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- 消費者物価(全国23年9月)-コアCPI上昇率は23年度末頃まで2%台で推移する見込み
2023年10月20日
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1.コアCPI上昇率は22年8月以来の3%割れ
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(8月:前年比7.5%→9月:同8.7%)、灯油(8月:前年比3.2%→9月:同7.5%)の上昇率は高まったが、電気代(8月:前年比▲20.9%→9月:同▲24.6%)、ガス代(8月:前年比▲9.5%→9月:同▲12.5%)の下落率が拡大したことから、エネルギー価格の下落率は8月の前年比▲9.8%から同▲11.7%へと拡大した。ガソリン、灯油は9月から燃料油価格激変緩和措置の補助率が引き上げられているが、調査日の中旬時点では8月よりも価格が上昇していた。

サービスは前年比2.0%(8月:同2.0%)となり、上昇率は前月と変らなかった。外食の伸びは鈍化(8月:前年比5.3%→9月:同5.3%)したが、鉄道運賃(JR)(8月:前年比1.1%→9月:同1.7%)、タクシー代(8月:前年比7.5%→9月:同7.9%)、ゴルフプレー料金(8月:前年比0.6%→9月:同3.6%)、ウェブコンテンツ利用料(8月:前年比3.1%→9月:同5.2%)などが伸びを高めた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.04%(8月:▲0.88%)、食料(除く生鮮食品・外食)が1.86%(8月:1.91%)、その他財が0.99%(8月:1.06%)、サービスが1.00%(8月:1.01%)であった。
2.物価上昇品目の割合は9割に近づく
3.コアCPI上昇率は23年度末頃まで2%台の推移が続く見込み
ガソリン、灯油等に対する燃料油価格激変緩和措置の補助率は6月以降、段階的に引き下げられ、9月末には終了する予定となっていたが、円安、原油高の再進行を受けて、政府は同措置の延長を決定した。ガソリン店頭価格は9/4には1リットル当たり186.5円(全国平均、レギュラー)と過去最高値を更新したが、補助率の見直しにより10/16には174.7円まで下落した。
また、23年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月(9月使用分)に値引き額が半減されることが決まっていたが、これも年末まで延長された。
また、23年2月から実施されている電気・都市ガス代の激変緩和措置は、10月(9月使用分)に値引き額が半減されることが決まっていたが、これも年末まで延長された。

エネルギー価格は、電気・都市ガス代の値引き額が半減される10月に下落率が縮小した後、24年1月まで下落率が拡大するが、2月には前年同月に開始された電気・都市ガス代の激変緩和措置による押し下げが一巡することから、下落率が大きく縮小することが見込まれる。
また、サービス価格は前年比2.0%と、23年のベースアップと同程度の伸びとなったが、長期にわたって価格が据え置かれてきたこともあり、上昇率がさらに高まる可能性が高い。一方、足もとの物価上昇の中心となっている食料(生鮮食品を除く)は、価格転嫁の動きは続いているものの、前年の高い伸びの反動で上昇率の鈍化傾向が続くだろう。コアCPI上昇率は23年度末頃まで2%台で推移することが予想される。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2023年10月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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