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- 【東南アジア経済】ASEANの輸出動向(9月号)~急低下で底打ちが見通せない展開に
2016年09月09日
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ベトナムの16年7月の輸出額は前年同月比4.3%増(前月:同3.9%増)と製造業を中心に増加傾向を維持しているが、足元では伸び悩みが目立つ(図表6)。品目別に見ると、輸出全体の約2割を占める電話・部品が同5.7%増(前月:同0.4%増)が4ヵ月ぶりに上昇したほか、コンピュータ・電子部品も同25.3%増(前月:同12.4%増)と一段と上昇した。一方、織物・衣類は同2.0%減(前月:同7.0%増)と5ヵ月ぶりのマイナスとなったほか、履物も同3.4%増(前月:同5.6%増)と低下した。
資本別に見ると、地場企業が同2.1%減(前月:同1.9%減)と小幅に低下したものの、輸出全体の7割を占める外資系企業が同7.4%増(前月:同6.6%増)と上昇した。
シンガポールの16年7月の輸出額(石油と再輸出除く)は前年同月比10.6%減(米ドルベースでは同9.9%減)と、前月の同2.4%減から低下した(図表7)。5月は英EU離脱を問う国民投票を控えて安全資産である金輸出の拡大で上ぶれたとはいえ、6月も輸出のマイナス幅は小さく、輸出の減少傾向には歯止めが掛かりつつあるかに見えたが、7月は期待外れの大幅な減少となった。品目別に見ると、輸出(石油と再輸出除く)全体の約3割を占める電子製品は同4.1%減(前月:同0.5%減)とマイナス幅が拡大した。前月まで堅調だった通信機器(同23.4%減)をはじめ、IC(同1.0%減)、PC(同36.0%減)、PC部品(同18.8%減)、ダイオード・トランジスタ(同19.5%減)など主要5製品が軒並み減少した。また同じく全体の約3割を占める化学製品は同9.3%減(前月:同9.0%減)と石油化学製品を中心に低迷したほか、その他製品も同9.6%減(前月:同2.7%増)とマイナスに転じた。
フィリピンの16年7月の輸出額は前年同月比13.0%減と、前月の同11.4%減から一段と低下した(図表8)。年初まで輸出を牽引してきた電子製品が3ヵ月連続のマイナスとなっており、輸出不振の長期化が懸念される展開になってきた。輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の約5割を占める電子製品は同14.8%減(前月:同5.1%減)と更に低下した。電子製品の中では、電子データ処理機が同18.6%増と4ヵ月連続の二桁増となる一方、半導体デバイスが同24.4%減と5ヵ月連続のマイナスとなった。その他9品目は、ココナッツオイル(同42.6%増)とその他製造品(同7.7%増)が増加したものの、機械・輸送用機器(同36.8%減)、木工品・家具(同24.2%減)、その他鉱産物(同18.9%減)、化学(同18.7%減)、アパレル(同14.0%減)、イグニッションワイヤーセット(同1.8%減)、金属部品(同1.7%減)など幅広い品目が減少した。
(2016年09月09日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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