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- つみたてNISAの利用状況~2021年は買付が増え、売却が減少~
コラム
2022年08月09日
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2022年1月-3月は口座開設、過去最大
つみたてNISA(少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度)は2022年3月末時点で587万口座となった【図表1】。実は、つみたてNISAは年初からはじめようとする方が多いためか、例年1月から3月に最も開設される傾向がある。実際に制度開始以来、昨年までで最も口座数が増えたのは2021年1月から3月で59万口座の増加であったが、この2022年1月から3月は69万口座も増加しており、過去最大を更新した。
2019年に「年金2,000万円不足」問題などもあり、これまで順調に口座数は増加してきたが、制度を活用する機運は2022年に入っても落ち着くどころか、むしろさらに高まっている様子である。
2019年に「年金2,000万円不足」問題などもあり、これまで順調に口座数は増加してきたが、制度を活用する機運は2022年に入っても落ち着くどころか、むしろさらに高まっている様子である。
1口座あたりの買付も増加中
つみたてNISAの実際の利用度合い、一口座あたりの買付も増加基調にある。2021年の1口座あたりの平均買付額は16万円と2020年の13万円から3万円増加し、買付がなかった口座を除外すると19万円から23万円に4万円増加した【図表2】。買付額別の口座数をみても、年間20万円超の買付があった口座数が2021年は184万口座と2021年の84万口座から100万口座増加した【図表3】。
ただ、残念ながら2021年でも147万口座、全口座に対して28%の口座で買付が一度もない、つまり未使用であった。買付がない口座の割合は年々減少しているが、それでも一定数は引き続き未使用のままの状況である。口座開設したものの実際に買付を行うまでに至っていない方が多いことは、引き続き制度の課題の一ついえよう。
ただ、残念ながら2021年でも147万口座、全口座に対して28%の口座で買付が一度もない、つまり未使用であった。買付がない口座の割合は年々減少しているが、それでも一定数は引き続き未使用のままの状況である。口座開設したものの実際に買付を行うまでに至っていない方が多いことは、引き続き制度の課題の一ついえよう。
制度開始来、利益も積み上がりつつある
また、あくまでも2021年末までになるが つみたてNISA口座からそれなりに利益も出ている様子である。制度開始から累積の買付額、売却額、分配金と2021年末の残高を元に計算すると、つみたてNISA口座で3,300億円利益が出ているようである【図表4】。4年間の買付額が1兆5,300億円であるため、制度開始からの収益率は2021年末時点で21%に達していると推計される。2018年の制度開始年こそ含み損を抱えることになったが、その後の良好な投資環境が続いたこともあり、着実に収益が上がってきていることがうかがえる。
さらに喜ばしいことに、2021年は つみたてNISA口座から売却された割合が減少した。2021年に716億円売却されたが、2021年初の残高7,200億円の10%であった。年初残高に対する売却額が2019年は18%、2020年は15%であったため、残高が増えた割には売却が少なかったといえる。制度の利用が広がり、また実際に積極的に売買しなくても利益が出ていることもあって、積立投資と合わせて、徐々にではあるが長期投資も浸透してきているのかもしれない。
さらに喜ばしいことに、2021年は つみたてNISA口座から売却された割合が減少した。2021年に716億円売却されたが、2021年初の残高7,200億円の10%であった。年初残高に対する売却額が2019年は18%、2020年は15%であったため、残高が増えた割には売却が少なかったといえる。制度の利用が広がり、また実際に積極的に売買しなくても利益が出ていることもあって、積立投資と合わせて、徐々にではあるが長期投資も浸透してきているのかもしれない。
最後に
つみたてNISA口座で2022年1月から3月の3カ月の買付額は2,800億円と2021年10月から12月の3,100億円からやや減少した【図表1】。あくまでも2021年10月から12月は年末に向けて残った買付枠を使い切ろうと駆け込み買付が入り、テクニカルに買付額が膨らんでいただけなのではと筆者は考えている。
さはさりとて2022年1月から3月は2021年までの良好な投資環境から一変し、世界的に株価が下落する展開となっており、その影響で買付が減った可能性もある。特につみたてNISA利用者の中にはここ1、2年で投資を始めた方も多く、そのような方にとっては初めての下落の経験になったかもしれない。下落局面で追加投資することを委縮、もしくは投資を続けることを止めてしまう方が出ているとも考えられ、今後の動向が注目される。
なお、2022年8月8日に金融庁から2021年12月末時点の確報値と2022年3月末時点の利用状況の調査結果が公表された。それと合わせてこれまで公表されていた2020年6月末時点から2022年9月末時点までの結果に誤りがあったようで修正が入った。例えば2020年12月末時点の制度開始以来の累積の買付額が7,600億円から6,900億円に下方修正された。つみたてNISAについて様々な媒体で公表された金融庁の調査結果を元に報告してきたが、これまで報告してきた内容、特に2020年の利用状況が修正後の結果を元にした今回と大きく異なる部分がある点はご理解いただきたい。
さはさりとて2022年1月から3月は2021年までの良好な投資環境から一変し、世界的に株価が下落する展開となっており、その影響で買付が減った可能性もある。特につみたてNISA利用者の中にはここ1、2年で投資を始めた方も多く、そのような方にとっては初めての下落の経験になったかもしれない。下落局面で追加投資することを委縮、もしくは投資を続けることを止めてしまう方が出ているとも考えられ、今後の動向が注目される。
なお、2022年8月8日に金融庁から2021年12月末時点の確報値と2022年3月末時点の利用状況の調査結果が公表された。それと合わせてこれまで公表されていた2020年6月末時点から2022年9月末時点までの結果に誤りがあったようで修正が入った。例えば2020年12月末時点の制度開始以来の累積の買付額が7,600億円から6,900億円に下方修正された。つみたてNISAについて様々な媒体で公表された金融庁の調査結果を元に報告してきたが、これまで報告してきた内容、特に2020年の利用状況が修正後の結果を元にした今回と大きく異なる部分がある点はご理解いただきたい。
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2022年08月09日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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