2020年に公表されていた厚労省の試算が年金ツイートの契機に－「年金」を含むツイートの投稿契機（2022年9月下旬～10月）

保険研究部主席研究員・年金総合リサーチセンター公的年金調査部長兼任中嶋邦夫

1 ―― 本稿の問題意識と分析対象：年金ツイートは、何を契機に投稿されたか？

ツイートとは、Twitterに投稿されるメッセージ（発言）である。文字数が、基本的に全角で140文字（半角で280文字）までと制限されており、「つぶやき」とも呼ばれる。近年はマスコミの報道や国会審議などでも取り上げられているが、ツイートには、熟考の上で投稿されたもの、反射的に投稿されたもの、宣伝や広報、プログラムによって投稿されたものなど、様々なものが混在している。

本稿では、「年金」を含むツイート（以下、年金ツイート）が何を契機に投稿されたかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2022年9月下旬～10月に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり（図表1）、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えるだろう。

以下では、投稿状況の指標として、ツイート数（発言数）、投稿者数、いいね数、リツイート数を確認する。ツイート数は、前述のとおり単純なリツイート等を含んでいない点に注意が必要である。投稿者数は、ユーザー名を集計区分ごとに名寄せした件数であり、同一の集計区分で同一のユーザーが複数のツイートを投稿していても１名と数えている。いいね数とリツイート数は、データ取得時点の値を集計している。ツイートによって投稿時点からデータ取得時点までの間隔が異なるため、ツイートへの関心を大雑把に示す指標として参照している。

2 ―― 投稿契機

2 ―― 投稿契機：ニュースサイトを参照するツイートは変動大。他のツイートも連動する傾向

投稿契機を図表2の５種類におおまかに区分し、投稿日ごとの状況を確認したのが図表3である。以下では、区分ごとに詳細を確認する。

1｜返信ツイート：ネット記事の告知や意見のツイートが多くの返信を集めたが、返信対象は分散
「a: 返信tweet」は、既存のツイートを契機として投稿されたツイートのうち、既存ツイートの投稿者に対するメッセージである¹。図表3を見ると、ツイート数と投稿者数はいずれの日も「e: 単独発信」に次いで多くなっている。全体のツイート数が多い日の大半でこの区分のツイート数や投稿者数も多くなっている（10月21日はそれほど多くない）。いいね数やリツイート数は、全体のいいね数やリツイート数よりも、全体のツイート数や投稿者数の多さと連動する傾向が見られる²。

図表4の上段は、年金ツイートから寄せられた返信数が投稿日別に見て多かった、返信対象のツイートである。最多の返信を集めたのは9月28日に投稿された日本経済新聞の電子版の内容を伝えるツイートで、２番目は10月11日に投稿されたマネーポストWEBの内容を伝えるツイートであった。ただし、返信ツイートの総数は9月28日が4020件、10月11日が3163件であり、これらのツイートが返信ツイートの大部分を占めたわけではない。返信ツイートの対象は分散していることがうかがわれる。

図表4の下段は、リツイートが多かった返信ツイートの返信対象である。返信数（ツイート数）が少ない返信対象に対する返信ツイートにも、多くのいいねやリツイートが集まっていた。ただし、返信数が少ない返信対象ツイートの内容には「年金」が含まれていなかった。

図表4　返信されたツイート（返信したツイートの投稿日ごとのツイート数やいいね数の上位５件）

¹ 既存ツイートの投稿者には返信があったことが通知され、既存ツイートの投稿者と返信ツイートの投稿者の両方をフォローしているユーザーのホーム画面（タイムライン）に表示される。
² いいね数やリツイート数は「e: 単独発信」以外の区分と大差ない水準で推移しており、平均的な注目度合といえる。

2｜引用リツイート：ネット記事への意見のツイートが多くの引用を集め、引用対象は割と集中
「b: 引用retweet」は、既存のツイートを契機として投稿されたツイートのうち、既存のツイートに自身のコメントを追加して再発信されるもの（いわゆる引用リツイート）である³。図表3を見ると、ツイート数と投稿者数は「a: 返信tweet」と同様に全体のツイート数が多い日の大半で多くなっている（10月15日と10月21日は多くない）。いいね数やリツイート数は、9月28日の投稿に多いのは他の区分と同様だが、他の日は傾向が異なっている⁴。

図表5の上段は、年金ツイートから引用された数が投稿日別に見て多かった、引用対象のツイートである。多く引用されたツイートは、多くの返信を集めたツイート(図表4上段)と共通していた。しかし、引用が多かった上位２件は、各日の引用リツイートの41％と30％を占めており、引用リツイートは返信ツイートと比べて対象が集中する傾向が見られた。

図表5の下段は、リツイートが多かった引用リツイートの引用対象である。返信ツイートと同様に、引用数（ツイート数）が少ない引用対象に対する引用リツイートにも、多くのいいねやリツイートが集まっていた。ただし、9月24日に投稿された引用対象ツイートの内容には「年金」が含まれていなかった。

図表5　引用されたツイート（引用したリツイートの投稿日ごとのツイート数やいいね数の上位５件）

³ 既存ツイートの投稿者にはリツイートがあったことが通知され、引用リツイートの投稿者をフォローしているユーザーのホーム画面に表示される。
⁴ 特に、いいね数は9月24日の投稿で、リツイート数は9月24日と10月28日の投稿で多く、これらの日の１ツイートあたりのいいね数やリツイート数も多い。

3｜リンクを含むツイート：年金改革案に関する記事へのリンクを含むツイートが多数
「c: 参照_News等」は、前述の区分以外のツイートのうち、新聞やニュースのサイトへのリンクを含むツイートである。ニュースサイト等に掲載されている記事を見て、記事の脇にあるアイコンから投稿した場合などが想定される。「d: 参照_News外」は他のサイトへのリンクを含むツイートである。

図表3を見ると、「c: 参照_News等」のツイート数と投稿者数は全体のツイート数が多い日（10月21日以外）で多く、他の区分より投稿日ごとの変動（変動係数）が大きい。いいね数やリツイート数も全体のツイート数に連動しているが、10月11日の投稿に対するいいね数とリツイート数が突出して多い。「d: 参照_News外」は、全体のツイート数が多い日にツイート数と投稿者数が多い傾向もあるが、他の区分より変動が小さい。いいね数やリツイート数は10月17日に突出して多い。

図表6の上段は、「c: 参照_News等」と「d: 参照_News外」に区分されたツイートからの参照数（ツイート数）が投稿日別に見て多かったWebページである。最も多く参照されたのは、9月28日に掲載された日本経済新聞の電子版の記事、２番目は10月11日にYahoo!ニュースへ転載されたマネーポストWEBの記事、３番目は10月15日にYahoo!ニュースへ転載された共同通信の記事であった。

図表6の下段は、リツイートが多かったツイートに参照されたWebページである。参照数が多かったリンク先のリツイート数が多かったが、２番目に多いものは参照数が少ないリンク先だった。

図表6　参照されたリンク先（参照したツイートの投稿日ごとのツイート数やリツイート数の上位5件）

4｜単独で発信されたツイート：投稿契機は不明だが、他の投稿契機と概ね連動
「e: 単独発信」は、前述の区分以外のツイートであり、投稿形態やリンクからは投稿契機を推測できない⁵。図表3を見ると、いずれの指標においても、おおむねどの日もこの区分が最も多い。ツイート数や投稿者数は他の区分と連動する傾向があるが、10月21日は他の区分より突出して多い。いいね数やリツイート数は他の区分のツイート数とある程度連動していたが、連動していない日もあった。

⁵ この区分の投稿契機を掴むためには投稿内容のテキスト分析が必要だが、今後の課題としたい。

日付	タイトル	執筆者	媒体
2025/04/08	基礎年金の底上げ策に伴って厚生年金の補てんを求めるのは妥当か～年金改革ウォッチ 2025年４月号	中嶋邦夫	保険・年金フォーカス
2025/04/07	ＳＮＳ時代の年金改革－法案提出を巡る議論の本質は…	中嶋邦夫	研究員の眼
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日付

タイトル

執筆者

媒体

2025/04/08

基礎年金の底上げ策に伴って厚生年金の補てんを求めるのは妥当か～年金改革ウォッチ 2025年４月号

中嶋邦夫

保険・年金フォーカス

2025/04/07

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中嶋邦夫

研究員の眼