- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
 - 経済 >
 - 日本経済 >
 - 法人企業統計23年10-12月期-設備投資が急回復し、10-12月期の実質GDPはプラス成長に上方修正へ
 
2024年03月04日
    文字サイズ
- 小
 - 中
 - 大
 
1.4四半期連続の増収増益
2.経常利益(季節調整値)は高水準を維持
                                            経常利益を業種別に見ると、製造業は、電気機械(前年比▲29.5%)、情報通信機械(同▲37.6%)が4四半期連続の減益となったが、輸送用機械(同80.7%)、はん用機械(同79.9%)、化学(同20.8%)、金属製品(同20.4%)が前年比で二桁の高い伸びとなり、全体を大きく押し上げた。
非製造業は、運輸・郵便業(前年比▲38.5%)、卸売・小売業(同▲6.2%)、不動産業(同▲7.0%)、物品賃貸業(同▲5.5%)が減益に転じたが、建設業(同14.9%)、情報通信業(同35.1%)、サービス業(同38.1%)が大幅増益となった。燃料費高騰の影響で21年10-12月期から22年10-12月期まで赤字が続いていた電気業は、23年1-3月期に6四半期ぶりの黒字となった後、4四半期連続で黒字を確保した。
            非製造業は、運輸・郵便業(前年比▲38.5%)、卸売・小売業(同▲6.2%)、不動産業(同▲7.0%)、物品賃貸業(同▲5.5%)が減益に転じたが、建設業(同14.9%)、情報通信業(同35.1%)、サービス業(同38.1%)が大幅増益となった。燃料費高騰の影響で21年10-12月期から22年10-12月期まで赤字が続いていた電気業は、23年1-3月期に6四半期ぶりの黒字となった後、4四半期連続で黒字を確保した。
3.設備投資が急回復
                                            設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比16.4%(7-9月期:同3.4%)と11四半期連続で増加し、前期から伸びが急速に高まった。製造業が前年比20.6%(7-9月期:同5.5%)、非製造業が前年比14.2%(7-9月期:同2.2%)といずれも前期から伸びが大きく加速した。
                                    
            
                                                        季節調整済の設備投資(ソフトウェアを含む)は前期比10.4%(7-9月期:同2.3%)と2四半期連続で増加し、2011年10-12月期(同13.6%)以来の高い伸びとなった。製造業が前期比11.7%(7-9月期:同0.7%)と4四半期連続、非製造業が前期比9.6%(7-9月期:同3.2%)と2四半期連続で増加した。企業収益が好調を続ける中、設備投資の回復ペースは緩やかにとどまっていたが、23年10-12月期はこれまでの遅れを一気に取り戻す形となった。また、日銀短観などの設備投資計画の強さに対し、GDP統計の設備投資は、資材価格高騰や人手不足による工事進捗の遅れや投資計画の先送りなどを要因として、弱さが目立っていたが、法人企業統計の設備投資が強い結果となったことで、両者の乖離は一気に縮小する公算が大きい。
4.10-12月期・GDP2次速報は上方修正を予想
                                            本日の法人企業統計の結果等を受けて、3/4公表予定の23年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.3%(前期比年率1.1%)となり、1次速報の前期比▲0.1%(前期比年率▲0.4%)から上方修正されると予想する。
設備投資は1次速報の前期比▲0.1%から同2.8%へ大幅に上方修正されると予想する。
            設備投資は1次速報の前期比▲0.1%から同2.8%へ大幅に上方修正されると予想する。
                                                        設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比11.7%(7-9月期:同1.7%)と11四半期連続で増加し、前期から伸びが大きく高まった。法人企業統計ではサンプル替えや四半期毎の回答企業の差によって断層が生じるが、当研究所でこの影響を調整したところ、前年比10%程度となった。また、金融保険業の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比45.0%(7-9月期:同▲20.7%)の大幅増加となった。1次速報段階では、設備投資の需要側推計値は前年比▲0.1%となっていた。本日の法人企業統計の結果は設備投資の上方修正要因と考えられる。
また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から同▲0.1%へと下方修正されるだろう。
その他の需要項目では、民間消費は12月のサービス産業動向調査の結果などが反映され、前期比▲0.2%から同▲0.3%へ、公的固定資本形成は12月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲0.7%から同▲0.8%へ下方修正されると予想する。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年03月04日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
                                        03-3512-1836
経歴
                            - ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員 
斎藤 太郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/10/31 | 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター | 
| 2025/10/31 | 鉱工業生産25年9月-7-9月期の生産は2四半期ぶりの減少も、均してみれば横ばいで推移 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2025/10/31 | 雇用関連統計25年9月-女性の正規雇用比率が50%に近づく | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2025/10/30 | 潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性 | 斎藤 太郎 | 基礎研レポート | 
新着記事
- 
                
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 - 
                
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 - 
                
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 - 
                
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ - 
                
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書 
お知らせ
- 
                        
2025年07月01日
News Release
 - 
                        
2025年06月06日
News Release
 - 
                        
2025年04月02日
News Release
 
【法人企業統計23年10-12月期-設備投資が急回復し、10-12月期の実質GDPはプラス成長に上方修正へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
法人企業統計23年10-12月期-設備投資が急回復し、10-12月期の実質GDPはプラス成長に上方修正へのレポート Topへ
            




                    
                    
                                    
                                    
                                    
                                    
                                            
                        
                        
                        



            
					


