入が前年比0.5%(1月:同▲9.6%)と11ヵ月ぶりに増加に転じたが、輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったため、貿易収支は前年に比べ5,496億円の改善となった。

輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲1.5%(1月:同2.3%)、輸出価格が前年比9.5%(1月:同9.4%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比1.5%(1月:同▲8.4%)、輸入価格が前年比▲0.9%(1月:同▲1.5%)であった。
貿易収支の推移/貿易収支(季節調整値)の推移
輸出金額の要因分解/輸入金額の要因分解
季節調整済の貿易収支は▲4,516億円となり、2年8ヵ月ぶりに黒字(126億円)となった1月から再び赤字に転じた。
原油価格(ドバイと入着ベース)の推移 24年2月の通関(入着)ベースの原油価格は1バレル=83.7ドル(当研究所による試算値)と、1月の85.9ドルから低下した。足もとの原油価格(ドバイ)は80ドル台半ばまで上昇しており、長期契約で販売する際に指標価格に上乗せされる調整金、船賃、保険料などを含めた通関ベースの原油価格は、24年3月以降は80ドル台後半~90ドル程度で推移することが見込まれる。

2.中国向け輸出の低迷が続く

24年2月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比10.9%(1月:同7.1%)、EU向けが前年比3.5%(1月:同▲0.2%)、アジア向けが前年比▲5.9%(1月:同4.3%)、うち中国向けが前年比▲7.1%(1月:同20.4%)となった。

24年2月の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前月比2.5%(1月:同▲7.9%)、EU向けが前月比1.5%(1月:同▲2.9%)、アジア向けが前月比▲7.5%(1月:同0.9%)、うち中国向けが前月比▲5.4%(1月:同▲2.8%)、全体では前月比▲3.3%(1月:同▲5.1%)となった。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 24年1、2月の平均を23年10-12月期と比較すると、EU向けは0.8%高いが、米国向けが▲1.5%、アジア向けが▲2.4%、中国向けが▲3.9%低くなっている(全体は▲3.5%低い)。2月のアジア向け、中国向け輸出の落ち込みは、中華圏の春節の時期が昨年とずれている(23年は1月下旬、24年は2月中旬)ことから、1月に押し上げられた反動の影響も含まれているが、1、2月を均してみても弱い動きとなっている。

米国向け、EU向けは一定の底堅さを維持しているが、景気減速が続く中国向けの低迷が続くことから、輸出は当面弱めの動きが続くことが予想される。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2024年03月21日「経済・金融フラッシュ」)

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