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- 今後も底堅い日本株式~ただし、中長期では楽観視できない~
2022年09月16日
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1――意外と底堅い日本株式
2――2つの要因が株価を下支え
このように日本株式が米国株式などに左右されながらも底堅かった要因として、2つのことがある。まず、そもそも2022年年初の段階で日本株式が割安な水準であったためである。
TOPIXの予想PER(青線)をみると、2021年初に17倍台であったが、そこをピークに低下し続けて、2022年初には13倍を下回り、2022年は13倍以下で推移している【図表3】。過去の予想PERが13倍を下回った局面(薄い赤のハイライト部分)をみると、長期に亘り13倍を下回った局面では予想EPS(赤線)が低下していた。つまり、日本株式の株価自体は2022年に入ってから今後の企業業績の低迷が織り込まれているような割安な水準で推移しているといえる。
そして要因の2つ目として、このように株価が割安であるにもかかわらず日本企業の企業業績自体が全体でみると今のところ堅調であることがあげられる。3月中旬から急速に円安が進む中、以前と比べると円安の恩恵は少なくなっているかもしれないが、それでも外需系企業を中心に企業業績に追い風になっていると思われる。TOPIXが12カ月先予想EPS(赤線)をみても、2021年に比べると上昇ペースは鈍化してきているが、それでも足元まで上昇基調が続いている。
TOPIXの予想PER(青線)をみると、2021年初に17倍台であったが、そこをピークに低下し続けて、2022年初には13倍を下回り、2022年は13倍以下で推移している【図表3】。過去の予想PERが13倍を下回った局面(薄い赤のハイライト部分)をみると、長期に亘り13倍を下回った局面では予想EPS(赤線)が低下していた。つまり、日本株式の株価自体は2022年に入ってから今後の企業業績の低迷が織り込まれているような割安な水準で推移しているといえる。
そして要因の2つ目として、このように株価が割安であるにもかかわらず日本企業の企業業績自体が全体でみると今のところ堅調であることがあげられる。3月中旬から急速に円安が進む中、以前と比べると円安の恩恵は少なくなっているかもしれないが、それでも外需系企業を中心に企業業績に追い風になっていると思われる。TOPIXが12カ月先予想EPS(赤線)をみても、2021年に比べると上昇ペースは鈍化してきているが、それでも足元まで上昇基調が続いている。
3――短期も中長期も米国次第?
今後も日本株式は米国株式の下落といった短期的な投資家心理の悪化を押しのけるほど強くはなく、米国株式の動向にその都度、左右される展開が続くと思われる。ただ、8月中旬以降の米長期金利上昇と円安の進行を伴った米国株式の下落ならば、日本企業の企業業績が直ちに崩れるリスクは小さい。そのため引き続き業績からみた割安感が下支えし、底堅い展開が続くことが期待できる。当面、これから1、2カ月は予想PERが概ね12倍から13倍の間で推移し、TOPIXが1,850ポイントから2,050ポイント、日経平均株価だと2万6,500円から2万9,000円程度のレンジになると見込む。そのため3月つけた年初来安値まで下落する可能性や6月つけた安値を下回る可能性は低い。
今後、半年くらいの期間で企業業績が堅調であるならば、日本株式の水準、特に下値が緩やかに切りあがっていく展開が期待できる。具体的には2023年度の企業業績が現時点での来期予想くらいを見込めるのであれば、半年後にはTOPIXは1,950ポイントから2,100ポイント、日経平均株価なら2万8,000円から3万円くらいのレンジとなると予想する。
ただし、日本企業の業績は現時点で堅調であるが必ずしも盤石とはいえず、それがいつまで続くか分からない状況ではある。今後、これまで追い風だった円安が一服し円高に反転する可能性や、2023年中には米国が本格的な景気後退に陥る可能性がある。その場合、TOPIXのEPSは、2022年度がピークで2023年度は横ばい、もしくは減少(減益)に転じる可能性がある。そのため、米国の情勢次第では8月につけた高値、TOPIXが2,000ポイント、日経平均株価だと2万9,000円を超えない、もしくは超えても一時的で定着できない展開となってしまうリスクも想定する必要がある。
今後、半年くらいの期間で企業業績が堅調であるならば、日本株式の水準、特に下値が緩やかに切りあがっていく展開が期待できる。具体的には2023年度の企業業績が現時点での来期予想くらいを見込めるのであれば、半年後にはTOPIXは1,950ポイントから2,100ポイント、日経平均株価なら2万8,000円から3万円くらいのレンジとなると予想する。
ただし、日本企業の業績は現時点で堅調であるが必ずしも盤石とはいえず、それがいつまで続くか分からない状況ではある。今後、これまで追い風だった円安が一服し円高に反転する可能性や、2023年中には米国が本格的な景気後退に陥る可能性がある。その場合、TOPIXのEPSは、2022年度がピークで2023年度は横ばい、もしくは減少(減益)に転じる可能性がある。そのため、米国の情勢次第では8月につけた高値、TOPIXが2,000ポイント、日経平均株価だと2万9,000円を超えない、もしくは超えても一時的で定着できない展開となってしまうリスクも想定する必要がある。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2022年09月16日「基礎研レター」)

03-3512-1785
経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
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