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- 欧州経済見通し ~相次ぐ危機でも回復は途切れないのか?~
2015年12月09日
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- 2015年のユーロ圏では危機が相次いだが、緩やかな回復は途切れなかった。
- 16年もユーロ圏の内需主導の緩やかな回復は続く見通しだ。実質GDPは15年の前年比1.6%、16年同1.6%、17年同1.7%、インフレ率は、世界的な原油価格の動きが大きく影響し、15年はゼロ、16年1.1%、17年1.6%と予測する。
- 相次ぐ危機でもユーロ圏の回復が途切れなかった最大の理由は、欧州中央銀行(ECB)の金融緩和の強化にある。ユーロ高圧力の緩和や、ユーロ圏経済の内外のショックへの耐性を高める上で大きな役割を果たしたが、貸出や設備投資などへの効果はこれまでのところ限定的だ。期待される成長率が低い上に、民間企業の過剰債務や銀行の不良債権処理の遅れが、金融政策の波及を妨げていると思われる。
- 16年も個人消費は雇用所得環境の改善に支えられて堅調に推移する見通しだ。投資も拡大が見込まれるが、域内のデレバレッジの圧力が残り、新興国を中心とする輸出も伸び悩んでいるため、現時点での計画に比べて、ペースは緩やかなものとなりそうだ。
- 他方、難民対策費や治安対策の強化など、危機対策のための政府支出が一定の押し上げ効果を果たす見込みであり、その規模は想定よりも上振れる可能性がある。
- 英国経済は2017年にかけて2%台半ばの成長が続く見通しであり、イングランド銀行(BOE)は、16年7~9月期に利上げに着手するだろう。
- 英国では17年末までに欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票が実施される。果たして英国民が合理的な判断を下すのか。向こう2年間の最大の注目点となろう。
(2015年12月09日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
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