2022年10月03日

ユーロ圏失業率(2022年8月)-2か月連続で6.6%

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:6%台半ばの低水準で横ばい推移

9月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏19か国失業率(2022年8月、季節調整値)】
失業率は6.6%、市場予想1(6.6%)と同じで、前月(6.6%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1096.6万人となり、前月(1099.6万人)から3.0万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:失業者数の減少は続くが、減少幅が小幅に

ユーロ圏の22年8月の失業率は6.6%で、前月(6.6%)から横ばいで、7月に続き統計データ公表以来の最低値での推移となった。また、今回公表された7月以前の失業率はほとんど改定されなかった。

失業者数は7月の前月差で3.0万人減となりわずかに減少、時系列でみると減少幅は小さくなっている(図表3・4)。主要国ではドイツ(+0.0万人)が横ばい、フランス(▲4.5万人)、イタリア(▲3.1万人)、スペイン(▲1.0万人)が減少だった。

8月の若年失業率は13.9%で7月(14.0%)から低下した(図表2)。なお、7月以前の数値は改善方向に改定されている(7月14.2→14.0%、6月:14.4→14.3%、5月14.0→13.9%、)。若年失業者数は8月で213.6万人(前月差▲1.7万人)となり、前月から減少している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(19か国)の累積失業者数変化
国別の8月のデータを見ると、失業率はデータが公表されている19か国中、悪化した国が6か国、改善が6か国、横ばいが7か国だった(図表5)。また、若年失業率ではデータが公表されている16か国中、悪化した国が10か国、改善した国が6か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアでは失業者が減少する一方、非労働力人口も増加したため、就業者は減少している(図表7)。イタリアでは2か月連続での就業者数が減少しており、労働参加率も65.2%減少傾向にあり、雇用の改善傾向に足踏み感が見られる。

一方、ポルトガルでは失業率は減少したものの、非労働力人口が減少、就業者数は増加している。労働参加率は67.9%とコロナ禍前と比較してもかなり高い水準まで上昇していることから、雇用の堅調さが示唆される結果となった(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2002年 東京工業大学入学(理学部)
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2022年10月03日「経済・金融フラッシュ」)

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