2025年03月05日

ユーロ圏失業率(2025年1月)-失業率は6.2%、若年失業率も低下基調

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.2%と低位で推移

3月4日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2025年1月、季節調整値)】
失業率は6.2%、市場予想1(6.3%)から下振れ、前月(6.2%)と同じだった(図表1・2)
失業者は1065.5万人となり、前月(1069.7万人)から4.2万人減少した

(図表1)ユーロ圏失業率/(図表2)ユーロ圏失業率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率も14.1%まで低下

ユーロ圏(20か国)の1月の失業率は6.2%となった。24年12月以前の過去データが若干改善方向に更新され(12月6.3→6.2%、10月6.3→6.2%(11月変わらず6.2%))、結果として10月に統計データ公表以来の最低値(6.2%)を記録した後、4か月連続で横ばい推移となった。

失業者数は1月の前月差で4.2万人減だった。6月から11月まで6か月連続で失業者数が減少した後、12月は増加に転じたが再び減少している。主要4か国で見るとフランス(1.9万人)、ドイツ(0.9万人)が増加、スペイン(▲3.7万人)、イタリア(▲0.9万人)が減少した。スペインは12か月連続での低下となる。失業者数はコロナ禍前より108万人少なく、スペイン(コロナ禍前比▲75万人)が大きく、イタリア(同▲26万人)も減少に寄与している(図表3)。

1月の若年失業率は14.1%となり、12月(14.2%)から若干低下した。また、過去データが大幅に改善方向に修正され(12月:14.8→14.2%、11月:14.9→14.4%、10月:14.9→14.5%、9月14.8→14.7%など)、水準が低下方向に修正されたほか、横ばい圏の動きから緩やかな低下基調に修正されている。若年失業者数は12月で226.3万人(前月差+0.3万人)と増加したが、若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の234.0万人)を下回っている(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の11月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が9か国、横ばいが6か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が6か国、改善が10か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者と非労働力人口が減少し就業者が増加した(図表7)。ポルトガルは失業者が減少する一方、就業者と非労働力人口が増加する形となっている(図表8)。労働参加率はイタリアとポルトガルでともに上昇、特にイタリアは非労働力人口の減少幅が大きく労働参加率が急上昇した。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年03月05日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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