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2025年07月01日
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3.価格判断:値上げ意向は継続、物価見通しは2%超で高止まり
大企業製造業の仕入価格判断DI (上昇-下落)は前回から2ポイント低下の39、非製造業は3ポイント低下の45となった。国際的な資源価格の下落や円高を受けた輸入物価の下落が反映されたとみられる。
一方、販売価格判断DIは製造業では3ポイント低下の25、非製造業では2ポイント上昇の34となった。
製造業では仕入価格判断DIの低下幅を販売価格判断DIの低下幅が若干上回ったため、差し引きであるマージン(採算)は若干悪化している。一方、非製造業では、仕入価格判断DIが低下する一方で販売価格判断DIが上昇したため、マージンは改善した。
仕入価格判断DIの3か月後の先行きは大企業製造業で横ばい、非製造業で1ポイントの低下とそれぞれ小動きが見込まれている。販売価格判断DIの3ヵ月後の先行きは、製造業で2ポイントの上昇、非製造業で4ポイントの低下が見込まれていることから、非製造業ではマージンが悪化する見込みとなっている。製造業、非製造業ともに販売価格判断DIの先行きの水準は30%ポイント前後(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)で高止まりしており、一定程度の値上げが定着している。
なお、中小企業では、販売価格判断DIの先行きとして、製造業で4ポイントの上昇、非製造業で3ポイントの上昇が見込まれている。DIの先行きの水準もそれぞれ大企業よりもやや高めだ。これまでの価格転嫁の遅れもあり、中小企業の先行きの値上げ意欲は相対的に強い。
同じく物価関連項目である企業の「物価全般の見通し(全規模)」は引き続き2%超で高止まりした。具体的には、1年後が前年比2.4%(前回比0.1%ポイント低下)、3年後が2.4%(前回から横ばい)、5年後が2.3%(前回から横ばい)となっている。
また、企業の販売価格の見通し(全規模・現状との比較)も1年後が2.9%(前回から横ばい)、3年後が4.3%(前回比0.1%ポイント低下)、5年後が5.1%(前回比0.1%ポイント低下)と、中長期的な値上げ意向も維持されている。
物価関連項目は総じて堅調を維持しており、物価上昇が継続する可能性を示唆している。
一方、販売価格判断DIは製造業では3ポイント低下の25、非製造業では2ポイント上昇の34となった。
製造業では仕入価格判断DIの低下幅を販売価格判断DIの低下幅が若干上回ったため、差し引きであるマージン(採算)は若干悪化している。一方、非製造業では、仕入価格判断DIが低下する一方で販売価格判断DIが上昇したため、マージンは改善した。
仕入価格判断DIの3か月後の先行きは大企業製造業で横ばい、非製造業で1ポイントの低下とそれぞれ小動きが見込まれている。販売価格判断DIの3ヵ月後の先行きは、製造業で2ポイントの上昇、非製造業で4ポイントの低下が見込まれていることから、非製造業ではマージンが悪化する見込みとなっている。製造業、非製造業ともに販売価格判断DIの先行きの水準は30%ポイント前後(コロナ前は概ねゼロ%ポイント)で高止まりしており、一定程度の値上げが定着している。
なお、中小企業では、販売価格判断DIの先行きとして、製造業で4ポイントの上昇、非製造業で3ポイントの上昇が見込まれている。DIの先行きの水準もそれぞれ大企業よりもやや高めだ。これまでの価格転嫁の遅れもあり、中小企業の先行きの値上げ意欲は相対的に強い。
同じく物価関連項目である企業の「物価全般の見通し(全規模)」は引き続き2%超で高止まりした。具体的には、1年後が前年比2.4%(前回比0.1%ポイント低下)、3年後が2.4%(前回から横ばい)、5年後が2.3%(前回から横ばい)となっている。
また、企業の販売価格の見通し(全規模・現状との比較)も1年後が2.9%(前回から横ばい)、3年後が4.3%(前回比0.1%ポイント低下)、5年後が5.1%(前回比0.1%ポイント低下)と、中長期的な値上げ意向も維持されている。
物価関連項目は総じて堅調を維持しており、物価上昇が継続する可能性を示唆している。
4.売上・利益計画:2024年度の利益は上方修正、2025年度は下方修正
2024年度収益計画(全規模全産業)は、売上高が前年比3.8%増(前回は3.3%増)、経常利益は5.6%増(前回は同1.6%増)とそれぞれ上方修正された。
例年、経常利益計画は初回の3月調査時点で保守的に見積もられ、前年比で小幅なマイナス圏でスタートし、6月調査で比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、さらに伸び率がやや下方修正された後は、景気が悪化していない限り、上方修正されていく傾向が強い。
今回も同様のパターンとなり、これまでの業績進捗の計画比上振れを受けて、もともとの保守的ぎみであった想定を上方修正する動きが継続したと考えられる。
なお、2024年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は148.44円と、前回(147.94円)からやや円安方向に修正された。前回時点で実勢よりも円高となっていたものが、やや修正された形だ。
また、2025年度収益計画(全規模全産業)は、売上高が前年比1.4%増(前回は0.8%増)、経常利益が同5.7減(前回は1.4%減)となっている。
例年、6月調査では、比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、伸び率がやや下方修正される傾向が強く、今回も同様のパターンとなった。
ちなみに、加工業種における利益の下方修正が目立つことから、トランプ関税の影響が利益計画の下押しに働いている可能性はある。ただし、関税は現在進められている交渉の結果次第で大きく変わり得ることから、現状で具体的に業績に織り込む難易度は高く、一旦仮置きとしている企業も多いと推測される。
なお、2025年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は145.72円(上期145.87円、下期145.56円)と、前回の147.06円からやや円高方向に修正されている。前回調査以降に円相場がやや円高に振れていることを反映した動きと考えられるが、今年度のこれまでの実勢(平均144円台半ば)に対してやや円安水準に留まっている。
例年、経常利益計画は初回の3月調査時点で保守的に見積もられ、前年比で小幅なマイナス圏でスタートし、6月調査で比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、さらに伸び率がやや下方修正された後は、景気が悪化していない限り、上方修正されていく傾向が強い。
今回も同様のパターンとなり、これまでの業績進捗の計画比上振れを受けて、もともとの保守的ぎみであった想定を上方修正する動きが継続したと考えられる。
なお、2024年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は148.44円と、前回(147.94円)からやや円安方向に修正された。前回時点で実勢よりも円高となっていたものが、やや修正された形だ。
また、2025年度収益計画(全規模全産業)は、売上高が前年比1.4%増(前回は0.8%増)、経常利益が同5.7減(前回は1.4%減)となっている。
例年、6月調査では、比較対象となる前年度分の上方修正などを受けて、伸び率がやや下方修正される傾向が強く、今回も同様のパターンとなった。
ちなみに、加工業種における利益の下方修正が目立つことから、トランプ関税の影響が利益計画の下押しに働いている可能性はある。ただし、関税は現在進められている交渉の結果次第で大きく変わり得ることから、現状で具体的に業績に織り込む難易度は高く、一旦仮置きとしている企業も多いと推測される。
なお、2025年度の想定ドル円レート(全規模・全産業ベース)は145.72円(上期145.87円、下期145.56円)と、前回の147.06円からやや円高方向に修正されている。前回調査以降に円相場がやや円高に振れていることを反映した動きと考えられるが、今年度のこれまでの実勢(平均144円台半ば)に対してやや円安水準に留まっている。
(2025年07月01日「Weekly エコノミスト・レター」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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