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- 中国経済:景気指標の総点検(2018年夏季号)~GDPではなく景気10指標でみた実態
2018年06月22日
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1.供給面の景気3指標
【製造業PMI】
次に、製造業PMI(製造業購買担当者景気指数、中国国家統計局)の動きを確認すると、4月は51.4%、5月は51.9%と拡張・収縮の分岐点となる50%を上回り、1-3月期の平均(51.0%)も上回った。また、将来3ヵ月の見通しを示す予想指数も50%台後半の高水準を維持しており、製造業の堅調はしばらく続きそうである(図表-3)。
次に、製造業PMI(製造業購買担当者景気指数、中国国家統計局)の動きを確認すると、4月は51.4%、5月は51.9%と拡張・収縮の分岐点となる50%を上回り、1-3月期の平均(51.0%)も上回った。また、将来3ヵ月の見通しを示す予想指数も50%台後半の高水準を維持しており、製造業の堅調はしばらく続きそうである(図表-3)。
2.需要面の景気3指標
【小売売上高】
個人消費の代表指標である小売売上高の動きを見ると、4月は前年比9.4%増、5月は同8.5%増と1-3月期の同9.8%増を大きく下回った(図表-5)。価格要因を除いた実質でも4月は同7.9%増、5月は同6.8%増と1-3月期の同8.1%増を大きく下回った。また、ネット販売(商品とサービス)は同23.8%増とBAT(百度、阿里巴巴、騰訊)などIT企業が牽引して依然として好調だが、1-3月期の同35.4%増に比べるとやや鈍化、これまでの爆発的な伸びには陰りも見られる。但し、7月1日から自動車や日用品の輸入関税が引き下げられるのを前に買い控えの動きがあったのに加えて、消費者信頼感指数が堅調に推移していることから、このまま失速するとは考え難い(図表-6)。個人消費の評価は、輸入関税引き下げ後(7月)の動きを見た上で判断するのが妥当だろう。
個人消費の代表指標である小売売上高の動きを見ると、4月は前年比9.4%増、5月は同8.5%増と1-3月期の同9.8%増を大きく下回った(図表-5)。価格要因を除いた実質でも4月は同7.9%増、5月は同6.8%増と1-3月期の同8.1%増を大きく下回った。また、ネット販売(商品とサービス)は同23.8%増とBAT(百度、阿里巴巴、騰訊)などIT企業が牽引して依然として好調だが、1-3月期の同35.4%増に比べるとやや鈍化、これまでの爆発的な伸びには陰りも見られる。但し、7月1日から自動車や日用品の輸入関税が引き下げられるのを前に買い控えの動きがあったのに加えて、消費者信頼感指数が堅調に推移していることから、このまま失速するとは考え難い(図表-6)。個人消費の評価は、輸入関税引き下げ後(7月)の動きを見た上で判断するのが妥当だろう。
【固定資産投資】
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-5月期は前年比6.1%増と1-3月期の同7.5%増を下回った。中国国家統計局の公表データを元に4-5月期の伸びを推計すると同4.0%増となり、大きく減速したことが分かる。内訳を見ると、製造業は同7.3%増(推定)と加速し、不動産開発投資も同9.9%増(推定)と高い伸びを維持したものの、インフラ投資が同4.1%増(推定)と急減速している(図表-7)。中国政府(含む中国人民銀行)がマクロプルーデンス管理を強化した影響でインフラ投資が鈍化したと見られる。但し、米中貿易摩擦で不透明感が増した割に民間企業の投資は底堅い(図表-8)。米中貿易摩擦の不透明感が晴れれば改善する可能性がある一方、さらに深刻化すれば民間企業の投資は失速する恐れもある。投資は正念場だ。
投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)の動きを見ると、1-5月期は前年比6.1%増と1-3月期の同7.5%増を下回った。中国国家統計局の公表データを元に4-5月期の伸びを推計すると同4.0%増となり、大きく減速したことが分かる。内訳を見ると、製造業は同7.3%増(推定)と加速し、不動産開発投資も同9.9%増(推定)と高い伸びを維持したものの、インフラ投資が同4.1%増(推定)と急減速している(図表-7)。中国政府(含む中国人民銀行)がマクロプルーデンス管理を強化した影響でインフラ投資が鈍化したと見られる。但し、米中貿易摩擦で不透明感が増した割に民間企業の投資は底堅い(図表-8)。米中貿易摩擦の不透明感が晴れれば改善する可能性がある一方、さらに深刻化すれば民間企業の投資は失速する恐れもある。投資は正念場だ。
【輸出】
一方、もうひとつの柱である輸出は好調である。4-5月期の輸出額(ドルベース)は前年比12.6%増と1-3月期の同13.9%増をやや下回ったが2桁増を維持した(図表-9)。先行指標の貿易輸出先行指数や新規輸出受注は高水準を維持しており、輸出の好調は当面続きそうである(図表-10)。しかし、米中貿易摩擦が深刻化すれば状況が一変する恐れもある。トランプ米政権が6月15日に対中制裁措置を発表したため(発動されるとは限らないが)、関税引き上げ前に駆け込み的な輸出増があるかもしれない(但し、その後の反動減は避け難い)。輸出環境が悪化すれば生産面に悪影響するのは必至なだけに、今後の行方から目が離せない。輸出の先行きは不確実性の高い状況だ。
一方、もうひとつの柱である輸出は好調である。4-5月期の輸出額(ドルベース)は前年比12.6%増と1-3月期の同13.9%増をやや下回ったが2桁増を維持した(図表-9)。先行指標の貿易輸出先行指数や新規輸出受注は高水準を維持しており、輸出の好調は当面続きそうである(図表-10)。しかし、米中貿易摩擦が深刻化すれば状況が一変する恐れもある。トランプ米政権が6月15日に対中制裁措置を発表したため(発動されるとは限らないが)、関税引き上げ前に駆け込み的な輸出増があるかもしれない(但し、その後の反動減は避け難い)。輸出環境が悪化すれば生産面に悪影響するのは必至なだけに、今後の行方から目が離せない。輸出の先行きは不確実性の高い状況だ。
(2018年06月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
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