2017年10月30日

【7-9月期米GDP】前期比年率+3.0%、ハリケーンの影響にも拘らず、堅調な伸びを維持

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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(図表6)米国の実質政府支出(寄与度) (政府支出)州・地方政府のマイナス幅が縮小
政府支出の内訳をみると、連邦政府支出が前期比年率+1.1%(前期:+1.9%)と前期から伸びが鈍化する一方、州・地方政府は▲0.9%(前期:▲1.5%)と2期連続のマイナスとなったものの、マイナス幅は縮小した(図表6)。

連邦政府支出では、非国防支出が▲0.5%(前期:▲1.9%)と3期連続のマイナスとなったほか、国防関連支出が+2.3%(前期:+4.7%)と前期から伸びが鈍化した。
(貿易)外需の成長率寄与度上昇は、輸入の減少が要因
7-9月期の輸出入の内訳をみると、輸出が前期比年率+2.3%(前期:+3.5%)と前期から伸びが鈍化したものの、輸入が▲0.8%(前期:+1.5%)とマイナスに転じており、当期は輸入減少が外需の寄与度上昇に貢献した(図表7、8)。
(図表7)米国の実質輸出(寄与度)/(図表8)米国の実質輸入(寄与度)
輸出を仔細にみると、財輸出が前期比年率+1.4%(前期:+2.2%)、サービス輸出も+4.1%(前期:+6.2%)といずれも前期から伸びが鈍化した。財輸出では、自動車関連を除く資本財が+14.7%(前期:+0.8%)と前期から大幅に伸びが加速したものの、自動車関連が▲9.4%(前期:▲10.2%)と前期並みのマイナスとなったほか、工業用原料が▲7.5%(前期:+1.6%)と前期からマイナスに転じたことが大きい。

輸入では、財輸入が▲0.5%(前期:+1.3%)となったほか、サービス輸入も▲2.1%(前期:+2.2%)といずれも前期からマイナスに転じた。財輸入では自動車を除く資本財が+13.4%(前期:+10.9%)と前期から伸びが加速したものの、石油製品が▲14.0%(前期:▲14.8%)と2期連続で大幅なマイナスとなったほか、自動車を除く消費財が▲6.8%(前期:▲1.1%)、工業用原料も▲7.3%(前期:▲0.4%)と前期からマイナス幅が拡大した。
(物価・名目値)PCE価格指数、コア指数ともに前年同期比で低下基調が持続
7-9月期のGDP価格指数は、前期比年率+2.2%(前期:+1.0%)と前期から伸びが加速、市場予想(同+1.7%)も上回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+5.2%(前期:同+4.1%)と、14年7-9月期(同+7.1%)以来の伸びとなった(図表9)。

一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+1.5%、前年同期比+1.5%(前期:+0.3%、+1.6%)と前期に比べて前期比では上昇したものの、前年同期比では逆に低下する結果となった(図表10)。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数も前期比年率+1.3%、前年同期比+1.3%(前期:+0.9%、+1.5%)と、総合指数と同様の傾向となった。

PCE価格指数(前年同期比)は17年4-6月以降、FRBが目標とする2%を下回って推移しているほか、3期連続で低下しており物価目標の達成が遠のいている。さらにコア指数(前年同期比)についても4期連続で低下していることから、基調としての物価上昇圧力に高まりはみられない。
(図表9)米国の名目と実質の成長率/(図表10)米国のPCE価格指数伸び率
 
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2017年10月30日「経済・金融フラッシュ」)

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