2022年09月09日

わが国の不動産投資市場規模(2022年)~「収益不動産」の資産規模は約275.5兆円(前回比+3.2兆円)。前回調査から「オフィス」・「賃貸住宅」・「物流施設」が拡大する一方、「商業施設」・「ホテル」は縮小

金融研究部 主任研究員 吉田 資

株式会社価値総合研究所 不動産投資調査事業部 事業部長 主任研究員 室 剛朗

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【参考資料】用途別にみた「収益不動産ストック」の詳細

(1) オフィス
オフィスの「収益不動産(103.9兆円)」をエリア別にみると、「東京都」が約59.3兆円(前回比+1%)と最も大きく、次いで「大阪府」が約10.1兆円(同+8%)、「神奈川県」が約5.7兆円(同+13%)、「愛知県」が約4.4兆円(同+1%)、「福岡県」が約2.6兆円(同+12%)と推計された(参考図表-1)。「収益不動産」の57%が「東京都」に集積している。
参考図表-1 「収益不動産」の資産規模及び増減率(オフィス)
次に、オフィスの「投資適格不動産(72.9兆円)」をエリア別にみると、「東京23区」が約54.5兆円(前回比+1%)と最も大きく、次いで「大阪市」が約6.8兆円(同+6%)、「名古屋市」が約2.3兆円(同+5%)、「横浜市」が約2.2兆円(同+6%)、「福岡市」が約1.8兆円(同+16%)と推計された(参考図表-2)。再開発が活発な「福岡市」の資産規模が大きく増加した。一方、「東京23区」は、オフィス市況の悪化を受けて資産規模の拡大は限定的であった。
参考図表-2「投資適格不動産」の資産規模(オフィス、エリア別)
また、「コア投資不動産(56.1兆円)」をエリア別にみると、「東京23区」が約42.8兆円(前回比+2%)と最も大きく、次いで「大阪市」が約5.1兆円(同+7%)、「横浜市」が約1.7兆円(同+7%)、「名古屋市」が約1.5兆円(同+7%)、「福岡市」が約1.2兆円(同+18%)と推計された(参考図表-3)。
参考図表-3 「コア投資不動産」の資産規模(オフィス、エリア別)
(2) 賃貸住宅
賃貸住宅の「収益不動産(64.9 兆円)」をエリア別にみると、「東京都」が約29.8 兆円(前回比+11%)と最も大きく、次いで「大阪府」が約8.5兆円(同+9%)、「神奈川県」が約6.6 兆円(同+9%)、「愛知県」が約3.3兆円(同+12%)、「埼玉県」が約2.6 兆円(同+9%)、「福岡県」が約2.5 兆円(同+17%)と推計された(参考図表-4)。「収益不動産」の41%が「東京都」に集積している。
参考図表-4 「収益不動産」の資産規模及び増減率(賃貸住宅)
次に、賃貸住宅の「投資適格不動産(34.7兆円)」をエリア別にみると、「東京23区」が約20.0兆円(前回比+16%)と最も大きく、次いで「大阪市」が約3.6兆円(同+13%)、「横浜市」が約1.7兆円(同+12%)、「名古屋市」が約1.7兆円(同+10%)、「福岡市」が約1.6兆円(同+9%)と推計された(参考図表-5)。「投資適格不動産」の58%が「東京23区」に集積している。
参考図表-5 「投資適格不動産」の資産規模(賃貸住宅)
(3) 商業施設
商業施設の「収益不動産(62.2兆円)」をエリア別にみると、「関東地方」が約28.2兆円(前回比▲14%)と最も大きく、次いで「近畿地方」が約12.3 兆円(▲13%)、「中部地方」が約7.7 兆円(▲12%)、「北海道・東北地方」が約5.4 兆円(▲11%)、「九州・沖縄地方」が約5.2 兆円(▲11%)、「中国・四国地方」が約3.4兆円(▲10%)と推計された(参考図表-6)。「収益不動産」の45 %が「関東地方」に集積している。
参考図表-6 「収益不動産」の資産規模(商業施設)
次に、商業施設の「投資適格不動産(42.4兆円)」をエリア別にみると、「東京都」が約7.7 兆円(前回比▲20%)と最も大きく、次いで「神奈川県」が約4.1 兆円(同▲18%)、「大阪府」が約3.7 兆円(同▲16%)、「千葉県」が約3.2兆円(同▲17%)、「埼玉県」が約3.0兆円(同▲15%)「愛知県」が約2.8 兆円(同▲21%)と推計された(参考図表-7)。
参考図表-7 「投資適格不動産」の資産規模(商業施設)
(4) 物流施設
物流施設の「収益不動産(28.1兆円)」をエリア別にみると、「関東地方」が約14.3 兆円(前回比+23%)と最も大きく、次いで「近畿地方」が約5.9 兆円(同+14%)、「中部地方」が約3.2 兆円(同+13%)、「九州・沖縄地方」が約2.1兆円(同+9%)、「北海道・東北地方」が約1.6 兆円(同+12%)、「中国・四国地方」が約1.0兆円(同+10%)と推計された(参考図表-8)。「収益不動産」の51% が「関東地方」に集積している。
参考図表-8 「収益不動産」の資産規模(物流施設)
次に、物流施設の「投資適格不動産(14.7兆円)」を都道府県別にみると、「神奈川県」が約3.0 兆円(前回比+49%)と最も大きく、次いで「千葉県」が約2.1 兆円(同+35%)、「埼玉県」が約2.1 兆円(同+36%)、「東京都」が約1.5 兆円(同+21%)、「大阪府」が約1.3 兆円(同+30%)、「兵庫県」が約1.3 兆円(同+30%)と推計された(参考図表-9)。「投資適格不動産」の59%が「東京圏(1 都3 県)」に集積している。
参考図表-9 「投資適格不動産」の資産規模(物流施設)
(5) ホテル・旅館
ホテル・旅館の「収益不動産(9.4兆円)」をエリア別にみると、「関東地方」が約4.1 兆円(前回比▲25%)と最も大きく、次いで「近畿地方」が約1.9兆円(同▲29%)、「中部地方」が約1.1 兆円(同▲34%)、「北海道・東北地方」が約0.9兆円(同▲27%)、「沖縄・九州地方」が約0.9 兆円(同▲27%)、「中国・四国地方」が約0.4 兆円(同▲26%)と推計された(参考図表-10)。「収益不動産」の43%が「関東地方」に集積している。
参考図表-10 「収益不動産」の資産規模(ホテル・旅館)
次に、ホテル・旅館の「投資適格不動産(7.0兆円)」を都市別にみると、「東京23 区」が約3.2 兆円(前回比▲3%)と最も大きく、次いで「大阪市」が約1.0 兆円(同▲23%)、「京都市」が約0.4 兆円(同▲21%)、「名古屋市」が約0.2 兆円(同▲27%)、「横浜市」が約0.2 兆円(同▲21%)と推計された(参考図表-11)。「投資適格不動産」の46%が「東京23 区」に集積していることになる。

東京五輪開催を見据えてホテル建設が活発であった「東京23区」は、資産規模の減少が限定的となったが、地方主要都市は外国人観光客減少に伴う稼働率の低下等を受けて資産規模が大きく減少した。
参考図表-11 「投資適格不動産」の資産規模(ホテル・旅館)
 
 

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金融研究部

吉田 資 (よしだ たすく)

株式会社価値総合研究所 不動産投資調査事業部 事業部長 主任研究員 室 剛朗

(2022年09月09日「不動産投資レポート」)

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