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「札幌オフィス市場」の現況と見通し(2019年)

金融研究部 上席研究員 吉田 資
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1. はじめに
2. 札幌オフィス市場の現況
札幌のオフィス空室率は、全国主要都市と同様に低下傾向で推移している。三幸エステートによると、札幌市の空室率(2018年12月時点)は3.7%となり、2017年末の4.0%から更に低下した(図表1)。札幌では、過去5年間のオフィスの新規供給量は、年間3,500坪程度と限定的であった。一方、コールセンター1企業や、ソフト開発等のIT関連企業を中心とした新規開設および拡張移転等を背景に、オフィス需要は堅調であり、まとまった面積の空室は減少している。
札幌市の空室率を規模2別にみると、「大規模ビル」を除く全ての規模の空室率が過去最低水準まで低下した。大規模ビルの空室率は、2018年5月の「さっぽろ創世スクエア」の竣工等に伴い、2017年末の1.5%から2018年末には2.0%へ小幅に上昇したが、依然として、移転集約等を受け皿となる高スペックなビルは足りていない模様だ。(図表2)。
1 オペレーターが、電話やメール等の情報通信技術を用いて、販売商品やサービス等に関する問い合わせの対応や注文受付、勧誘等を行う事務所。
2 三幸エステートの定義による。大規模ビルは基準階面積200坪以上、大型は同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満。
3 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
三鬼商事によると、札幌ビジネス地区では、総ストックを表す賃貸可能面積は、新規供給が限定的であったことに加え、築古ビルの取り壊し等が進んだことで、2009年末の49.3万坪から2018年末の51.2万坪へと10年間で1.9万坪の増加に留まった。一方、テナントによる賃貸面積は、2009年末の43.8万坪から2018年末の50.0万坪へと10年間で6.2万坪の大幅増加となった(図表6)。
この結果、札幌ビジネス地区の空室面積は、2010年末の5.7万坪をピークに減少し続けており、2018年末には1.2万坪と、ファンドバブル期のボトムである2007年末(3.9万坪)の3分の1以下の水準となった。
直近の移転事例をみると、2018年5月に竣工した「さっぽろ創世スクエア」にはコールセンター大手の「りらいあコミュニケーションズ」や「トランスコスモス」が、2019年3月に竣工した「創成イーストビル」にはIT大手の「富士ソフト」が入居する等、コールセンター企業やIT関連企業の移転が目立つ。
4 企業等の内部事務や業務支援サービスの提供を集約的に行う事務所
(2019年07月09日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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