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2019年度生命保険会社決算の概要(速報)

保険研究部 主任研究員 年金総合リサーチセンター・気候変動リサーチセンター兼任 安井 義浩
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1――保険業績(全社)
全般的には、金融機関窓販による外貨建保険や、個人定期保険の新契約が減少したことによる。保有契約年換算保険料は▲0.9%と減少した(前年度+1.0%増加)。なお、保険金額ベースでの新契約高、保有契約高は第三分野商品の増加を反映していないこともあり、近年減少している。以下同様に保険料ベースでの増減を示す。「外資系生保」は、新契約が▲39.7%減少(前年度19.3%増加)し、保有契約は▲1.2%減少(前年度 4.2%増加)した。「損保系生保」は、新契約が▲33.4%減少(前年度 7.0%増加)で、保有契約は+0.5%増加(前年度 5.7%増加)となった。「異業種系生保等」は新契約が▲9.1%減少(前年度 15.6%増加)、保有契約は4.0%増加(前年度 5.5%増加)となった。
基礎利益は、全体では▲2.7%と減少(前年度5.2%増加)した。基礎利益が増加したのは42社中16社にとどまる。
2――大手中堅9社の収支状況
なお、大手グループでは、グループ内の会社で第三分野や金融機関窓販などに特化していることが多いので、収支の方もグループ連結でみるべき時期がいずれ来ると考えられるが、グループ内の保険子会社は、まだ収支に占める割合が小さいこと、もとからある9社単体の開示項目が多いこと、から従来通り9社でみることにしたものである。
2019年度までの資産運用環境は図表-3の通りである。
3利源を公表している7社だけの合計金額を見たものが図表-6である。危険差益は、▲7.9%減少(前年度は2.9%増加)となった。先に述べた保有契約の減少や、2017年の死亡表の改定(保険料の引き下げ)によるものと考えられる。一方で近年第三分野商品の保有が増加してきたことは、、選択効果もあり、まだ給付金等の支払いも大きくないことから、危険差の拡大方向に寄与していると思われる(と、外部からは定性的にそう推測するしかない。)
費差益については、▲30.1%と大きく減少した(前年度は▲17.4%減少)。費差益とは、簡単に言えば、収入保険料のうち事業費を賄うための付加保険料と、実際の事業費支出の差である。
金額の大きさで見ると、近年は危険差に比べて小さくなってしまったものの、それだけに年度により大きく増減する傾向が見られる。また退職給付費用(これは人件費の一種なので費差でみることは自然ではあるが)の会計処理が大きく影響する仕組みとなっていて、毎年大きく増減するので直感的な理解が及びにくい面もある。
(2020年07月16日「ニッセイ基礎研所報」)

03-3512-1833
- 【職歴】
1987年 日本生命保険相互会社入社
・主計部、財務企画部、調査部、ニッセイ同和損害保険(現 あいおいニッセイ同和損害保険)(2007年‐2010年)を経て
2012年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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