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東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2019年)
 
                                                金融研究部 上席研究員 吉田 資
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1. はじめに
1 本稿ではAクラスビルとして三幸エステートの定義を用いる。三幸エステートでは、エリア(都心5区主要オフィス地区とその他オフィス集積地域)から延床面積(1万坪以上)、基準階床面積(300坪以上)、築年数(15年以内)および設備などのガイドラインを満たすビルからAクラスビルを選定している。また、基準階床面積が200坪以上でAクラスビル以外のビルなどからガイドラインに従いBクラスビルを、同100坪以上200坪未満のビルからCクラスビルを設定している。詳細は三幸エステート「オフィスレントデータ2019」を参照のこと。なお、オフィスレント・インデックスは月坪当りの共益費を除く成約賃料。
2. 東京都心部Aクラスビル市場の現状
2 三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発した成約賃料に基づくオフィスマーケット指標。
3 賃料サイクルとは、縦軸に賃料、横軸に空室率をプロットした循環図。通常、(1)空室率低下・賃料上昇→(2)空室率上昇・賃料上昇→(3)空室率上昇・賃料下落→(4)空室率低下・賃料下落、と時計周りに動く。
2018年は20万坪を越える高水準の新規供給があったが、旺盛なオフィス需要が供給を上回り、東京都心部Aクラスビルの空室率は低下を続けている。旺盛なオフィス需要を支えている要因として、人手不足が深刻化するなか、優秀な人材を確保することを目的とした、(1)オフィス環境の改善に対する意識の高まりと、(2)ワークプレイスの多様化を挙げられることができる。
(1)オフィス環境の改善に対する意識の高まり
2018年の有効求人倍率は1.61と、1973年以来の高水準となり、労働市場は逼迫した状況が続いている。このような状況下で優秀な人材を確保すべく、企業のオフィス選定基準は、コスト削減から快適なオフィス環境の構築に力点がシフトしている。
森ビル「2018年 東京23区オフィスニーズに関する調査」(以下、「オフィスニーズ調査」)によれば、「オフィス環境づくりにおける課題」について、前回調査(2015年調査)から「効率的なレイアウトによるコストダウン」との回答が大幅で減少した一方、「社内コミュケーション強化」や「社員への健康配慮」との回答が増加した(図表6)。従業員の働きやすい環境を整備する目的で、リフレッシュルームなどの共用部や打ち合わせスペースが充実したオフィスへの移転を考える企業も増えている。
オフィス環境の改善や、従業員の通勤利便性の向上などが実現できるなら、一定程度の賃料負担を許容する企業が増えている模様であり、築古の中小ビルから好立地で築浅の高機能ビルへの移転ニーズが強い状況にある。
(2019年02月15日「不動産投資レポート」)
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- 【職歴】
 2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
 2018年 ニッセイ基礎研究所
 2025年7月より現職
 【加入団体等】
 一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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