2016年04月22日

欧州経済の不安材料-マイナス金利の副作用、BREXIT、ギリシャ危機再燃

経済研究部 常務理事 伊藤 さゆり

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■要旨
  1. FRBの利上げ見通しの後退を背景にドル高が修正、原油価格が反転、新興国からの資本流出、通貨下落への圧力が緩和している。
     
  2. ドル高の修正という大きな流れの中で、日本とユーロ圏では、金融緩和策を強化しても通貨高圧力が続いている。行過ぎたドル高の修正が米国と中国を含む新興国の多くに安定化の効果をもたらすのであれば、日欧にとってもマイナス面ばかりではない。
     
  3. この先も世界経済と金融市場の安定が続くか否かは、FRBの金融政策の舵取りや中国の政策運営に負う部分が大きいが、欧州域内にも様々なリスクがある。
     
  4. 14年6月以降の金融緩和の強化は、これまでのところ効果を発揮してきたが、副作用が表面化する兆候も現れ始めている。
     
  5. 6月23日に予定されているEU残留か離脱かを問う英国の国民投票も予断を許さない。離脱の場合の影響は、離脱交渉の内容やスピード次第だが、投票結果が離脱多数の場合、不透明感を嫌うポンド売りが加速しそうだ。
     
  6. ギリシャ危機再燃も夏場に向けたリスクだ。昨年8月に始動した第3次支援の第1回審査は難航している。7月20日のECB等が保有する23億ユーロの国債の償還期限までに審査を合格し、返済原資を獲得できるのか危ぶまれ始めている。
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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

経歴
  • ・ 1987年 日本興業銀行入行
    ・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
    ・ 2023年7月から現職

    ・ 2011~2012年度 二松学舎大学非常勤講師
    ・ 2011~2013年度 獨協大学非常勤講師
    ・ 2015年度~ 早稲田大学商学学術院非常勤講師
    ・ 2017年度~ 日本EU学会理事
    ・ 2017年度~ 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
    ・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
               「欧州政策パネル」メンバー
    ・ 2022年度~ Discuss Japan編集委員
    ・ 2023年11月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
    ・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員

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