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- 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~
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                        2025年10月31日
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● 7-9月期は年率▲2.7%のマイナス成長を予測
                                            2025年7-9月期の実質GDPは、前期比▲0.7%(前期比年率▲2.7%)と6四半期ぶりのマイナス成長になったと推計される1。
民間消費、設備投資が小幅な増加にとどまる中、輸出と住宅投資が大きく落ち込んだことがマイナス成長の主因である。外需、住宅投資だけで7-9月期の成長率は年率▲3%近く押し下げられた。
民間消費(前期比0.2%)、設備投資(同0.3%)は小幅な増加となったが、住宅投資が建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で前期比▲9.1%と急速に落ち込んだことから、国内需要は3四半期ぶりに減少した。住宅投資の落ち込みは、リーマン・ショック後の2009年4-6月期(前期比▲9.8%)以来の大きさになったとみられる。
外需寄与度は前期比▲0.4%(前期比年率▲1.5%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比▲2.4%、財貨・サービスの輸入が同▲0.6%と予測する。輸出は4-6月期にはトランプ関税下でも増加したが、7-9月期は米国向けを中心に落ち込んだ。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.3%(うち民需▲0.4%、公需0.1%)、外需が▲0.4%と予測する。
 
名目GDPは前期比▲0.3%(前期比年率▲1.4%)と6四半期ぶりの減少となるが、実質の伸びは上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.3%(4-6月期:同1.1%)、前年比2.8%(4-6月期:同3.0%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.3%(4-6月期:同0.4%)と19四半期連続で上昇するだろう。
 
なお、11/17に内閣府から2025年7-9月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2025年4-6月期の実質GDP成長率は、外需、設備投資の下方修正などから、前期比年率2.2%から同1.9%へ下方修正されると予想している。
 
7-9月期のマイナス成長の主因となった輸出、住宅投資のうち、住宅投資の先行指標の住宅着工戸数は2025年5月を底に持ち直している。GDP統計の住宅投資は工事の進捗ベースで計上され、着工戸数の動きが遅れて反映されるため、10-12月期には持ち直すことが見込まれる。輸出は米国のトランプ関税が引き続き下押し圧力となるが、9月に自動車の関税率が引き下げられたことから悪影響は若干緩和されるだろう。
現時点では、輸出の減少ペースが緩やかとなる中、民間消費、住宅投資、設備投資が増加することから、10-12月期の実質GDPは前期比年率0%台前半の小幅なプラス成長になると予想しているが、輸出を中心に下振れリスクは高い。 
1 10/31までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
            民間消費、設備投資が小幅な増加にとどまる中、輸出と住宅投資が大きく落ち込んだことがマイナス成長の主因である。外需、住宅投資だけで7-9月期の成長率は年率▲3%近く押し下げられた。
民間消費(前期比0.2%)、設備投資(同0.3%)は小幅な増加となったが、住宅投資が建築物省エネ法・建築基準法改正前の駆け込み需要の反動で前期比▲9.1%と急速に落ち込んだことから、国内需要は3四半期ぶりに減少した。住宅投資の落ち込みは、リーマン・ショック後の2009年4-6月期(前期比▲9.8%)以来の大きさになったとみられる。
外需寄与度は前期比▲0.4%(前期比年率▲1.5%)と2四半期ぶりのマイナスとなった。財貨・サービスの輸出が前期比▲2.4%、財貨・サービスの輸入が同▲0.6%と予測する。輸出は4-6月期にはトランプ関税下でも増加したが、7-9月期は米国向けを中心に落ち込んだ。
実質GDP成長率への寄与度(前期比)は、国内需要が▲0.3%(うち民需▲0.4%、公需0.1%)、外需が▲0.4%と予測する。
名目GDPは前期比▲0.3%(前期比年率▲1.4%)と6四半期ぶりの減少となるが、実質の伸びは上回るだろう。GDPデフレーターは前期比0.3%(4-6月期:同1.1%)、前年比2.8%(4-6月期:同3.0%)と予測する。国内需要デフレーターが前期比0.3%(4-6月期:同0.4%)と19四半期連続で上昇するだろう。
なお、11/17に内閣府から2025年7-9月期のGDP速報が発表される際には、基礎統計の改定や季節調整のかけ直しなどから、成長率が過去に遡って改定される。当研究所では、2025年4-6月期の実質GDP成長率は、外需、設備投資の下方修正などから、前期比年率2.2%から同1.9%へ下方修正されると予想している。
7-9月期のマイナス成長の主因となった輸出、住宅投資のうち、住宅投資の先行指標の住宅着工戸数は2025年5月を底に持ち直している。GDP統計の住宅投資は工事の進捗ベースで計上され、着工戸数の動きが遅れて反映されるため、10-12月期には持ち直すことが見込まれる。輸出は米国のトランプ関税が引き続き下押し圧力となるが、9月に自動車の関税率が引き下げられたことから悪影響は若干緩和されるだろう。
現時点では、輸出の減少ペースが緩やかとなる中、民間消費、住宅投資、設備投資が増加することから、10-12月期の実質GDPは前期比年率0%台前半の小幅なプラス成長になると予想しているが、輸出を中心に下振れリスクは高い。
1 10/31までに公表された経済指標をもとに予測している。今後公表される経済指標の結果によって予測値を修正する可能性がある。
●主な需要項目の動向
                                            ・民間消費~物価高の影響緩和で緩やかな増加~
民間消費は前期比0.2%と6四半期連続の増加を予測する。
物価高による下押し圧力は残っているが、エネルギー価格を中心に物価の上昇ペースが鈍化したことが消費を下支えした。消費者物価(総合)は2025年1-3月期の前年比3.8%をピークに4-6月期が同3.4%、7-9月期が同2.9%と徐々に伸びが鈍化している。
            民間消費は前期比0.2%と6四半期連続の増加を予測する。
物価高による下押し圧力は残っているが、エネルギー価格を中心に物価の上昇ペースが鈍化したことが消費を下支えした。消費者物価(総合)は2025年1-3月期の前年比3.8%をピークに4-6月期が同3.4%、7-9月期が同2.9%と徐々に伸びが鈍化している。
                                            ・住宅投資~駆け込み需要の反動で急減~
住宅投資は前期比▲9.1%と3四半期ぶりの減少を予測する。
            住宅投資は前期比▲9.1%と3四半期ぶりの減少を予測する。
                                                                        ・民間設備投資~高水準の企業収益を背景に底堅さを維持~
民間設備投資は前期比0.3%と4四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2025年4-6月期の前期比1.9%の後、7-9月期は同▲3.9%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2025年4-6月期に前期比0.4%と3四半期連続で増加した後、7、8月の平均は4-6月期を▲3.3%下回っている。
日銀短観2025年9月調査では、2025年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が6月調査から0.8%上方修正され、前年度比9.5%(実績)となった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり7-9月期は前期から伸びが鈍化したとみられる。
            民間設備投資は前期比0.3%と4四半期連続の増加を予測する。
設備投資の一致指標である投資財出荷指数(除く輸送機械)は2025年4-6月期の前期比1.9%の後、7-9月期は同▲3.9%となった。また、機械投資の先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は2025年4-6月期に前期比0.4%と3四半期連続で増加した後、7、8月の平均は4-6月期を▲3.3%下回っている。
日銀短観2025年9月調査では、2025年度の設備投資計画(全規模・全産業、含むソフトウェア・研究開発投資額、除く土地投資額)が6月調査から0.8%上方修正され、前年度比9.5%(実績)となった。
設備投資は、高水準の企業収益を背景に、人手不足対応の省力化投資、デジタル化に向けた情報関連投資、Eコマース拡大に伴う建設投資などを中心に回復基調が続いているが、トランプ関税の影響もあり7-9月期は前期から伸びが鈍化したとみられる。
 ・外需~トランプ関税の影響が顕在化~
                                                        ・外需~トランプ関税の影響が顕在化~外需寄与度は前期比▲0.4%(前期比年率▲1.5%)と2四半期ぶりマイナスを予測する。財貨・サービスの輸出が前期比▲2.4%、財貨・サービスの輸入が同▲0.6%となり、輸出の減少幅が輸入の減少幅を上回ったことから、外需が成長率の押し下げ要因となった。
2025年7-9月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲6.1%(4-6月期:同▲1.3%)、EU向けが前期比▲2.1%(4-6月期:同3.0%)、アジア向けが前期比▲1.9%(4-6月期:同▲0.3%)、うち中国向けが前期比▲1.1%(4-6月期:同▲2.6%)、全体では前期比▲2.8%(4-6月期:同0.6%)となった。
いずれの地域向けも低調だが、自動車を中心に関税引き上げの影響が顕在化し始めた米国向けの輸出が特に弱い。
(2025年10月31日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
                            - ・ 1992年:日本生命保険相互会社
 ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
 ・ 2019年8月より現職
 ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
 ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
 ・ 2018年~ 統計委員会専門委員
斎藤 太郎のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 | 
|---|---|---|---|
| 2025/10/31 | 2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ | 斎藤 太郎 | Weekly エコノミスト・レター | 
| 2025/10/31 | 鉱工業生産25年9月-7-9月期の生産は2四半期ぶりの減少も、均してみれば横ばいで推移 | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2025/10/31 | 雇用関連統計25年9月-女性の正規雇用比率が50%に近づく | 斎藤 太郎 | 経済・金融フラッシュ | 
| 2025/10/30 | 潜在成長率は変えられる-日本経済の本当の可能性 | 斎藤 太郎 | 基礎研レポート | 
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