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2025年04月01日
欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック-
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2|Allianz
(1)SCR比率の推移
2024年末のSCR比率は、2023年末の206%から3%ポイント上昇して、209%となった。なお、TMTP(技術的準備金の移行措置)の適用は、2024年末のSCR比率に影響を与えていない。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益による資本形成とビジネス進展による影響が+29%ポイント(税引き後で+20%ポイント、税及び配当控除後で+7%ポイント)
・市場の影響は▲7%ポイント(税引き後で▲5%ポイント、株式市場は好調だったが、国債のスプレッドの拡大、金利の地域別の多様でパラレルでない変化、不動産価格のネガティブな再評価によりマイナス)
・経営行動及び資本管理の影響は▲15%ポイント(配当支払見込59億ユーロ、2024年に発表/完了した自社株買い15億ユーロのマイナスの影響は、((3)トピックで述べる)米国におけるAGCS取引と劣後債取引(+6億ユーロ)のプラスの影響で一部相殺された)
・規制/モデル変更による影響は、+3%ポイント(いくつかのモデル変更による)
・その他、税金関係等で▲8%ポイント
なお、2025年に予想される影響として、(1)少なくとも+20%ポイントの営業資本創出(税引き後)、(2)想定されているSanlam7(ジョイントベンチャーの持分増加)とSconset Re8の取引からのネットの影響は重要でない、(3)発表済みの20億ユーロの自社株買いにより▲4%ポイント、が挙げられている。
(1)SCR比率の推移
2024年末のSCR比率は、2023年末の206%から3%ポイント上昇して、209%となった。なお、TMTP(技術的準備金の移行措置)の適用は、2024年末のSCR比率に影響を与えていない。
この要因については、以下の通りとなっている。
・営業利益による資本形成とビジネス進展による影響が+29%ポイント(税引き後で+20%ポイント、税及び配当控除後で+7%ポイント)
・市場の影響は▲7%ポイント(税引き後で▲5%ポイント、株式市場は好調だったが、国債のスプレッドの拡大、金利の地域別の多様でパラレルでない変化、不動産価格のネガティブな再評価によりマイナス)
・経営行動及び資本管理の影響は▲15%ポイント(配当支払見込59億ユーロ、2024年に発表/完了した自社株買い15億ユーロのマイナスの影響は、((3)トピックで述べる)米国におけるAGCS取引と劣後債取引(+6億ユーロ)のプラスの影響で一部相殺された)
・規制/モデル変更による影響は、+3%ポイント(いくつかのモデル変更による)
・その他、税金関係等で▲8%ポイント
なお、2025年に予想される影響として、(1)少なくとも+20%ポイントの営業資本創出(税引き後)、(2)想定されているSanlam7(ジョイントベンチャーの持分増加)とSconset Re8の取引からのネットの影響は重要でない、(3)発表済みの20億ユーロの自社株買いにより▲4%ポイント、が挙げられている。
また、自己資本とSCRへの影響は、以下の図表の通りとなっている。
自己資本は、着実な営業利益の積み上げによる影響が過去最高の151億ユーロ(損害保険が84億ユーロ、生命保険が52億ユーロ、資産管理が30億ユーロ)となったことから、配当支払や自社株買いでのマイナスの影響があったものの、36億ユーロ増加した(なお、2023年は、過去に帳簿価額から控除されていた事業体を含めた影響もあって117億ユーロと大きく増加していた)。
一方で、SCRは、同じく2023年の特殊要因(これまでモデル化されていなかった一部のマイナーな非EEA(欧州経済領域)保険会社に対する、為替リスクを含む資本要件の追加による30億ユーロの影響により、規制/モデル変更による影響が29億ユーロと大きくなっていた)がなくなったこともあり、12億ユーロの増加となった。
自己資本は、着実な営業利益の積み上げによる影響が過去最高の151億ユーロ(損害保険が84億ユーロ、生命保険が52億ユーロ、資産管理が30億ユーロ)となったことから、配当支払や自社株買いでのマイナスの影響があったものの、36億ユーロ増加した(なお、2023年は、過去に帳簿価額から控除されていた事業体を含めた影響もあって117億ユーロと大きく増加していた)。
一方で、SCRは、同じく2023年の特殊要因(これまでモデル化されていなかった一部のマイナーな非EEA(欧州経済領域)保険会社に対する、為替リスクを含む資本要件の追加による30億ユーロの影響により、規制/モデル変更による影響が29億ユーロと大きくなっていた)がなくなったこともあり、12億ユーロの増加となった。
7 Sanlamはアフリカ最大のノンバンク金融サービスプロバイダーで、Allianzは2023年9月に、アフリカの27カ国に拠点を置く汎アフリカの大手ノンバンク金融サービス会社であるSanlamAllianzを、Sanlamとの合弁会社として設立している。
8 Sconset Reはバミューダに拠点を置く独立した戦略的再保険プラットフォームで、固定インデックス年金商品のリスクを引き受けることに特化している。
(2) 感応度の推移
全体として、感応度は若干低下したが、大きくは変化していない。
国債に対する信用スプレッドによる感応度は、2020年末が高かったのに対して、2021年末、2022年末と低下、2023年末は2022年末から横ばいとなっていたが、2024年末は1%ポイント低下した。また、株式の感応度は、2022年末まで低下傾向にあった中、2023年末に若干上昇したが、2024年末には再び若干低下している。
なお、統合ストレスシナリオによる場合の感応度は、個々の感応度の合計に比べて、クロス効果により追加の▲3%ポイント(2023年末▲2%ポイント、2022年末▲1%ポイント、2021年末▲8%ポイント)の影響があるとしている。この結果、金利▲50bps、信用スプレッド+50bps、株式市場▲30%のシナリオでは、▲23%ポイントの影響がある。
全体として、感応度は若干低下したが、大きくは変化していない。
国債に対する信用スプレッドによる感応度は、2020年末が高かったのに対して、2021年末、2022年末と低下、2023年末は2022年末から横ばいとなっていたが、2024年末は1%ポイント低下した。また、株式の感応度は、2022年末まで低下傾向にあった中、2023年末に若干上昇したが、2024年末には再び若干低下している。
なお、統合ストレスシナリオによる場合の感応度は、個々の感応度の合計に比べて、クロス効果により追加の▲3%ポイント(2023年末▲2%ポイント、2022年末▲1%ポイント、2021年末▲8%ポイント)の影響があるとしている。この結果、金利▲50bps、信用スプレッド+50bps、株式市場▲30%のシナリオでは、▲23%ポイントの影響がある。
(3) トピック
Allianzの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年2月22日に、Allianz SEは、最大10億ユーロ規模の自社株買いプログラムと配当政策の修正を発表した。さらに、2024年8月7日に、Allianz SEは、2024年の自社株買いの総額を15億ユーロに拡大することを決定した、と発表した。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2024年2月22日に、AlTi Tiedemann Globalが、Allianz X と Constellation Wealth Capital からの最大4億5,000万ドルの戦略的投資を歓迎する、と発表した。
2024年3月1日に、Allianz SpAによる2億8,000万ユーロの対価でのAssicurazioni Generali S.p.A.からのTua Assicurazioni S.p.A.の買収が完了した、と発表した。これにより、イタリアの魅力的な損害保険部門で市場シェアが約1%ポイント増加する。また、Tua Assicurazioni S.p.A.の約500の代理店による販売能力の大幅な強化が図られる、としている。なお、この取引は、2023年10月12日に契約の締結が公表されていた。
2024年4月5日に、Allianz Global Corporate & Specialty SE(AGCS)が、Fireman's Fund子会社を通じて引き受けている米国 MidCorp及びEntertainment保険事業を、事業のフランチャイズ価値を反映した4億5,000万ドルの現金支払いで、Arch Capital Group Ltd.(Arch)の一部門である Arch Insurance North America に売却する契約を締結した、と発表した。この取引にはAllianzのリスク移転が含まれており、Archは事業に関連する約20億ドルの損失準備金を引き受ける。Archからの現金支払いと、事業を支援するAllianzの推定10億ドルの資本を合わせると、Allianz Groupの取引総額は14億ドルになると予想されている。なお、売却対象となる事業は、Fireman's Fund保険会社とその子会社、すなわちAmerican Automobile Insurance Company、Chicago Insurance Company、Interstate Fire & Casualty Company及びNational Surety Corporationによって引き受けられており、2023年の総保険料収入は合計17億ドルに上る。この取引は、2024年8月2日に、売却及び譲渡が完了したことが発表された。
2024年4月18日に、アラブ首長国連邦に拠点を置き、アブダビ証券取引所に上場している多角的地域保険会社Abu Dhabi National Insurance Company(ADNIC)へのAllianz Saudi Fransiの株式51%の売却が完了したと発表した。この取引は、中東での事業を合理化するAllianz Groupの事業戦略の一環と述べている。
2024年4月18日に、大手アクティブ投資運用会社のAllianz Global Investors(Allianz GI)は、中国証券監督管理委員会(CSRC)から、中国本土で外資100%の公募ファンド運用会社(FMC)として運営するための認可を取得したと発表した。この認可は、Allianz GIの中国本土市場への取り組みと、国内投資家に同社のグローバルな投資専門知識へのアクセスを提供する姿勢を強調するもの、と述べている。
2024年7月17日に、シンガポールの大手保険会社Income Insurance Limitedの少なくとも51%を取得する計画を発表した。急成長中のシンガポール保険市場での買収により、Allianzはアジアで9位から4位の総合保険会社に躍進することになる、としていた。ただし、この取引については、シンガポール政府による反対の意見表明等を受けて、2024年12月16日に、事前条件付きのオファーを撤回するとの声明を発表している。
2024年8月1日に、6億ユーロの劣後債の償還を要求すると発表した。
2024年9月3日に、12億5000万ドルの劣後債発行を完了したと発表した。この債券の満期日は2054年9月で、2034年3月から最初のリセット日である2034年9月3日まで、及びその後5年ごとに発行者の裁量で償還可能となる。クーポンは最初の10年間は年5.60%に固定され、最初のリセット日及びその後5年ごとにリセットされる。
2024年10月29日に、スイスの総合保険会社Baloiseは、傘下の損害保険会社Friday Insuranceのドイツとフランスのポートフォリオを(Allianz Groupの欧州全域のオンライン保険会社部門である)Allianz Directに売却する、と発表した。
2024年11月5日に、Allianz Directが、ルクセンブルグに拠点を置く保険会社iptiQの欧州損害保険事業をSwiss Reから買収する、と発表した。この取引は規制当局の承認等を経て、2025年第2又は第3四半期に完了する予定である、としている。
2024年12月9日に、配当方針を改正し、より広範な資本管理方針に変更することを決定した、と発表した。その内容は、(1)定期配当金は、事業統合による無形資産の償却、RT1(制限付きTier1)債の利息費用、事業売却による損益、営業外の市場動向等の特別項目及び変動項目を調整したAllianz Group純利益(株主帰属分)の60%に維持される。(2)魅力的な配当政策のため、少なくとも前年の額の1株当たり配当金を支払うというさらなる目標が維持される。(3)さらに、2025年から2027年にかけて、上記で定義したAllianz Group純利益(株主帰属分)の平均最低15%を株主に追加還元する(例:自社株買いを通じて)、となっている。
2024年12月10日に「Capital Markets Day」を開催し、中期的な戦略と目標を説明しているが、この中で、バミューダに拠点を置く独立した戦略的再保険プラットフォームとしてSconset Reを設立することを明らかにしている。また、併せて、米国子会社のAllianz Lifeが40億ドルの固定インデックス年金をSconset Reに出再するとしている。
2024年12月31日に、Allianz Australiaは子会社のHunter Premium FundingをPE(プライベートエクイティ)会社のPemba Capital Partnersに売却する、と発表した。この取引は2025年4月に完了予定としている。
なお、2025年に入ってからも、以下の資本取引等が公表されている。
2025年2月27日に、Allianz SEは、最大20億ユーロ規模の自社株買いプログラムを発表した。このプログラムは2025年3月に開始され、遅くとも2025年12月末までに完了する。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2025年3月17日に、インドの損害保険・生命保険合弁事業の26%の株式をBajaj Groupに総額約26億ユーロで売却する、と発表した。これによるIFRSベースの予想利益は約13億ユーロで、ソルベンシーIIへの影響は6~7%ポイントのプラス、としている。
2025年3月19日に、Allianz、BlackRock、T&D HoldingsがViridium Group9に投資し、GeneraliとHannover Reはそのまま投資を続け、コンソーシアムに参加する、Cinvenは10年以上の投資期間を経て撤退する、と発表された。取引額は約35億ユーロで、所有権はコンソーシアムのメンバーと金融投資家に分配され、T&D Holdingsが最大のシェアを取得する10。なお、取引は、関係規制当局の承認等を経て、2025年後半に完了する予定としている。また、このコンソーシアムは、他の長期金融投資家の参加も可能な構造になっている。
9 Viridium Groupは、ドイツのクローズドブック生命保険統合会社で、英国のPE会社Cinven、ドイツの再保険会社Hannover Re、イタリアの保険会社Generaliの合弁会社である。運用資産は670億ユーロ、340万人の保険契約者にサービスを提供している。ドイツの保険監督官庁であるBaFinは、2023年にイタリアでCinven所有のEurovitaが破綻したことを受けて、Viridium Group が問題を抱えた場合にCinvenが支援しないのではないかとの懸念から、2024年にViridium GroupによるドイツのZurich Life Legacyの買収を認めなかった。
10 T&D Holdingsは、2025年3月21日に、子会社のT&D United Capital(TDUC)のViridium Groupへの出資についてプレス発表をして、本取引完了により、TDUCはコンソーシアム投資家の中で最大となる 29.9%の持分を取得し、ViridiumがT&D Groupの持分法適用関連会社となる、ことを公表している。
Allianzの2024年における主な資本取引等とその概要は、以下の通りであった。
2024年2月22日に、Allianz SEは、最大10億ユーロ規模の自社株買いプログラムと配当政策の修正を発表した。さらに、2024年8月7日に、Allianz SEは、2024年の自社株買いの総額を15億ユーロに拡大することを決定した、と発表した。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2024年2月22日に、AlTi Tiedemann Globalが、Allianz X と Constellation Wealth Capital からの最大4億5,000万ドルの戦略的投資を歓迎する、と発表した。
2024年3月1日に、Allianz SpAによる2億8,000万ユーロの対価でのAssicurazioni Generali S.p.A.からのTua Assicurazioni S.p.A.の買収が完了した、と発表した。これにより、イタリアの魅力的な損害保険部門で市場シェアが約1%ポイント増加する。また、Tua Assicurazioni S.p.A.の約500の代理店による販売能力の大幅な強化が図られる、としている。なお、この取引は、2023年10月12日に契約の締結が公表されていた。
2024年4月5日に、Allianz Global Corporate & Specialty SE(AGCS)が、Fireman's Fund子会社を通じて引き受けている米国 MidCorp及びEntertainment保険事業を、事業のフランチャイズ価値を反映した4億5,000万ドルの現金支払いで、Arch Capital Group Ltd.(Arch)の一部門である Arch Insurance North America に売却する契約を締結した、と発表した。この取引にはAllianzのリスク移転が含まれており、Archは事業に関連する約20億ドルの損失準備金を引き受ける。Archからの現金支払いと、事業を支援するAllianzの推定10億ドルの資本を合わせると、Allianz Groupの取引総額は14億ドルになると予想されている。なお、売却対象となる事業は、Fireman's Fund保険会社とその子会社、すなわちAmerican Automobile Insurance Company、Chicago Insurance Company、Interstate Fire & Casualty Company及びNational Surety Corporationによって引き受けられており、2023年の総保険料収入は合計17億ドルに上る。この取引は、2024年8月2日に、売却及び譲渡が完了したことが発表された。
2024年4月18日に、アラブ首長国連邦に拠点を置き、アブダビ証券取引所に上場している多角的地域保険会社Abu Dhabi National Insurance Company(ADNIC)へのAllianz Saudi Fransiの株式51%の売却が完了したと発表した。この取引は、中東での事業を合理化するAllianz Groupの事業戦略の一環と述べている。
2024年4月18日に、大手アクティブ投資運用会社のAllianz Global Investors(Allianz GI)は、中国証券監督管理委員会(CSRC)から、中国本土で外資100%の公募ファンド運用会社(FMC)として運営するための認可を取得したと発表した。この認可は、Allianz GIの中国本土市場への取り組みと、国内投資家に同社のグローバルな投資専門知識へのアクセスを提供する姿勢を強調するもの、と述べている。
2024年7月17日に、シンガポールの大手保険会社Income Insurance Limitedの少なくとも51%を取得する計画を発表した。急成長中のシンガポール保険市場での買収により、Allianzはアジアで9位から4位の総合保険会社に躍進することになる、としていた。ただし、この取引については、シンガポール政府による反対の意見表明等を受けて、2024年12月16日に、事前条件付きのオファーを撤回するとの声明を発表している。
2024年8月1日に、6億ユーロの劣後債の償還を要求すると発表した。
2024年9月3日に、12億5000万ドルの劣後債発行を完了したと発表した。この債券の満期日は2054年9月で、2034年3月から最初のリセット日である2034年9月3日まで、及びその後5年ごとに発行者の裁量で償還可能となる。クーポンは最初の10年間は年5.60%に固定され、最初のリセット日及びその後5年ごとにリセットされる。
2024年10月29日に、スイスの総合保険会社Baloiseは、傘下の損害保険会社Friday Insuranceのドイツとフランスのポートフォリオを(Allianz Groupの欧州全域のオンライン保険会社部門である)Allianz Directに売却する、と発表した。
2024年11月5日に、Allianz Directが、ルクセンブルグに拠点を置く保険会社iptiQの欧州損害保険事業をSwiss Reから買収する、と発表した。この取引は規制当局の承認等を経て、2025年第2又は第3四半期に完了する予定である、としている。
2024年12月9日に、配当方針を改正し、より広範な資本管理方針に変更することを決定した、と発表した。その内容は、(1)定期配当金は、事業統合による無形資産の償却、RT1(制限付きTier1)債の利息費用、事業売却による損益、営業外の市場動向等の特別項目及び変動項目を調整したAllianz Group純利益(株主帰属分)の60%に維持される。(2)魅力的な配当政策のため、少なくとも前年の額の1株当たり配当金を支払うというさらなる目標が維持される。(3)さらに、2025年から2027年にかけて、上記で定義したAllianz Group純利益(株主帰属分)の平均最低15%を株主に追加還元する(例:自社株買いを通じて)、となっている。
2024年12月10日に「Capital Markets Day」を開催し、中期的な戦略と目標を説明しているが、この中で、バミューダに拠点を置く独立した戦略的再保険プラットフォームとしてSconset Reを設立することを明らかにしている。また、併せて、米国子会社のAllianz Lifeが40億ドルの固定インデックス年金をSconset Reに出再するとしている。
2024年12月31日に、Allianz Australiaは子会社のHunter Premium FundingをPE(プライベートエクイティ)会社のPemba Capital Partnersに売却する、と発表した。この取引は2025年4月に完了予定としている。
なお、2025年に入ってからも、以下の資本取引等が公表されている。
2025年2月27日に、Allianz SEは、最大20億ユーロ規模の自社株買いプログラムを発表した。このプログラムは2025年3月に開始され、遅くとも2025年12月末までに完了する。Allianz SEは買い戻した株式を全て消却する。
2025年3月17日に、インドの損害保険・生命保険合弁事業の26%の株式をBajaj Groupに総額約26億ユーロで売却する、と発表した。これによるIFRSベースの予想利益は約13億ユーロで、ソルベンシーIIへの影響は6~7%ポイントのプラス、としている。
2025年3月19日に、Allianz、BlackRock、T&D HoldingsがViridium Group9に投資し、GeneraliとHannover Reはそのまま投資を続け、コンソーシアムに参加する、Cinvenは10年以上の投資期間を経て撤退する、と発表された。取引額は約35億ユーロで、所有権はコンソーシアムのメンバーと金融投資家に分配され、T&D Holdingsが最大のシェアを取得する10。なお、取引は、関係規制当局の承認等を経て、2025年後半に完了する予定としている。また、このコンソーシアムは、他の長期金融投資家の参加も可能な構造になっている。
9 Viridium Groupは、ドイツのクローズドブック生命保険統合会社で、英国のPE会社Cinven、ドイツの再保険会社Hannover Re、イタリアの保険会社Generaliの合弁会社である。運用資産は670億ユーロ、340万人の保険契約者にサービスを提供している。ドイツの保険監督官庁であるBaFinは、2023年にイタリアでCinven所有のEurovitaが破綻したことを受けて、Viridium Group が問題を抱えた場合にCinvenが支援しないのではないかとの懸念から、2024年にViridium GroupによるドイツのZurich Life Legacyの買収を認めなかった。
10 T&D Holdingsは、2025年3月21日に、子会社のT&D United Capital(TDUC)のViridium Groupへの出資についてプレス発表をして、本取引完了により、TDUCはコンソーシアム投資家の中で最大となる 29.9%の持分を取得し、ViridiumがT&D Groupの持分法適用関連会社となる、ことを公表している。
(2025年04月01日「基礎研レポート」)
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中村 亮一のレポート
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2025/04/01 | 欧州大手保険グループの2024年末SCR比率等の状況-ソルベンシーII等に基づく数値結果報告と資本管理等に関係するトピック- | 中村 亮一 | 基礎研レポート |
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