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- 消費者物価(全国19年8月)-コアCPI上昇率は約2年ぶりの低水準。消費税率引き上げ後も1%を下回る見込み
2019年09月20日
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1.コアCPI上昇率は前月から0.1ポイント縮小

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比0.6%(7月:同0.6%)となり、上昇率は前月と変わらなかった。生鮮食品の下落率が7月の前年比▲0.7%から同▲4.9%へと拡大したため、総合は前年比0.3%(7月:同0.5%)とコアCPIの伸びを下回った。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(7月:前年比▲4.3%→8月:同▲4.8%)、灯油(7月:前年比▲1.1%→8月:同▲1.3%)の下落幅が拡大し、電気代(7月:前年比2.7%→8月:同1.8%)、ガス代(7月:前年比3.0%→8月:同1.8%)の上昇幅が縮小したことから、エネルギー価格が前年比▲0.3%(7月:同0.6%)と2年7ヵ月ぶりの下落となった。
2.上昇品目数の割合は高水準を維持

コアCPI上昇率が鈍化傾向を続ける中でも、現時点では、上昇品目数は高水準を維持している。ただし、消費税率引き上げ後には消費の低迷が見込まれるため、値下げの動きが広がる可能性がある。
3.コアCPI上昇率は消費税率引き上げ後も1%を下回る見込み
コアCPIを押し上げてきたエネルギー価格の上昇率は、2年7ヵ月ぶりのマイナスとなった。原油価格(ドバイ)は、サウジアラビアの石油施設への攻撃を受け、一時1バレル=50ドル台後半から60ドル台後半へと急上昇したが、その後、9月末までに産油量が攻撃前の水準まで戻るとの見通しが示されたことなどから60ドル台前半まで下落している。エネルギー価格の下落幅は年末にかけて拡大する公算が大きい。
外食、食料品を中心に原材料費、物流費、人件費などのコスト増を価格転嫁する動きは継続しており、物価の基調がここにきて弱まっているわけではないが、エネルギー価格下落の影響を打ち消すほどの強さはない。9月のコアCPI上昇率は0.3%程度まで鈍化する可能性が高い。
外食、食料品を中心に原材料費、物流費、人件費などのコスト増を価格転嫁する動きは継続しており、物価の基調がここにきて弱まっているわけではないが、エネルギー価格下落の影響を打ち消すほどの強さはない。9月のコアCPI上昇率は0.3%程度まで鈍化する可能性が高い。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年09月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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