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「3大死因」が変わるかも?
保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
日本の3大死因とは、「悪性新生物」(がん)、「心疾患(高血圧性を除く。以下同じ。)」、「脳血管疾患」で、人口動態調査によれば、2010年の総死亡数の半分以上をこれら3つの死因が占めている。下図は、2010年に死亡数の多かった8つの死因について、人口10万人に対する死亡率を1950年以降の時系列で示したものである。これを見ると、順位の入れ替わりはあるものの、50年間以上にわたって3大死因が上位を占め続けてきたことがわかる。1950年以前は結核など感染症による死亡が多かったが(図表略)、経済成長とともに増加したこれら3つの死因は、生活習慣病に関連づけられ注目されてきた。
しかし、近々死因の順位に変化がありそうだ。3番目に死亡数が多い脳血管疾患が1960年代以降減少しているのに対して、4番目に死亡数の多い肺炎が1990年頃から増加し、脳血管疾患を上回りつつある。人口動態調査による死因別死亡率の確定値は2010年までしか公表されていないが、2011年について1月から11月末までの死亡数概算値の累計を見ると、肺炎が脳血管疾患を上回っている。
もともと肺炎による死亡は高齢者で多く、ここ数年の75歳以上の死亡率では悪性新生物、心疾患に次いで3番目に多い。肺炎の年齢調整死亡率1が横ばいであることから、肺炎による死亡数の増加は、高年齢人口が増加したことによる影響が大きいと考えられる。他の疾病の既往者が誤嚥などによって肺炎で死亡するケースも多いと言われている。
一方、脳血管疾患による死亡数の減少は、医療技術の進歩による影響が大きいとされており、年齢調整死亡率も著しく低下している。このように、死因の上位を占める疾病の中でも悪性新生物や心疾患に比べて死亡率が改善している脳血管疾患であるが、要介護状態の原因となる疾病としても知られている。平成22年国民生活基礎調査によれば、要介護状態原因の21.5%が脳血管疾患による。
1950年以前は結核などの感染症が死因の上位を占めていたが、1950年代以降、経済発展とともに生活習慣病に関連した死因が上位となるなど、死因が時代背景を表してきた。今後、高齢化の進展にともない高年齢に多い死因である肺炎が上位にランクされたり、更には脳血管疾患の死亡率の改善によって要介護状態になるリスクが高まっていることも、やはり今の時代を表していると感じる。
(2012年06月05日「研究員の眼」)
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03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
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