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- 経済予測はどのくらいはずれるのか(2)~民間調査機関の予測精度と特徴~
2019年12月25日
5――日本銀行の予測との比較
ここまで、政府と民間の経済予測の検証を行ってきたが、経済予測を行う主体としては、政府、民間以外に日本銀行がある。そこで、シリーズ第2回の最後に、日本銀行の経済予測を取り上げる。
現在、日本銀行は3ヵ月に一度、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」において、実質GDP成長率、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の見通しを公表しているが、その歴史は比較的新しく2004年度以降である。展望レポートは1月、4月、7月、10月の年4回公表されるが、ここでは当年度4月の政策委員見通しの中央値を用いた。
日本銀行による実質GDP成長率の予測誤差は、2004年度から2018年度までの15年間の平均で▲0.65%(実績値-予測値)、平均絶対誤差は1.11%であった(図表9)。予測値が実績値と完全に一致したのは2016年度、2017年度の2回(全体の13%)、予測誤差が0.5%以内(絶対値)におさまったのが5回(全体の33%)、予測誤差が2%以上(絶対値)となったのが2回(全体の13%)であった。15年間のうち、過大予測(実績<予測)が10回(全体の67%)、過小予測(実績>予測)が3回(全体の20%)で、政府経済見通しと同様に過大予測の傾向がある。
また、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の予測誤差は、2004年度から2018年度までの15年間の平均で▲0.31%、平均絶対誤差は0.39%であった(図表10)。予測値が実績値と完全に一致したのは2004年度の1回(全体の7%)、過大予測(実績<予測)が10回(全体の67%)、過小予測(実績>予測)が4回(全体の27%)であった。日本銀行の消費者物価の予測には明らかに上方バイアスがある。特に2013年4月の量的・質的金融緩和導入後は、2013年度こそ予測誤差が0.1%(実績値-予測値)と小さかったが、2014年度以降は5年連続で実績値が予測値から下振れしており、その幅も全て0.5%以上と大きい。
現在、日本銀行は3ヵ月に一度、「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」において、実質GDP成長率、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の見通しを公表しているが、その歴史は比較的新しく2004年度以降である。展望レポートは1月、4月、7月、10月の年4回公表されるが、ここでは当年度4月の政策委員見通しの中央値を用いた。
日本銀行による実質GDP成長率の予測誤差は、2004年度から2018年度までの15年間の平均で▲0.65%(実績値-予測値)、平均絶対誤差は1.11%であった(図表9)。予測値が実績値と完全に一致したのは2016年度、2017年度の2回(全体の13%)、予測誤差が0.5%以内(絶対値)におさまったのが5回(全体の33%)、予測誤差が2%以上(絶対値)となったのが2回(全体の13%)であった。15年間のうち、過大予測(実績<予測)が10回(全体の67%)、過小予測(実績>予測)が3回(全体の20%)で、政府経済見通しと同様に過大予測の傾向がある。
また、消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)の予測誤差は、2004年度から2018年度までの15年間の平均で▲0.31%、平均絶対誤差は0.39%であった(図表10)。予測値が実績値と完全に一致したのは2004年度の1回(全体の7%)、過大予測(実績<予測)が10回(全体の67%)、過小予測(実績>予測)が4回(全体の27%)であった。日本銀行の消費者物価の予測には明らかに上方バイアスがある。特に2013年4月の量的・質的金融緩和導入後は、2013年度こそ予測誤差が0.1%(実績値-予測値)と小さかったが、2014年度以降は5年連続で実績値が予測値から下振れしており、その幅も全て0.5%以上と大きい。
実質GDP成長率の予測値の平均絶対誤差が1%以上、実績値が全ての調査機関の予測レンジから外れる確率が50%程度あるなど、必ずしも民間調査機関の予測精度が高いとは言えないが、政府、日本銀行の見通しと比べて相対的に優秀な予測とは言えるだろう。
第1回、第2回では、年度ベースの実質GDP成長率を中心に予測精度の検証を行ったが、第3回は四半期ベースのGDP速報(QE)の予測精度を取り上げる予定である。
第1回、第2回では、年度ベースの実質GDP成長率を中心に予測精度の検証を行ったが、第3回は四半期ベースのGDP速報(QE)の予測精度を取り上げる予定である。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2019年12月25日「基礎研レター」)
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