- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 企業物価指数(2019年10月) ―国内企業物価は消費税率引き上げ後でも前年比マイナス
2019年11月13日
    文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.国内企業物価は消費増税も前年比でマイナスが続く
 11月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年10月の国内企業物価指数は前年比▲0.4%(9月:同▲1.1%)と、消費税率引き上げ後にもかかわらず5ヵ月連続の前年比マイナスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲0.3%、当社予想は同0.0%)を下回る結果となった。また、消費税率引き上げ分を除いた10月の国内企業物価は、前年比▲1.9%となり、9月の同▲1.1%から下落幅が拡大した。消費税率引き上げによって、企業物価指数は1.5%ポイント押し上げられた。
                                                        11月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年10月の国内企業物価指数は前年比▲0.4%(9月:同▲1.1%)と、消費税率引き上げ後にもかかわらず5ヵ月連続の前年比マイナスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:前年比▲0.3%、当社予想は同0.0%)を下回る結果となった。また、消費税率引き上げ分を除いた10月の国内企業物価は、前年比▲1.9%となり、9月の同▲1.1%から下落幅が拡大した。消費税率引き上げによって、企業物価指数は1.5%ポイント押し上げられた。原油価格の下落を反映し、石油・石炭製品が前年比▲15.6%(9月:同▲11.9%)と5ヵ月連続のマイナスとなり、下落幅を拡大させたことが押し下げ要因となった。
国内企業物価指数の前月比は1.1%(消費税除:前月比▲0.4%(9月:同▲0.3%))、夏季電力料金調整後の前月比は1.4%(消費税除:同▲0.1%(9月:同▲0.1%)となった。
 原油価格の下落を反映し、石油・石炭製品が前年比▲11.9%(8月:同▲9.9%)と4ヵ月連続のマイナスとなり、前月から下落幅を拡大させたことが国内企業物価指数を押し下げる要因となった。
                                                        原油価格の下落を反映し、石油・石炭製品が前年比▲11.9%(8月:同▲9.9%)と4ヵ月連続のマイナスとなり、前月から下落幅を拡大させたことが国内企業物価指数を押し下げる要因となった。国内企業物価指数の前月比は0.0%(8月:同▲0.3%)と前月から横ばいとなった。一方、夏季電力料金引き上げの影響を除いた国内企業物価指数の前月比は▲0.1%(8月:同▲0.2%)と5ヵ月連続でマイナスとなった。
内訳をみると、中国の景気減速を背景とした銅価格の下落を受けて、非鉄金属が前月比▲0.4%(9月:同0.0%)と再び下落に転じたほか、原油価格の下落により化学製品は前月比▲1.2%(9月:同▲0.1%)と6ヵ月連続の下落となり、下落幅が拡大した。
10月の消費税率引き上げによって、国内企業物価指数に採用されている746品目のうち、軽減税率の対象*1が120品目、経過措置で新税率の適用が11月以降となる対象*2が9品目、それ以外の課税対象*3が617品目となった。
*1 軽減措置の対象となる品目は酒類やたばこ類を除く飲食料品、化学製品のうち塩および香料、葉たばこを除く農林水産物。
*2 経過措置の対象となる品目は電力・都市ガス・水道に含まれる全品目。ただし一部の調査価格が経過措置の対象外となる品目も含む。
*3 課税品目のうち、医療用品、ベッド・マットレスについては一部の調査価格が非課税の扱いとなっている。
2.輸入物価は上昇に転じる
                                            10月の輸入物価指数*4は、契約通貨ベースでは前月比0.1%(9月:同▲1.5%)と2ヵ月ぶりにプラスに転じた。一方、10月のドル円相場では、前月比0.6%の円安水準となったことから、円ベースでは前月比0.7%(9月:同▲0.8%)と6ヵ月ぶりの上昇となった。
                                    
             契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、アジア向けの堅調な需要を背景としてニッケル地金が前月比12.7%(9月:同16.5%)の大幅上昇となるなど、金属・同製品が前月比0.7%(9月:同1.0%)と3ヵ月連続の上昇となったほか、石油・石炭・天然ガスが前月比1.0%(9月:同▲5.1%)とプラスに転じた。一方、それ以外の要因は全て下落し、上昇率を押し下げた。
                                                        契約通貨ベースで輸入物価指数の内訳をみると、アジア向けの堅調な需要を背景としてニッケル地金が前月比12.7%(9月:同16.5%)の大幅上昇となるなど、金属・同製品が前月比0.7%(9月:同1.0%)と3ヵ月連続の上昇となったほか、石油・石炭・天然ガスが前月比1.0%(9月:同▲5.1%)とプラスに転じた。一方、それ以外の要因は全て下落し、上昇率を押し下げた。為替レートは一進一退の動きが続いているが、原油価格(ドバイ)は上値の重い展開が続いていること、世界需要の減速を反映した国際商品市況の低調な推移により、輸入物価指数は先行きも弱めの動きが続くと予想される。
*4 輸入物価指数は、消費税を除くベースで作成されている
                                                            3.国際商品市況を反映し素原材料は下落幅が拡大
 10月の需要段階別指数(国内品+輸入品)*5をみると、素原材料が前年比▲12.9%(9月:同▲11.0%)、中間財が前年比▲3.4%(9月:同▲2.7%)、最終財が前年比▲2.4%(9月:同▲1.7%)となり、すべての需要段階で下落幅が拡大した。素原材料は国際商品市況を反映しやすく、原油や非鉄金属などの資源価格の下落が影響している。当面は素原材料の下落が後ズレして中間財、最終財の価格に波及すると考えられる。
                                                        10月の需要段階別指数(国内品+輸入品)*5をみると、素原材料が前年比▲12.9%(9月:同▲11.0%)、中間財が前年比▲3.4%(9月:同▲2.7%)、最終財が前年比▲2.4%(9月:同▲1.7%)となり、すべての需要段階で下落幅が拡大した。素原材料は国際商品市況を反映しやすく、原油や非鉄金属などの資源価格の下落が影響している。当面は素原材料の下落が後ズレして中間財、最終財の価格に波及すると考えられる。また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲3.1%(9月:同▲2.2%)と6ヵ月連続でマイナスとなり、下落幅を拡大させた。
11月の国内企業物価指数は、経過措置の対象となった品目にも10%の消費税がかかる。経過措置の対象品目の調査価格の一部には、10月時点ですでに新税率が適用されているため、経過措置終了による押し上げ幅は0.1%ポイントにも満たない。国際商品市況が軟調に推移する中、国内企業物価指数は今後も弱い動きが続く公算が大きく、国内企業物価は今後もマイナス圏での弱い動きが続くと予想する。
*5 需要段階別指数は、消費税を除くベースで作成されている
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年11月13日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
藤原 光汰
藤原 光汰のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2021/09/30 | ニッセイ景況アンケート調査結果-2021年度調査 | 藤原 光汰 | ニッセイ景況アンケート | 
| 2021/09/13 | 企業物価指数(2021年8月)―上昇率は高水準も、前月から0.1ポイント縮小 | 藤原 光汰 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2021/08/27 | 鈍る緊急事態宣言への反応 | 藤原 光汰 | 研究員の眼 | 
| 2021/08/12 | 企業物価指数(2021年7月)―前月から上昇率がさらに拡大。高水準が続く | 藤原 光汰 | 経済・金融フラッシュ | 
新着記事
- 
                2025年11月04日 
 今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】
- 
                2025年10月31日 
 交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋
- 
                2025年10月31日 
 ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定
- 
                2025年10月31日 
 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~
- 
                2025年10月31日 
 保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
- 
                        2025年07月01日 News Release 
- 
                        2025年06月06日 News Release 
- 
                        2025年04月02日 News Release 
【企業物価指数(2019年10月) ―国内企業物価は消費税率引き上げ後でも前年比マイナス】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
企業物価指数(2019年10月) ―国内企業物価は消費税率引き上げ後でも前年比マイナスのレポート Topへ 
            




 
                     
                    
 経済 のレポート
経済 のレポート 
                                     
                                     
                                     
                                    
 
                                             
                         
                         
                        
 
                                                 
             
                     
					


