2019年08月13日

2019・2020年度経済見通し(19年8月)

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
実質成長率:2019年度0.9%、2020年度0.7%を予想
 
  1. 2019年4-6月期の実質GDPは外需の悪化を民間消費、設備投資を中心とした国内需要の高い伸びがカバーし、前期比年率1.8%と3四半期連続のプラス成長となった。
     
  2. 鉱工業生産、景気動向指数、企業や家計の景況感などGDP以外の景気関連指標は2019年入り後低調に推移しており、景気の実勢はGDP統計が示すほど強くない。
     
  3. 大規模な消費増税対策によって消費税率引き上げによる景気への影響は前回(2014年度)に比べれば小さくなるが、前回の増税時と比べて消費の基調は弱く、外部環境も厳しい。輸出の低迷が長引いた場合には2019年度後半の日本経済は内外需がともに悪化し、景気の牽引役を失う恐れがある。
     
  4. 2020年度は東京オリンピック開催に伴う需要の拡大から前半は高めの成長となるが、後半はその反動から景気の停滞色が強まる可能性が高い。実質GDP成長率は2019年度が0.9%、2020年度が0.7%と予想する。
     
  5. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2019年度が0.6%、2020年度が0.5%と予想する。2019年度下期以降は消費税率引き上げ、教育無償化によって上昇率が大きく変動するが、賃金の伸び悩みからサービス価格の上昇率が高まらないこと、消費増税後には需給面からの上昇圧力が弱まることなどから、1%割れの推移が続くだろう。
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1. 2019年4-6月期は前期比年率1.8%と3四半期連続のプラス成長
  ・消費税率引き上げの影響
  ・増税前の駆け込み需要は限定的か
  ・国内需要は底堅さを維持するが、前回増税前よりは弱め
  ・厳しい外部環境
2. 実質成長率は2019年度0.9%、2020年度0.7%を予想
  ・日本経済は消費増税後、オリンピック終了後に正念場を迎える可能性
  ・消費は低迷が継続
  ・2018年度第2次補正、2019年度当初予算が公共事業を押し上げ
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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