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- 日本国債市場は市場機能を回復したか-金融正常化における価格発見機能の構造変化
2025年04月21日
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■要旨
■目次
1――はじめに
2――スワップスプレッドの構造的理解と政策変更に対する反応
3――Information Shareの理論と手法
4――実証分析:スワップ市場と国債市場の価格発見機能の推移
1|分析区間と手法の概要
2|金融政策の転換とISの推移:各期間の特徴と背景の解釈
3|利上げによるISの再偏重
5――まとめと政策的示唆
1|YCC下での価格形成の抑圧と、スワップ市場への依存構造
2|YCC解除とISの一時的なバランス回復
3|利上げ局面におけるISの再偏重と構造的な制約
4|政策的示唆と今後の視座
6――補論: Information Shareの数理的構造と計算方法
1|IS(Information Share)の統計的背景と前提
2|主成分別のIS結果とその含意
3|ISの性質と「価格水準 vs 反応順序」の違い
4|ISの限界と今後の活用可能性
5|IS分析の実務的活用に向けて
- 2024年3月、日本銀行はYCC(長短金利操作付き量的・質的金融緩和)を正式に解除し、金融政策は正常化フェーズへ移行した。
- 本稿では、YCCに関する政策修正に伴って日本国債市場が価格発見機能を回復しつつあるかを、円スワップ市場と比較しながらIS(Information Share)を用いて定量的に分析した。
- スワップ市場は取引自由度が高く、金利期待を迅速に織り込む一方、日本国債市場は日銀の大量保有により流動性に制約されている状況が明らかになった。
- YCC導入後では、ISは円スワップ市場に極端に偏り、日本国債市場の情報反映力は著しく制約されていた。
- YCC柔軟化以降、超長期ゾーンで日本国債市場のISが上昇したが、これは単なる金利の水準調整と解釈できる。
- YCC解除直後は、短中長期ゾーンのISが均衡し、日本国債市場の価格発見機能が円スワップ市場と同等のレベルにまで一時的に回復した可能性がある。
- その後の利上げ局面では、再び円スワップ市場への価格発見能力の偏重が顕著になっている。
- このことは、円スワップ市場が政策期待を事前に織り込む一方で、日本国債市場が制度的・流動性面から事後的に反応したことによる構造的なタイムラグを意味していると解釈できる。
- 政策的示唆として、(1)短中期ゾーンの保有比率見直し、(2)ゾーン別発行構成の見直し、(3)ISなどの制度・政策評価ツールの活用が重要である。
■目次
1――はじめに
2――スワップスプレッドの構造的理解と政策変更に対する反応
3――Information Shareの理論と手法
4――実証分析:スワップ市場と国債市場の価格発見機能の推移
1|分析区間と手法の概要
2|金融政策の転換とISの推移:各期間の特徴と背景の解釈
3|利上げによるISの再偏重
5――まとめと政策的示唆
1|YCC下での価格形成の抑圧と、スワップ市場への依存構造
2|YCC解除とISの一時的なバランス回復
3|利上げ局面におけるISの再偏重と構造的な制約
4|政策的示唆と今後の視座
6――補論: Information Shareの数理的構造と計算方法
1|IS(Information Share)の統計的背景と前提
2|主成分別のIS結果とその含意
3|ISの性質と「価格水準 vs 反応順序」の違い
4|ISの限界と今後の活用可能性
5|IS分析の実務的活用に向けて
(2025年04月21日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【職歴】
2005年4月 住友信託銀行株式会社(現 三井住友信託銀行株式会社)入社
2014年9月 株式会社ニッセイ基礎研究所 入社
2021年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・経済産業省「キャッシュレスの普及加速に向けた基盤強化事業」における検討会委員(2022年)
・経済産業省 割賦販売小委員会委員(産業構造審議会臨時委員)(2023年)
【著書】
成城大学経済研究所 研究報告No.88
『日本のキャッシュレス化の進展状況と金融リテラシーの影響』
著者:ニッセイ基礎研究所 福本勇樹
出版社:成城大学経済研究所
発行年月:2020年02月
福本 勇樹のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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