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“おひさしぶり消費”と“はじめまして消費”-新型コロナウイルス流行収束後の推し活を展望する
生活研究部 研究員 廣瀬 涼
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1――新型コロナウイルス流行を機に推し活を始めた人々
電通若者研究部の「推しに関する調査」によると、全体の29%がコロナ禍になってから推し活をするようになった、と回答している(図2)3。また、マイナビによる女性を対象とした「推し消費に関する調査」によると、アイドル・俳優/キャラクター・アニメ・声優/舞台(2.5次元含む)にどっぷりとハマっていると回答した調査対象者の内、約14%がコロナ禍がきっかけで推し活を始めたと回答している(図3)。
1 廣瀨涼「Z世代の情報処理と消費行動(5)-若者の「ヲタ活」の実態」 2020/03/03
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=63828?site=nli
2 https://trend-research.jp/9410/ コロナ禍の自粛期間、21.7%が「新しく趣味を始めた」 2021.08.05 2021年8月2日~8月4日2,528人 日本トレンドリサーチ
3 電通若者研究部の「推しに関する調査」https://dentsu-wakamon.com/article/20220307/
2――何故推し活とステイホームは相性が良かったのか
推し活は元々、オタクの消費文化の一側面である。消費性という側面から見れば、オタクの消費は「自身の感情に『正』にも『負』にも大きな影響を与えるほどの依存性を見出した興味対象に対して、時間やお金を過度に消費し精神的充足が目指されている」という特徴をもつ。アニメやマンガ、アイドルや好きなキャラクターなど、自身の好きなコンテンツを消費すること自体が精神的充足となっており、言い換えると当該コンテンツに対して依存性を見出しているのだ。そのため、当該コンテンツに対して当にワタクシゴトのように当事者意識を持って消費を行っており、つまり他者の存在の中に自身だけの意味を見出しているのである。そのため、伊藤が言うようにステイホームという行動に制限がかけられている環境下で、生活における意識の大部分が推しという存在に向くことは心理的ストレスの軽減につながり、また推しの存在や推しの今後の活躍自体が自身が生活していく(コロナ禍を生き抜いていく)上での大きなモチベーションになっていたわけだ。併せて、これは実在する推しに限ったことだが、推し自身も同じ境遇(コロナ禍)に身を置いているという事実や、またそのようななかで生活を励ましてくれる機会も多々あり、彼らの言葉が直接生きる糧になったファンもいたのではないだろうか。
また、以前レポートで論じた通り、オタクに限らず一般消費者においても趣味のためのSNSアカウントを擁して、同じ趣味を持つ他人と交流を持つことが一般的になっている。コロナ禍で対面的なコミュニケーションが減った中でも、推し活をする上で必要な情報交換や、他のオタクとの交流などをオンラインで楽しんでいた消費者は少なくなかったと筆者は考える。
4 あの人の笑顔が元気の源? 「推し活」がメンタルヘルスに良い理由 毎日新聞 2022/2/10 06:30 https://mainichi.jp/articles/20220209/k00/00m/040/104000c
5 メディア環境研究所が全国の15~69歳の男女2426名を対象に行った「メディア生活と推しに関する行動意識調査2021」https://mekanken.com/contents/1966/
3――“おひさしぶり消費”と“はじめまして消費”
イベント自体が中止されたり、趣味を行う場所に人が集まってしまうという理由から趣味を自粛していた人達からすると、そもそも趣味をしたくてもできなかったわけだ。前述した日本トレンドリサーチの調査によれば、「コロナ禍の自粛によりできなくなった趣味がある」と答えた43%の内、94%は「その趣味への興味は維持されている」と回答しており、再びその趣味を消費できる機会を今か今かと待ちわびている(図4)。
(2022年10月24日「基礎研レポート」)
03-3512-1776
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
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