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- 雇用関連統計20年4月-失業率の悪化は小幅も、失業予備軍の休業者が急増
2020年05月29日
1.失業率は前月から0.1ポイント悪化の2.6%
総務省が5月29日に公表した労働力調査によると、20年4月の完全失業率は前月から0.1ポイント上昇の2.6%となった(QUICK集計・事前予想:2.7%、当社予想も2.7%)。
2.休業者が急増
緊急事態宣言が発令された20年4月の経済活動は急激に落ち込んだ。そうした中でも失業者の増加が小幅にとどまったのは、非労働力化の進展に加え、就業者としてカウントされる休業者が前年に比べ420万人の急増となったためである。調査期間中に仕事をした「従業者」 に限れば、20年3月に前年差▲18万人と4年4カ月ぶりの減少となった後、4月は同▲500万人と減少幅が大きく拡大した。従業者の内訳をみると、3月は雇用者が増加を維持する一方で、新型コロナウィルスの影響を強く受けている自営業主・家族従業者が大幅な減少となっていたが、4月は雇用者が前年差▲405万人の急減となった。
休業者の内訳を雇用形態別にみると、3月はパート・アルバイト、派遣社員、契約社員などの非正規の休業者が大幅に増加していたが、4月は正規、非正規ともに休業者が急増した(正規:前年差113万人、非正規:同240万人)。産業別には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛、休業要請を受けて、卸売・小売業(19年4月:22万人→20年4月:90万人)、宿泊業(19年4月:2万人→20年4月:20万人)、飲食業(19年4月:7万人→20年4月:76万人)、道路旅客運送業(19年4月:1万人→20年4月:8万人)、娯楽業(19年4月:1万人→20年4月:31万人)の急増が目立つ。
休業者の内訳を雇用形態別にみると、3月はパート・アルバイト、派遣社員、契約社員などの非正規の休業者が大幅に増加していたが、4月は正規、非正規ともに休業者が急増した(正規:前年差113万人、非正規:同240万人)。産業別には、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛、休業要請を受けて、卸売・小売業(19年4月:22万人→20年4月:90万人)、宿泊業(19年4月:2万人→20年4月:20万人)、飲食業(19年4月:7万人→20年4月:76万人)、道路旅客運送業(19年4月:1万人→20年4月:8万人)、娯楽業(19年4月:1万人→20年4月:31万人)の急増が目立つ。
休業理由には、「勤め先や事業の都合(景気が悪かったため等)」と「自分や家族の都合(出産・育児、介護・看護のため等)」があるが、足もとの増加は「勤め先や事業の都合を理由とした休業者」によるところが大きいと考えられる1。休業者は就業者としてカウントされるが、景気悪化を理由とした休業者のかなりの部分は失業者として顕在化する可能性が高い。雇用調整助成金の拡充や中小・小規模事業者等に対する支援金(持続化給付金)などが、倒産、失業をある程度抑制する効果はあるものの、経済活動の落ち込みがあまりに大きい2ため、今後失業率が大幅に上昇することは避けられないだろう。現時点では、失業率は20年末頃に4%程度まで上昇すると予想している。
1 休業理由別の休業者数は四半期の詳細集計で公表される
2 当研究所では、20年4-6月期の実質GDPを前期比▲6.7%(年率▲24.1%)、19年10-12月期からの3四半期で▲10%近く落ち込むと予想している
1 休業理由別の休業者数は四半期の詳細集計で公表される
2 当研究所では、20年4-6月期の実質GDPを前期比▲6.7%(年率▲24.1%)、19年10-12月期からの3四半期で▲10%近く落ち込むと予想している
3.有効求人倍率は1倍割れも視野に入る
厚生労働省が5月29日に公表した一般職業紹介状況によると、20年4月の有効求人倍率は前月から▲0.07ポイント低下の1.32倍(QUICK集計・事前予想:1.32倍、当社予想は1.27倍)となった。有効求職者数が前月比▲3.4%(3月:同▲2.1%)の減少となったが、有効求人数が前月比▲8.5%(3月:同▲5.9%)とそれを上回る減少幅となった。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から▲0.41ポイント低下の1.85倍となった。新規求人数(前月比▲22.9%)、新規求職申込件数(前月比▲5.5%)ともに減少したが、新規求人数の減少幅が大きく上回った。
有効求人倍率は19年4月の1.63倍をピークに緩やかな低下が続いていたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛要請、緊急事態宣言を受けた経済活動の急速な落ち込みを受けて、3月、4月の2ヵ月で▲0.13ポイントの急低下となった。
有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から▲0.41ポイント低下の1.85倍となった。新規求人数(前月比▲22.9%)、新規求職申込件数(前月比▲5.5%)ともに減少したが、新規求人数の減少幅が大きく上回った。
有効求人倍率は19年4月の1.63倍をピークに緩やかな低下が続いていたが、新型コロナウィルス感染拡大に伴う自粛要請、緊急事態宣言を受けた経済活動の急速な落ち込みを受けて、3月、4月の2ヵ月で▲0.13ポイントの急低下となった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2020年05月29日「経済・金融フラッシュ」)
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