2018年02月26日

負のタームスプレッドで取引される中期国債

金融研究部 金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任 福本 勇樹

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■要旨
 
  • マイナス金利政策導入後より、中期国債の利回りが翌日物金利(無担保コールレートやレポレート)よりも低い状態が継続している。
     
  • 海外投資家は、為替先物を用いて日本国債を米ドル建てに変換することで利回りを高めることが出来たことから、日本国債の購入を進めてきた。 日本銀行も日本国債の買入を進めており、このような市場環境が中期国債の利回りに低下圧力を与えていたものと考えられる。
     
  • しかし、2018年に入ってから米ドル建て日本国債利回り(2年)よりも米国債利回り(2年)の方が高くなっており、海外投資家から見ると中期国債を購入するインセンティブは低下しており、金利低下圧力は弱まっている。
     
  • 一方で、マイナス金利政策の影響によって、中期国債の利回りは日銀当座預金の一部に適用されるマイナス金利以上になりにくいメカニズムが働いている。 今後もマイナス金利政策が継続されるものと予想されるため、日銀当座預金の一部に適用されるマイナス金利(-0.1%)をおおよその上限として、中期国債の利回りは推移していくものと考えられる。

■目次

1――負のタームスプレッドで取引される中期国債
2――日本の国債市場における機関投資家と日本銀行の動向
3――マイナス金利政策の影響
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金融研究部   金融調査室長・年金総合リサーチセンター兼任

福本 勇樹 (ふくもと ゆうき)

研究・専門分野
金融・決済・価格評価

経歴
  • 【職歴】
     2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
     2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
     2021年7月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
     ・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)

    【著書】
     成城大学経済研究所 研究報告No.88
     『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
      著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
      出版社:成城大学経済研究所
      発行年月:2020年02月

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