新型コロナワクチン接種後の消費行動や働き方の予測-約半数が外出行動を再開、約7割がマスク着用等が習慣化 基礎研REPORT(冊子版)9月号[vol.294] | ニッセイ基礎研究所
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新型コロナワクチン接種後の消費行動や働き方の予測-約半数が外出行動を再開、約7割がマスク着用等が習慣化
基礎研REPORT(冊子版)9月号[vol.294]
生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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1―ワクチン接種後の予測
また、ワクチン接種済み証明の有無による差別や分断が生じることについては約半数がそう思うと回答しているが、現在はワクチン接種進行の過渡期であり、今後、大多数が接種済みとなった時点では意識が変容している可能性もある。
働き方では、出張が減りオンライン会議が増えることについては約半数が、出社が減りテレワークと併用した働き方が主流になることについては約4割が、そう思うと回答している。前者の方がそう思う割合は高いが、これは、出張を要する遠隔地との会議は通常業務よりテレワークの利点を活かしやすいためだろう。一方、通常業務では、医療や介護などテレワークが難しい業種もある上、テレワークが可能な業種であっても、現在のところ、出社とテレワークの最適なバランスを模索中の組織も少なくない。2020年は様々な組織でテレワーク環境の整備が進んだが、足元ではIT企業等でも社員同士の対面コミュニケーションによる協業から得られる価値を再認識することで、オフィス回帰の動きも見られる*1。
また、コロナ前のように勤め先で飲み会等が実施されることについては、そう思う割合は約3割にとどまる。やはり業種によらず、大なり小なり働き方が変わることで、上司や同僚との付き合い方も変わると考えているのだろう。
年代別には、20歳代、あるいは高齢層ほど、そう思う割合が高い傾向がある。これは、感染による重篤化リスクの高い高齢層ほど外出自粛傾向が強いために、外出行動再開への期待感が強い影響が考えられる。
また、若者は従来から他年代と比べて外出行動に積極的であるために期待感が強いのだろう。なお、職業別に見ると20歳代の多い学生では、全ての項目で、そう思う割合が全体を大幅に上回り、特に旅行やレジャーでは69.4%を占める(全体+24.3%pt)。
なお、各年代で性別に見ても、そう思う割合は、おおむね女性が男性を上回る。
ワクチン接種状況・意向別には、接種完了層や完了間近の層、接種に積極的な層で、そう思う割合が高く、外出行動再開への期待感が強い(図略)。一方、接種に消極的な層では、そう思う割合が低い。なお、接種に消極的な層は、感染による重篤化リスクの低い若い年代が多く、「絶対に接種したくない」と回答した層では、20~30歳代が過半数を占める。
2|生活様式・価値観等
生活様式・価値観等について性別に見ると、そう思う割合は、いずれも女性が男性を上回り、特にマスク着用や社会的距離の習慣化で高い[図表3]。
また、従来から、仕事と家庭の両立にあたり、女性の家事や育児の負担の大きさは各所で指摘されている。内閣府「令和2年版男女共同参画白書」によると、2016年の共働き世帯の家事・育児・介護時間は、夫は週平均39分だが、妻は258分であり、3時間半以上の差がある。
年代別には、20歳代でテレワーク併用が主流になることについて、高齢層ほど出張が減りオンライン会議が増えることについて、そう思う割合が高い傾向がある。また、50歳代を底に若い年代ほど、コロナ前のように勤め先で飲み会等が実施されると考えている。なお、高齢層では無職が多いため、自分自身のことではなく世間一般のことを想定して回答している可能性がある。
就業形態別には、正規雇用者の管理職以上で、テレワークを併用した働き方が主流になることや出張が減りオンライン会議が増えることなどについて、そう思う割合が高い[図表5]。
3―感染状況を見ながら需要喚起策を
コロナ禍は業種や雇用形態による経済状況の分断を生んでいる*3。くれぐれも感染状況を慎重に見ながらだが、現在停止されているGoToキャンペーンとの組合せなども検討し、消費を牽引する可能性の高い層などへ向けて需要喚起策が講じられることで、コロナ禍で苦境に立つ飲食業や旅行業などの救済が進むことを期待したい。
*1 「オフィス再開で社員と綱引き米IT大手、感染収束にらみ」日本経済新聞(2021/06/11)など。
*2 久我尚子「平成における消費者の変容(2)」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2019/3/12)
*3 久我尚子「コロナ禍1年の仕事の変化」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2021/4/20)
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(2021年09月07日「基礎研マンスリー」)
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