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- 膠着続くドル円、米緩和縮小で向かう先は?~マーケット・カルテ9月号
2021年08月23日
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今後の最大のカギは米金融政策となる。先週公表された7月のFOMC要旨では、「量的緩和の縮小を年内に開始することが適当」との意見が大勢を占めていたことが明らかになった。FRBは雇用の回復を確認したうえで11月にも縮小を決定する可能性が高い。市場でも織り込みが進んでいるとはいえ、緩和縮小とその先の利上げが現実味を帯びるにつれて現状低下しすぎている米長期金利が持ち直し、円安ドル高が促されると見ている。ただし、米緩和縮小は株価の圧迫を通じて円高圧力も生むこと、また、今後もデルタ株の拡大などを巡って市場の警戒感が高まりやすいことから、ドル円の上値も抑制されるだろう。3カ月後の水準は現状比でやや円安の112円前後と予想している。
今月のユーロ円は、デルタ株の世界的拡大や中国経済の減速に伴うリスク回避的な円買いユーロ売りによって下落し、足元では128円台半ばと約半年ぶりの安値圏にある。今後もデルタ株や中国経済を巡って市場の警戒感が高まりやすいほか、9月の独総選挙を控えて欧州政治の不透明感が意識されやすいことがユーロの重荷になる。しかし、緊急事態宣言解除の目途が立たない日本に比べ、ユーロ圏の景気回復は先行しているため、ユーロ円は次第に持ち直すだろう。3か月後の水準は131円前後と予想している。
今月の長期金利は0.0%を若干上回る水準での低迷が続いている。米長期金利の低迷が続いているうえ、国内でのコロナ感染拡大が金利を抑制している。今後は一時的にマイナス圏に突入する可能性も否定できないが、米長期金利の持ち直しが金利上昇圧力になっていくだろう。3か月後の水準は0.0%台後半と見込んでいる。
(執筆時点:2021/8/23)
(2021年08月23日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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