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医療費支出の概要~男女差に着目して

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
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図表6は、国民医療費の大部分を占める医科診療費について、疾病分類別の占有率を示している。それぞれ医科診療費が高い上位3つの疾病分類を表記した。
男女とも65歳以上では循環器系の疾患、新生物が上位を占める。男性の場合、これら2つの疾病で医科診療費全体の44%を占めている。新生物について男女別にみると、男性は45歳以上で高いのに対し、女性はそれより若い15歳以上で高い。乳がん、子宮がんなど女性特有のがん患者が比較的若いことによる。
男性でのみ上位となっている疾病は、44歳以下では骨折等の損傷、中毒及びその他の外因の影響、65歳以上では前立腺の疾患などの腎尿路生殖器系の疾患である。一方、女性でのみ上位となっている疾病は、15~44歳では妊娠、分娩及び産じょくと、45歳以上では関節症や骨粗しょう症等といった筋骨格系及び結合組織の疾患である。65歳以上の女性では、筋骨格系及び結合組織の疾患による医療費は、新生物と同程度のウエイトを占めている。
6 継続的に医療を受けている者の数を推計したもの。
3――個人の医療費支出の動向
4――おわりに
個人の生涯医療費をみると、2015年度の生涯医療費は男性がおよそ2,580万円、女性がおよそ2,820万円で、近年増加している。医科診療について、医療費が高い疾病を男女・年齢群団別にみると、男女とも65歳以上では新生物、循環器系の疾患が上位を占める。男性の場合、これら2つの疾病で医療費全体の44%を占めている。新生物についてみると、男性は45歳以上で上位となっているのに対し、女性はそれより若い15歳以上で上位3つの疾病に入ってくる。男性でのみ上位となっている疾病は、44歳以下で損傷、中毒及びその他の外因の影響と、65歳以上で腎尿路生殖器系の疾患である。また、女性でのみ上位となっている疾病は、15~44歳の妊娠、分娩及び産じょくと、45歳以上で関節炎等筋骨格系及び結合組織の疾患である。
疾病分類によって医療費の構造は異なり、65歳以上女性の筋骨格系疾患のように患者一人あたりの負担は平均して大きくないが、患者数が多いことによって医療費が高くなっているケースと、新生物のように患者数は多くないが、患者一人あたりの負担が平均して大きいことによって医療費が高くなっているケースとがある。
(2017年10月13日「基礎研レター」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
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