2021年11月18日

自動運転は地域課題を解決するか(中)~群馬大学のオープンイノベーションの現場から

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

社会研究部 上席研究員 百嶋 徹

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■要旨

自動運転システムを社会実装するためには、街づくりとの連携が欠かせない。従って、新しくスマートシティを開発する際に、最初から自動運転システムを組み込む方が、最先端技術をうまく実践することができるとも考えられる。実際に、米中の巨大IT企業は、既にスマートシティ開発に参画している。国内でも、トヨタ自動車が静岡県裾野市に「ウーブン・シティ」を開発中である。このような動きと、群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センターは、一線を画している。副センター長の小木津武樹氏は、新規開発型のスマートシティよりも寧ろ、古くて伝統のある街に、その地域の良さを生かしつつ、必要とされる自動運転の技術を入れていくことが、自身の仕事だと語る。細谷精一・前橋市未来創造部参事兼交通政策課長も、同市では、既存の資源を生かしながら、暮らしやすい街を創っていく「リノベーションまちづくり」を進めていることから、全くの新規開発型ではなくても、自動運転システムの実装と親和性があると指摘する。また、自動運転システムを実用化する上で、最大の難関とも言える収益化に関しては、細谷氏は、バス路線の再編などで利便性を向上し、MaaSによって住民に知ってもらうきっかけを増やすなど、ありとあらゆる手段を講じて乗客確保に努める姿勢を明らかにした。

■目次

・自動運転と街づくりをどのように連携させるか。新規開発したスマートシティの方が、
 導入に適しているのか。
・自動運転サービスの収益性を上げるために、何が必要か。


<対談参加者>

小木津武樹氏 慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了。博士(学術)。群馬大学大学院理工学府准教授、同大学次世代モビリティ社会実装研究センター副センター長。株式会社日本モビリティ取締役会長。自動運転の実証実験や実車デモの経験が多数ある。

細谷精一氏 前橋市未来創造部参事兼交通政策課長。1987年採用。群馬県企画部交通政策課(出向)や市企画部企画調整課などを経て現職。上毛電鉄への上下分離方式やコミュニティバスの導入、JR前橋駅前広場整備、地域公共交通計画、自動運転バスの企画・導入など、市の交通政策全般を統括する。

百嶋徹 ニッセイ基礎研究所社会研究部上席研究員。専門は企業経営を中心に産業競争力、イノベーション、AI・IoT、スマートシティ、企業不動産・オフィス戦略、CSR・ESG経営等。AI・IoTの利活用分野としての自動運転にも強い関心を持つ。

坊美生子(モデレーター) ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員。ジェロントロジー推進室兼任。高齢者の視点で移動支援、交通政策を研究。
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社会研究部

百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)

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